ケース3:食品スーパーグループS社のお困りごと「店長の育成と輩出」
食品スーパーグループS社のお困りごと
店舗経営・運営に関する基礎的なことを店長に教える人がおらず、また教える機会が少ないため 店のレベルが低下している。結果的に店舗運営がうまくいかず業績が低迷している。
<背景>
- グループ全体として、バブル期採用が多く、その後、業績が厳しく採用を絞ったり、採用しなかった時期があり、近年は中途採用も行っており、従業員の年齢構成、実務経験年数構成がいびつになっている。
- 近年では定年での退職者数が増加しており、この後数年間つづく予定をしている。
- 店舗の出店を継続的に行っているため、新しく店長、副店長を担う人を輩出する必要がある。
- 少ない人数で店舗の運営をしているため、副店長に対して店長になるためのOJT教育の機会が少ない。また、その手前段階のチーフも早期に昇格し、職場でのOJT,集合教育などがなされていない状態である。この状態が継続しており、店長に教えられる知識や経験有している上司や先輩がいなくなっている。
- 各社で階層別教育は行っているが、食品スーパーの店舗運営に関する研修ではなく、店舗運営、店舗経営に関する知識・スキルを体系的に身に付ける機会が少ない。
- 近年の食品スーパーの状況としては、チーフの期間が短く、現場経験が少ない、現場で教育をされておらず、店長や副店長に任命されることが多い。
- 同グループでは、企業内で人事異動を意図的、計画的に行っており、商品部バイヤーから店長に任命されたり、管理部門から店舗系への異動がある。
- そのため、店舗経験がまだ無い人、経験が短い人、店舗に携わってから間があいている人など、店舗運営の基礎力、基礎知識が養われていないことがある。
ニッコンのご提案
店長になる前段階、または、店長になったばかりの人を対象にして、店長としての店舗運営に関する知識、店長に求められるスキルを体系的に学ぶ研修を提案。
<コンサルタントの視点>
- 研修内で<過去に成功した方法>を提示するだけでは、実践にはつながるかもしれないが、環境が変わったときに考えを修正することが出来ない。
- 参加者自身が管理、所属する現場(店舗)を題材にして、競合店の対策、対策実施計画の立案を最終目標に研修を設計する。
- 研修では、情報量を多くしたり、実践課題も幾つかの取組みをまとめて実施したりし、参加者自らが成長しないといけないことに気づきを与える。
- 各会社の参加者の上司を巻き込むような仕掛けを行い、現場での実践を推進する。
<ご提案>
- 研修内容を<店長の役割>、<店舗損益>、<マーケティング>、<インストアマーチャンダイジング>、<作業効率、生産性>の5つに分けて学ぶ。
- 研修と研修の間に課題(事前・事後)を設けて、現場に戻ってから実践をする。
- 実践したことを研修会場で、他者へ説明することを通じて自分自身の理解を深める。
- 第1開催目から最後までに、一つの課題(取り組みテーマ)を設定し、継続的にPDCAを回す。
これらを通じて、店長としての店舗運営に関する知識・スキル、役割認識や具体的な実施方法を理解する。
<研修概要>
第1講(1日間)  商品経営
第2講(1日間)  店舗損益管理
第3稿(1日間)  マーケティング、競争店対策
第4講(1日間)  インストア・マーチャンダイジング
第5講(1日間)  作業効率・生産性を考える
実施研修カリキュラム<全5講座>
第1講:商品経営の理解
持参課題:
①いままでの経験のなかで「 良かった 」と思う店長はどのような方だったか
②お客さまからの期待「組織に対して」・「店舗に対して」
| 項目 | 備考 | 
| ◆事務局オリエンテーション ◆ニッコン講師オリエンテーション(研修全体構成説明) | ニッコン講師より「研修全体像」について説明。毎講、「改善」を行いながら最終講では取り組んできた「改善テーマ」に関する成果発表を行う。 | 
| 1.店長の役割 (1)環境変化と競争 | 日本国内の量的市場規模縮小に対し、今までの経験とは異なる新たな打ち手を創り出す必要があります。これから重要となる店長の役割・能力を確認します。 | 
| 2.店長に求められる能力 (1)管理に求められる能力 | |
| 3.商品経営 (1)商品経営とは | 業種・業態の壁を越え、限られたマーケットの争奪戦が行われています。キーワードは「商品ありき」。このポイントを店長視点で確認をします。 | 
| 4.お客さまが企業・店舗に望むことは何か (1)お客さまが求めることは何か | 「ブランドや屋号」にお客さまは独自性・差別化の期待を寄せます。自分たちにお客さまは何を期待しているのか、裏切ってはいけないのか考えます。 | 
| 5.店長の視点から「現職(今の仕事)における改善目標」を考える6.次回事前課題確認および研修概要案内◆事務局 第1講修了挨拶 | 漠然と研修を受けるのではなく、研修を通じ「変える」課題を決めて頂きます。毎回進捗状況を持ち寄り、さらなる改善へとチャレンジを進めて頂きます。 | 
第2講:店舗損益管理
持参課題:
①「カイゼン」進捗状況その1
②日常使用している「営業管理表(数値表)」を持参
| 項目 | 備考 | 
| ◆事務局 オリエンテーション ◆ニッコン講師オリエンテーション | |
| 1.店舗損益管理 (1)B/S P/L C/Fの構造 | 「投資」無くして組織の繁栄は継続しません。源泉である「営業利益」を創りだすために店舗の役割は極めて重要です。この店舗責任者である店長にまず損益構造を理解して頂きます。とくに「資金回転」の重要性を確認します。 | 
| 2.売場数字の理解 (1)「営業管理表」の項目理解 | 組織で活用している「営業管理表」にある指標を確認する。また「公式」を分解することにより「打ち手」が見えてくることを確認します。 | 
| 3.【演習】営業利益確保のために何をするのか(グループワーク) (1)売上高確保のために何をするか | グループワークで営業利益確保のための施策を考える。 | 
| 4.【演習】持参した「営業管理表」をもとに対策を検討する。 (1)問題の発見 | グループ内でモデル事例を選定し皆で対策を検討する。営業管理表の数値から問題点を読み取り、対策を検討する一連の流れをグループワークで確認する。 | 
| 5.【演習】第1回「カイゼン」進捗状況共有化 | グループ内で共有化。さらなるカイゼンのためのアドバイス実施。 グループ代表者 発表前回の検討課題に基づき改善した結果を共有化する。 | 
| 6.次回事前課題確認および研修概要案内◆事務局 第2講 修了挨拶 | すべての事前課題資料を説明とともに配布。次回の研修ポイントを説明し、事前課題への取り組みを促す。 | 
第3講:マーケティング、競争店対策
持参課題:
①「カイゼン」進捗状況その2
②SWOT情報
③商圏情報
④その他 必要と考える資料は個人判断で持参
| 項目 | 備考 | 
| ◆事務局オリエンテーション ◆ニッコン講師オリエンテーション(研修全体構成説明) | |
| 1.環境変化対応 (1)外部環境変化認識 | 環境変化対応業としてどのような環境変化が起きているのか考える。 | 
| 2.SWOT分析 (1)3年後の予測される環境変化は何か | 今起きている変化に対応することも重要であるが、結果がでるまでには時間を要する。近い将来起きる変化に対し対応することが重要である。何に内応すればよいのかSWOT分析を学び、対策立案のステップを確認する。 | 
| 3.「3C」を考える (1)お客さまは誰? | マーケットの構成要員である「顧客」・「自社」についてまず考える。もうひとつの構成要員である「競合・競争店」に関してはあとの「競争店対策」で考える。 | 
| 4.競争店対策 (1)競争店とは | マーケットにおけるライバル「競争店」。正しく理解することが、正しい対抗策を導きだすための出発点です。競争店調査方法などを確認する。 品揃えに関する見える化手法「商品構成グラフ(FPチャート)」を題材に競争店対策の考え方をグループワークで確認する。 | 
| 5.【演習】店長戦略思考プロセス演習 (個人ワーク⇒グループワーク) | ※持参した「商圏情報」・「SWOT情報」などを活用し、ワークシートに基づき考えをまとめてみる持参した資料を活用し、店長として考えるべき思考プロセスを練習してみる。 | 
| 6.【演習】第2回「カイゼン」進捗状況共有化 | グループ内で共有化。さらなるカイゼンのためのアドバイス実施。 グループ代表者 発表前回の検討課題に基づき改善した結果を共有化する | 
| 7.次回事前課題確認および研修概要案内◆事務局 第3講 修了挨拶 | すべての事前課題資料を説明とともに配布。次回の研修ポイントを説明し、事前課題への取り組みを促す。 | 
第4講:インストア・マーチャンダイジング
持参課題:
①「カイゼン」進捗状況その3
②客動線調査結果
③52週MD資料 持参
④その他 必要と考える資料は個人判断で持参
| 項目 | 備考 | 
| ◆事務局オリエンテーション ◆ニッコン講師オリエンテーション(研修全体構成説明) | |
| 1.52週マーチャンダイジング(52週MD) (1)品揃えとは | 52週マーチャンダイジンに関する基礎を確認する。本部からの指示をいかに自店をご利用頂くお客さまに合わせて展開をするかが重要であることを理解する。 | 
| 2.インストア・マーチャンダイジング (1)売場づくり原則の理解 | お客さまがセルフサービスでお買物をして頂く前提となる売場づくりの原則や磁石売場に関する確認を行う。また今後重要となるタイムマーチャンダイジング(時間帯別品揃え)に関して確認をする。 | 
| 3.販売計画の重要性 (1)販売計画の意味(商品計画・販促計画・オペレーション計画) | 実際に「モノ」を「カネ」に換えるために必要な販売計画に関し確認をします。 | 
| 4.【演習】客動線分析※持参したなかからモデル事例を選び (1)客動線確認 | 売場全体をお客さまがどのように買い回りをされているのか確認。店舗の仕掛けに反応して頂いているのか、死に場所はないかなど確認し、対策をグループワークで検討する。 | 
| 5.【演習】第3回「カイゼン」進捗状況共有化 | グループ内で共有化。さらなるカイゼンのためのアドバイス実施。 グループ代表者 発表前回の検討課題に基づき改善した結果を共有化する。 | 
| 6.次回事前課題確認および研修概要案内◆事務局 第4講修了挨拶 | 4回の研修ポイントを説明し、事前課題への取り組みを促す。 | 
第5講:作業効率・生産性を考える
持参課題:
①「カイゼン」進捗状況その3
②作業分析結果
③競争店調査・対策結果
④その他 必要と考える資料は個人判断で持参
| 項目 | 備考 | 
| ◆事務局オリエンテーション ◆ニッコン講師オリエンテーション(研修全体構成説明) | |
| 1.店長のマンアワーマネジメント(人時管理) (1)マンアワー(人時)とは | 人時管理は実際は「部門チーフ」が行なう。店長として①店舗全体の人時予算管理②そのために部門チーフに指導すべきことの視点から確認する。 | 
| 2.【演習】持参した「作業分析」をもとに対策を検討する (1)作業分析実態の確認 | 持参したなかからモデル事例を選び実際調査した作業実態から改善点をどのように考えるかグループワークを通じて確認する。 | 
| 3.【演習】持参した「競争店調査・対策実施結果」をもとに対策を検討する (1)競争店調査・対策実施結果の確認 | 持参したなかからモデル事例を選び実際に調査し、持参した「競争店調査」データ及び競争店対策実施結果に関し、グループワークにより検討。事実データに基づいているか? 対策のロジックは論理的に成立しているかなど、改善効果が見えるかなど検討。 | 
| 4.【演習】第3回「カイゼン」進捗状況共有化 | 前回の検討課題に基づき改善した結果を共有化する。 | 
| 5.店長としての生産性改善を考える | 今後ますます店長のお手本となるための「自己改善課題」の設定今まで取り組んできた歩みを振り返る。さらに上位の目標達成に向けて改善をはかる。 | 
| 6.講師より 期待すること◆事務局 第5講 全研修修了挨拶 | 

研修後の状況
研修終了時に行う決意表明の発表で次のようなコメントがあった。
- 「研修と研修の間の課題がとても大変だったが、実際にやってみることで、得るものがあった。」
- 「全講座を通じて、店長としてのやるべきことが明確になった。」
- 「狭い視点で見ていたことに気づいた。広い視点で見ることを理解した」など。
