実践心理学~商品・メニュー説明編

実践心理学~商品・メニュー説明編

私の好みと違うお客様、豊富な商品知識も心に届かない不思議!
お客様が観える・聴こえる・感じる言葉を使おう♪

〔テクニックNo.6:優先的表象系システム〕

1)運動会を思い出してください★

いきなりの質問ですが、「子供のころの運動会を思い出してください。」さて、あなたは何を1番に思い出しましたか?下記で一番近いのはどれですか?

  1. 「とっても晴れていて空が青かったな~。私がんばって走ったな~」
  2. 「“パンパーン♪パカパカ♪パンパンパカパカ~♪パンパンパカパカ♪パンパンパン」
    「位置についてー!ヨーイ、スタート!!」
  3. 「暑かったし、とっても疲れたな~」「お弁当美味しかったな!」

もちろん様々なことを次々に思い出したかもしれません。けれど、その中でもより強く感じたことや一番初めに感じたことがあなたの感性なのです。

2)「あの人とは感性が違う」なんて言ったことありますよね

この感性、人それぞれ違うというのはおそらく皆さんも日頃何となく感じていると思います。今日はそんな人それぞれ感性が違うというお話です。
ご挨拶が遅れました、日本コンサルタントグループの水野京子です。皆様お元気にされていましたか?
さて、接客に使える実践心理学講座、今日のテーマは〔商品・メニュー説明〕で使える『優先的表象系システム』です。

  『優先的表象系システム』とは  

脳が情報(経験)を取り入れ蓄積して使用する際に、
五感の中の1つの感覚が支配的(得意)であることを言います。

 

先ほどの感性ですが、実は五感と関係しています。ではここで整理しておきましょう。

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五感で感じたことに対して持つ感情や気持ち、気分などが感性です。この感性が人それぞれ違うのはおそらく皆さんも日頃感じているのではないでしょうか?

もちろん同じものを食べても「美味しい」と思う人と「まずい」と思うように、同じ『味覚』でも違いはありますが、今回は五感の中でどれを一番強く感じるかです。これを心理学の用語で『優先的表象系システム』と言います。

先ほどの運動会でいうと

  1. 映像を思い出した人は『視覚』が優先の人
  2. 音を思い出した人は『聴覚』が優先の人
  3. 味・におい・身体で感じることを思い出した人は『身体感覚』が優先の人

【図1】

優先的表象系システム
 視覚優先
  • 話したり、動いたりするスピードが早い
  • 声のトーンが高い
  • 一般的に背筋が伸びた良い姿勢
  • 目が上によく動く、身振り手振りが大きい
 聴覚優先
  • 話すスピードも姿勢も視覚派と身体感覚派の中間
  • 自問自答したり、独り言を言ったりすることが多い
  • 言葉を大切にして選ぶ
  • 目を左右によく動かす
 身体感覚優先
  • 話したり、動いたりするスピードが遅い
  • 声のトーンが低めで落ち着いている
  • 下を向きがちな姿勢
  • 目を下に動かしやすい

【図2】

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3)お客様の心に届く「伝え方」

この、『優先的表象系システム』が人それぞれ違うとどうなるかというと、感じ方だけでなく、使う言葉のボキャブラリーにも違いが出てしまうのです。そうすると、私たち接客スタッフの商品・メニュー説明がお客様に通用しないという残念な結果になってしまいます。そこで、私たち接客スタッフはすべてのお客様の心を掴むセールストークが言えるように、それぞれの表象系に合わせた伝え方(商品・メニュー説明)を準備しておきましょう!例えばオレンジ色を説明するのにもこんな違いを出します。

《視  覚》 “夕日”のようなオレンジ→映像が浮かぶ語彙を使う
《聴  覚》 “ふんわり”したオレンジ→耳に響く音の語彙をつかう
《身体感覚》 “温かみ”のあるオレンジ→身体で感じる語彙をつかう

4)レッスン♪お客様の表象系に合わせた商品説明

では、早速皆さんも表象系に合わせた商品・メニュー説明を練習してみましょう。
自店の商品・メニュー1点を選んでレッスン開始です!


★レッスン★ 表象系を使って商品・メニュー説明力アップ
■レッスン1~言葉の引き出しをアップしよう!
商品1点に対し、視覚・聴覚・身体感覚それぞれにマッチする商品・メニュー説明の語彙を書き出しましょう。

視 覚                                   
聴 覚                                   
身体感覚                                   

■レッスン2~表象系を使って商品・メニュー説明をしよう!

【進め方】

  • 2人1組になり、お客様役とスタッフ役を設定します。
  • スタッフ役は、お客様役にレッスン1で作ったボキャブラリーを使用しながら自店商品をご紹介し、商品説明を行います。
  • その時、お客様がどの言葉に反応を示して(興味を持って)いるかを読み取り、それに合わせた会話をしましょう。
  • 終了後、お客様にどの言葉がヒットしたのか、心に響いたのか確認しましょう。

【時間】

5分間


5)今日のまとめ★今日からボキャブラリー集めをはじめよう♪

さて、実際に『優先的表象系』を使っての商品・メニュー説明を実践してみていかがでしたでしょうか?もしかしたら、説明以前に語彙(ボキャブラリー)がなかなか出てこなくて苦戦したかもしれませんね。そんな方は、ぜひ“ボキャブラリーノート”の作成をお勧めします!私自身ミニノートで作り、1ヶ月に1回図書館に通い、女性誌に掲載されている商品説明を書き写していました。自分ではなかなか出てこない語彙が増えてとても接客に役立ちました。ぜひ皆さんも、自店の取扱商品に関係する雑誌やインターネット、テレビショッピングなどから語彙集めをしてみてくださいね!

さて次回、接客に役立つ実践心理学第6回は、〔応酬話法〕の場面で役立つ『ポジティブリフレーミング』です。お楽しみに~♪

  ポイント  

「五感を使った伝え方」

人には得意な五感があり、それにより心に響く言葉が違います。これを『優先的表象系システム』と言います。
接客スタッフはどのお客様にも合うセールストークが言える様に、五感それぞれに合わせた伝え方(商品説明)を準備しておきましょう!表現方法を身につけるには、語彙を増やし、苦手な感覚を磨きましょう!

 

関連項目

心理学を活用した研修をご用意しています。