ロス改善レポート(6/8)

ロス改善レポート(6/8)

6.ロス改善に取り組む前に

「ロス」が発生するのは店舗ですから、ロス改善の取組みは当然店舗で行われます。しかし以下の理由からなかなか思うように進まないのが現状ではないでしょうか?

【 思うように進まない理由 】

1.ルーティンの業務の負担が大きい

    → ロス改善に割ける時間が少ない

2.ロス改善の効果的な手法が分からない

   → 行動に移せない

3.データはあるが、必要な情報に変換できない

    → 問題が特定出来ない

4.ロス改善に関して、会社としてのPDCAサイクルが無い

→ 継続しない

1.ルーティン業務の負担が大きい

「 ロス改善 」といわれても、店舗では業務に追われ、それほど時間は取れないと考えるのではないでしょうか。それはただ仕事が増えると感じるからだと思います。しかしロス改善を突き詰めていくと、

  • 発注と製造量の精度を上げる
  • その精度を上げるための情報収集  に行き着きます。となると、

「ロス改善が進むとロスだけでなく、(不要なロスに関わる)無駄な作業が減る。

→自分の仕事に追われることが無くなり、余裕を持って仕事が出来るようになる。
→仕事の負荷が減り、付加価値を生む(楽しい)仕事により時間を使えるようになる。」 ということがいえます。

こういったロス改善を実行することにより、自分たちにもメリットがあるイメージを店舗の皆さんに持っていただくことが大事です。

 

2.ロス改善の効果的な手法が分からない

店舗の方たちは、ロスに関する計算の仕方はご存知かもしれない(知らない方も実は多い)ですが、ではその「ロスをどのように改善するか」についてを体系的に学ばれた方は少ないのではないでしょうか。

 

3.データはあるが、必要な情報に変換できない

会社のシステムからデータは取れるのですが、ある意味「数字の羅列」で、読み込めない、あるいは読み込むのに時間がかかる。またエクセルで加工するにしても、エクセルのスキルが未熟で、有意なデータに変換できない。

そもそも「使えるデータ」にするための、時間もスキルも不足している店舗が多いのが、現状ではないでしょうか。

 

4.ロス改善に関して、会社としてのPDCAサイクルが無い

よくあるのは、「ロスを改善するように」との指示があり、最初は取り組むのですが、そのうち日々の業務に追われ、立ち消えていってしまうといったケースです。しかし、「ロスを適正な状態にする」というのは、会社にとっての永遠の課題で、現在のような環境では特に重要ですので、継続して行われる必要があります。ここで大事なのは「会社として」行うことです。具体的に言うと、ロス改善の「プロジェクトチーム」を設立し、メンバーには販売部の方だけでなく、商品部、SVの方も参加し、定例の会議体を回すことです。商品部の方も参加するのは、店舗だけで改善しても限界があるからです。

例えば、棚割り。ロス改善を進めていくと、定番で継続して高いロス率が発生しているのに、「棚割りにあるから」と棚割りを守ることが正となり、当たり前にロスをある意味垂れ流している商品がでてきます。

こういった商品をどう考え、どういう対策を打つのかについては、店舗と商品部の間で話し合いの上、合意や決めごとが必要です。

また広告商品では、例えば店舗からすると「広告だから発注せざるを得ないが、ロットが大きく、結局広告の後にいつもロスが発生している」商品があります。これについても、「広告だから」ではなく、商品部の方が店舗の意見を吸い上げ、数値で分析した上で会社としてどうするかを判断する。こうした店舗と商品部の連動が必要です。

大事なのは、

  • 「会社として」という共通認識を持つ
  • それを持った上で同じ数字を追う  ことです。

経験上、それが出来ただけでも数字は確実に改善すると言うことが出来ます。

 

 

目次

  1. 「 ロス改善 」は食品スーパーの永遠の課題
  2. 食品スーパーのロスの現状
  3. 代表的な3つのロス(値引き・廃棄・機会)
  4. ロス率を改善するには
  5. ロス改善のストーリー
  6. ロス改善に取り組む前に
  7. 効果の上がるロス分析とは?
  8. 不要なロスは、信用もロスする