スーパーマーケットにおける惣菜の将来像(5/13)
5.惣菜部門はいらない
惣菜部門は、いらないのではないかと思っている。せっかく店内に青果部門や水産部門、畜産部門があるのにもかかわらず、惣菜部門では専門のメーカーから仕入れ、調理加工している姿をみると、なんともったいないことをしているのではないかと思う。これを見て、反論する者もいると思うが、究極の惣菜とは、青果部門であれば『煮物、漬物、サラダ』など野菜を使用しての調理、水産部門であれば『焼魚、煮魚、フライ、唐揚げ』などの魚を使用しての調理、畜産部門であれば『コロッケ、メンチカツ、唐揚げ、焼き料理、蒸し料理』などの肉を使用しての調理をおこなって、それぞれの部門で商品を展開していくことが望ましいのではないかと思っている。各部門での調理場設置が困難であるならば、作業場を集約して製造することも考えていけばよいと思う。百歩譲って、セントラルキッチン化して、惣菜商品を各部門に振り分け、担当部門で展開したほうが、美味しさが伝わってくるのではないだろうか。
少し考えてみていただきたい。例えば1980年代前半までは、コロッケやメンチカツは商店街の肉屋で購入しており、今の惣菜売場の数倍美味しかった記憶はないであろうか。生産性だけを追及している“惣菜”部門は陳腐化してしまうであろう。鮮度の良いもの、旬のものをその場で調理し、販売していくことがスーパーマーケットの惣菜としての生き残りをかけた最善の方法であろう。
「あなたの惣菜売場は、他企業とどこが違うのですか?」という質問にどれだけの人が答えられるであろうか。私たちに課せられているのは、イノベーションとマーケティングであり、どれだけ他企業や他店と差別化できるかが重要なのである。
なにもイノベーションは、ゼロから新しいことを考えるだけではなく、何かと何かの組み合わせによる、ありそうでないことを見つけ出す作業であり、創って作って売っていくことが重要なのである。