スーパーマーケットにおける惣菜の将来像(10/13)
スーパーマーケットにおける惣菜の将来像
10.惣菜部門を利益部門にしろ
なぜ、惣菜部門に赤字(営業損失)企業が多いのであろうか。一つは、粗利益率は他の部門と比較しても高いが、人件費が他部門よりもかかるため、結果として販売管理費が粗利益高を上回り、赤字(営業損失)となってしまう。
もひとつは、他部門と比較してもロス率(値下げロスと廃棄ロス)が高いために、せっかくの高値入率をカバーできていない。企業によっては、毎月20%のロス率を出しているところもあるほどで、全く管理ができていない証拠である。ただし、例え20%のロスを発生させても、しっかりと利益のでる体質、例えば飲食業のように70%前後の値入率を確保できていれば問題ないのであるが、せいぜいどの企業も50%前後の値入率ではないだろうか。
月並みに言うと、値入率の改善やロス率を下げて粗利益率を向上させ、人時管理を適正にし、在庫を削減することにより利益を生み出すことができるが、重要なことは惣菜部門が利益を出し続けるためには、どの数字が問題なのかを明確に見極めることである。
今後は、飲食業界で活用されているFLコスト(F=食材費、L=人件費)とFL比率[(食材費+人件費)÷売上高]の考え方を取り入れていくことが必要である。特に、経営者やバイヤー視点からは、この考え方を導入していただきたい。一般的には、FL比率を60%以下に抑えることができるようになると、惣菜部門は黒字転換していく。ここ数年の計数に関するトレンドは、人時生産性や人時売上高の考え方が持てはやされているが、これは現場目線で、どれだけ時間で管理しなければならないかを考える目安としては有効に利用されてきた。経営者やバイヤーはFLコスト、FL比率の思考で、是非、管理していただきたい。
まだまだ、損益分岐点売上高を知らないチーフ(主任)が実に多いことに驚かされる。赤字(営業損失)の店舗は、あとどれだけ売上高をあげたら黒字(営業利益)に転換するのかを全く考えていないチーフ(主任)がいる。惣菜チーフ(主任)だけではない。店長すら知らない企業がなんと多いことか。損益分岐点売上高を答えられる、損益計算書だけでも読むことができる人材を育成していかなければならない。
グロサリー部門が利益部門では悲しいではないか。是非、惣菜部門を利益部門に転換していきたい。