水産部門の再生が商機を生む(2/6)

水産部門の再生が商機を生む(2/6)

スーパーマーケット経営支援セミナー第一弾
水産部門の再生が商機を生む

2.低迷する水産(鮮魚)部門の現状

まずは、下記のグラフを見てみましょう。

表1:スーパーマーケット部門別売上推移

スーパーマーケット部門別売上推移

【表1】は、日本チェーンストア協会ホームページ上で公表されている2004年(平成16年)から2013年(平成25年)という10年間の部門別の売上データに基づき、「2004年(平成16年)の数値を100」とした場合の各年度ごとの数値の動向をグラフ化したものです。ご覧頂いたとおり、多くの部門が一進一退を繰り返すなか、「水産部門」が大きく逸脱、ダウントレンド」にあることは明白です。

  • 平成16年(2004年)水産部門 売上 927,960百万円(100)
  • 平成25年(2013年)水産部門 売上 745,341百万円(80.3)

このまま旧態依然とした仕組みのまま何もせず、鮮魚類の惣菜化に手をこまぬいていたら、水産部門の未来はあるのでしょうか?仕入値が高くても定番商品を常に仕入れ、水揚げから複数の流通経路を経て日数のたった鮮魚類が店舗に運び込まれ、入荷したものを決められたルールに従い、売場に並べる。このように合理化はスーパーマーケットの武器ではありますが、売場での買物に鮮度感は勿論のこと目的志向性の強いワクワク感がなければ、お客様の支持は得られないでしょう。

表2:国民1人1日当たり魚介類と肉類の摂取量の推移

スーパーマーケット部門別売上推移

資料:厚生労働省『国民栄養調査』(平成7-14年)、
『国民健康・栄養調査報告』(平成15-21年)

【表2】は、厚生労働省「国民栄養調査」からも、平成18年には魚介類と肉類の摂取量が逆転していることがわかります。

経費構造にもよりますが、営業利益視点で見た場合、マイナス貢献と言わざるを得ません。競争激化のなか、
他部門での営業利益で補填することも限界が近づいていると言えます。いま改めて事業存続を考えた場合、他部門改善を行なうことも重要ですが、いま一番改善を図らねばならない部門は「水産(鮮魚)部門」と考えます。

一般的に「魚離れ」や「人口減・客数減」を言い訳にすることも可能です。しかし事業として考えた場合、集客がはかれる(差別化)→売上・利益が確保できる→マイナス貢献からの離脱といった構造を変える必要があります。

目次:

  1. はじめに
  2. 低迷する水産(鮮魚)部門の現状
  3. 本当に、魚離れが進んでいるのか
  4. 低迷する水産(鮮魚)部門の再構築
  5. 水産部門政策と商品部に求められる力
  6. 「水産部門の再生が商機を生む」のご案内

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