惣菜勝手レポート(3/8)

惣菜勝手レポート(3/8)

3.寿司の不思議

スーパーマーケットで寿司(江戸前寿司・握り寿司、以下寿司で統一)を扱っている部門は惣菜部門であるが、企業によっては、寿司をすべて鮮魚部門に統一し、より本格的な寿司を提供しようとしている企業も出てきた。

ただし、まだまだ、惣菜部門と鮮魚部門の2部門で寿司を提供している企業は多いように思われる。惣菜部門と鮮魚部門が離れている場合は、2箇所で展開し、特徴をつけながら販売している。惣菜部門は安さ、鮮魚部門はネタの新鮮さと旨さを謳い競い合っている。これが競い合っているだけであればよいのであるが、例えば惣菜部門は昔から品揃えしており、鮮魚部門に寿司を渡してしまうと売上高が急減してしまうなどの安易なバイヤーの考えから、2部門での展開をしている企業は多いのではないであろうか。また、年末やお盆などの繁忙期など、鮮魚部門だけでは間に合わないためそのまま寿司を惣菜に残している企業も多いはずである。逆もしかり。重要なのはお客様の立場に立ってよく考えることだ。『どうして、寿司が2箇所にあるの?何が違うの?』とお客様に疑問をもさせないことである。部門間で話し合っても解決しない問題であるため、経営者の判断を要する案件である。

個人的には、お客様の立場に立つと、味と旨さでいうと寿司は鮮魚部門に渡したほうが良いのではないかと思う。ただし、条件がある。過去の事例からいうと、『寿司』は鮮魚部門にとって”ついで“の商品でしかないという思いがある。これにより、品揃えから販売計画、鮮度管理にいたるまで雑な作業となってしまい、売上にも影響が出てきている。まずは、鮮魚部門の担当者は意識改革が必要である。ひとつの案は、鮮魚部門に属するが、寿司はそれだけで人員を分けて、意識を高めて業務を行うことが望ましい。

また、惣菜部門と鮮魚部門の2部門で展開している企業が注意しなければならないことは、温度管理である。イオンのある店舗で惣菜部門の寿司と鮮魚部門の寿司が隣り合わせで展開されていた。温度設定を確認すると、惣菜部門は15度前後、鮮魚部門は2度前後での管理であった。これは何もイオンだけの話ではなく、ほぼ100%、部門間での温度管理での考え方の隔たりがある。惣菜部門は、シャリを硬くさせたくないという思い、鮮魚部門はネタの鮮度を保ちたいという思いがせめぎあっている。でもおかしくないですか?同じ企業なのに寿司に対する考え方がばらばらなのは。衛生管理などの基準を明確にしている企業でも、この寿司の温度管理はバラバラになっています。また、販売基準も、惣菜部門の寿司は6~8時間での販売期限に対して、鮮魚部門の寿司は、1日単位としている企業が多くある。これは、温度設定によるものであるが、おかしな話である。特に鮮魚部門の寿司を製造から時間がたって食するとシャリが硬くてまずい。ネタが新鮮で、味で勝負している鮮魚部門の寿司がである。2部門展開している企業は、そろそろどちらの温度にするか決めてはいかがでしょうか?

目次:

  1. グローサラント
  2. 中食市場が拡大した理由
  3. 寿司の不思議
  4. 土用丑の日
  5. 汚い惣菜キッチン
  6. 惣菜売場のカラーコントロール
  7. インスタ映え
  8. ネット(宅配)と惣菜