スーパーマーケットにおける惣菜の将来像(4/13)
4.赤字では、惣菜部門は成り立たない
図7は、スーパーマーケット月平均の営業指数の平均を比較したものであるが、各社振り幅が大きくなっている。粗利益率でも、業績好調企業と業績不振企業では1.3倍の差が生じている。在庫日数でも4.5倍、尺当たり売上高でも1.5倍の差が生じている。当然、個々の企業内においても、数字の差が生じていると思われるが、店舗間格差をなくして好調店舗に合わせるようにしていかなければならない。好調店舗の水平展開が大事なのである。
粗利益率を中心に見ていくと、ロス率の高い企業は粗利益率が低い傾向にあり、在庫日数の多い企業ほど粗利益率が低い傾向にある。当然、企業努力や店舗での包装資材の適正仕入により粗利益率は向上していくが、今の時代、飛躍的に値入率を向上させることは困難である。
また、人時管理においても、ここ数年重要視されている指標が人時生産性と人時売上高であり、図7のように企業平均でも、とても生産性が高いとは言えない。ご存知のように、惣菜部門は赤字店舗が多数見受けられる。粗利益率は高いが、ロス率も高く人件費が多くかかる部門として定着してしまっている。この体質を変えていかなければスーパーマーケットの惣菜部門として、生き残っていくことはできない。いかに効率よくパートタイマーを活用して、利益を上げていくかが重要なのである。売上高や粗利益高だけを追いかけていく時代は終わっている。
売上高が飛躍的に伸長しないことを考慮すると、まず初めに考えなければならないことは、最終利益を何%・いくら残すために、人件費、労働時間、粗利益率、ロス率、労働分配率をいくつにするかを考える必要がある。各社一律ではないのである。
ここで、間違ってはいけないことは、安易に人件費を削らないことである。人件費=人員を安易に削ってしまうと、製造が間に合わなくなりチャンスロスが多発してしまう。まずは、作業の棚卸を行っていきながらムダ・ムラ・ムリを解消することを考えていくことが先決である。
また、ロス率も同様に、削減するだけではなく適正ロスの目標値も予算化していきながら営業を行っていかなければならない。「上司からロスを下げろと言われて下げました」というチーフはいないだろうか。結末は、“チャンスロスが多発して売上高が減少した“という、笑うに笑えない話はよくあることである。