惣菜勝手レポート(2/8)
2.中食市場が拡大した理由
レストランや飲食店で料理を食べることを「外食」と言い、手作りの家庭料理を自宅で食べることを「内食(ないしょく)」と言ったりするが、惣菜や弁当などの、外部の人手によって調理されたものを自宅で食べるという意味で、外食と内食の中間に位置づけられることから、こう呼ばれる。スーパーマーケットにおいて中食の需要はますます増加するものと思われる。中食は惣菜に代表される惣菜・即食商品だけではなく、湯煎商品、レンジアップ商品、フライパン調理商品、フローズン商品などを総称して中食と定義される。
中食という言葉が登場したのは、働く女性やコンビニエンスストアが社会に定着した1980年代ごろからだといわれている。それまで日本の食事は、母親が手作りする「わが家のごはん」と、飲食店で食べる「お店のごはん」に大きく分かれていたが、核家族化や女性の社会進出が進むにつれ、コンビニ弁当やスーパー・デパートの惣菜、宅配ピザ、持ち帰り弁当など「わが家で食べるお店のごはん」が食卓に並ぶようになった。調理の手間がかからず、価格も外食より手頃なことから、年々市場規模が大きくなっている。
スーパーマーケットにおいても、これからは惣菜部門だけではなく、全部門を巻き込んだメニュー開発から売場展開まで必要となってきている。大手の企業では、専門人員やセンター化などシステムと投資を含めて、手間と時間をかけているが、中小企業はそこまでは難しいのが現状である。
では、なぜ中食市場は拡大したのか。大きくは単身者の増加と共働き世帯の増加である。単身世帯の増加は全国例外なく更に加速することが予測される。また、夫婦のみ、ひとり親と子の世帯の割合も増えていく予測である。この単身世帯の増加の背景には高齢単身者の増加と未婚率の増加がある。単身者の増加は、外食需要の縮小と中食需要の拡大を意味している。
二人以上の世帯の働き方は、1996年には共働き・専業の数が同程度であったが、それ以降は共働きの世帯が増える一方である。社会生活基本調査によると、共働きの女性の食事の準備にかける時間は週で専業主婦より40分以上少ない。つまり、食事の準備に時間をかけられなくなる女性が増えていることが推測される。以上のことから二人以上世帯が内食から中食にシフトしている大きな要因と考えられる。そして最近の傾向を見る限り、今後もこの傾向が続くことが予測される。
もうひとつ忘れてはならないのは、所得の減少が中食需要を増加させている。1994年の1世帯当たりの平均所得664万円に対して、直近では542万円になっており、ピーク時と比較しても100万円以上減少している。
年金で生活してる高齢者の1世帯当たりの平均所得に大きな変化はないものの、児童のいる世帯や、全世帯平均でのピーク時と比較しての減少幅が大きい。つまり、所得が減少した分、割高な外食を避けていることや、2人以上の世帯では食事の準備に時間をかけられなくなってきていること、食材を一から購入するとかえって割高になることから、中食需要が今後も増していくものと思われる。
目次:
- グローサラント
- 中食市場が拡大した理由
- 寿司の不思議
- 土用丑の日
- 汚い惣菜キッチン
- 惣菜売場のカラーコントロール
- インスタ映え
- ネット(宅配)と惣菜