スーパーマーケットにおける惣菜の将来像(6/13)
6.出来たて作りたては差別化ポイントではない
現在は、電子レンジ普及率はほぼ100%であり、レンジアップで温かさは担保できる時代になっている。考えてみていただきたい。なぜ出来たて作りたて商品が差別化ポイントなのか。それは、お客様が手に取った時に、温かさが伝わり美味しそうに感じる。ないしは出来たてなので、さぞかし美味しいであろうと思い込んでいるためである。この“思いこみ”だけが出来たて作りたてを支えている。それはそれで、販売促進の手段であれば、よいのであるが、悪いことに、そのために作業人員を確保しなければならず、結果としてシフトを修正したり、最悪の場合にその時間に製造する者がいないため、チーフが長時間残業を迫られる羽目になっている。
問題は、商品自体にあるのではないであろうか。仮に、レンジアップしたとしても、出来たて作りたてと比較したときに、味が劣化する商品があるのであれば、それこそ商品の開発が必要なのではないか。売場に大々的に「惣菜売場の商品は、レンジアップで出来たて作りたての商品と変わらない美味しさを実現します!」となぜ表示できないのか。既存の現象にとらわれていると、新しい発想が思い浮かばない。一度、過去をご和算にして考えてみると、意外と矛盾していることは世の中に多いものである。今、やらなければならないことは、レンジアップで、出来たて作りたての味を再現できる商品開発を目指すことである。
ここで、ひとつの疑問が生じる。惣菜は冷凍食品で代替えできるのではないであろうかと。結論をいえば、今現在の答えはNOである。味の違いが大きい。まだまだ、冷凍食品と惣菜(店内調理)との間に“味”の差が開きすぎている。ただし、将来的には、この“味”の問題をクリアーすることができるならば、惣菜部門にとっての本当の脅威は冷凍食品なのかも知れない。