スーパーマーケットにおける惣菜の将来像(11/13)
11.地域別売価を採用せよ~一律売価は、利益を落とすだけだ
ひとつ疑問に思うことがある。
首都圏に多県展開している企業があるとする。例えば東京23区と埼玉県に店舗があるとすると、惣菜部門の売価は同じになっている。チェーンストアなのだから当然と思う方もいると思うが、ここで考えてほしい。なぜ賃料も違う、時給も違うにも関わらず、同じ売価設定なのであろうか。
当然、同じ売価設定にすると、賃料と時給が相対的に高い東京23区の店舗のほうが利益が低くなるのは誰でもわかるだろう。商圏密度が濃い東京のほうが、より多くのお客様が来店するから、結果的に利益はでるのではないかと思うが、それはあくまで結果の話である。
本来ならば売価設定は商圏に合わせて変えていかなければならないのではないかと思っている。基本的には、賃料が高く時給が高い店舗ほど、惣菜部門の商品売価を高く設定しなければならないと思っている。マクドナルドも、数年前に全国一律売価を廃止したが、これは評価できる対策ではないか。
売価を変更してお客様に支持されないのではないかという疑問が生じる。しかし、惣菜部門は、価格に左右されにくい部門である。現に、近隣に競合店がオープンしたとしても、一番影響を受けにくい部門ではないだろうか。他企業と全く同じ商品が少なく、味と見栄え、量目を中心に購買していただける。こんなありがたい話はない。当然、価値に見合った価格設定は必要ではあるが、それを決めるのはお客様であることは間違いない。重要なことは、商品をいくらだったら買っていただけるかを見定める能力が必要になってくるということである。これには、他企業の商品を見たりしながら、さまざまな情報を収集して、常に自分を磨いておくことが必要である。
もし、地域別売価を設定して売上高の減少を恐れる企業があるとするならば、手始めに地域別に量目を変更したり、新規商品から徐々に地域別売価を設定するなどして対応してみてはどうかと思う。