【ベトナム人向け新入社員育成講座】 開催レポート
4月10日(月)「2017年度ベトナム人向け新入社員育成講座」を開催いたしました。
本講座では6社から8名の受講者にご参加いただきました。
まず始めに、受講者がリラックスして研修の内容を吸収して頂く為、弊社のベトナム人スタッフ(営業職)から体験談をお話させていただきました。その後、弊社のコンサルタントから「日越文化の違い」「日本の会社に馴染むコツ」「日本独特の心遣い」「ビジネスにおける所作」について学び、受講者が新入社員として取得すべきビジネスマナーを身につけて頂きました。
この研修について、受講者に内容を伝わりやすくするため、テキストにはふりがなをつける対応と講義の際に理解しがたい内容、分かりづらい単語については、ベトナム人スタッフが都度ベトナム語でご説明する等の対応を行いました。
カリキュラム
I.ウォーミングアップ
弊社のベトナム人スタッフの体験談
II.本題研修の内容
1.日本で働くための基礎知識 (講義とディスカッション)
1)日本社会に馴染むコツ
2)文化の違いを確認しよう
3)“空気を読む”とは何?
4)場面に応じた使える日本語 ~尊敬語・謙譲語・丁寧語~
2.仕事の進め方の基本 (講義とディスカッション)
1)会社と組織の一般知識
2)仕事を進め方
- PDCAサイクル
- 5S
- ホウ・レン・ソウ
- 指示・命令の受け方
3.ビジネスマナーの基本 (ロールプレイング)
1)“身だしなみ”を整える
2)あいさつとお辞儀
3)電話のマナー
4)訪問応対の基本
- 受付
- 応対室
- 名刺交換のマナー
4.決意発表 (個人)
これからの目標を立てよう!
セミナーの様子
I.ウォーミングアップ
弊社、ベトナム人スタッフ体験談として①入社経緯②入社前の不安③入社後に困った事④受講者へのメッセージ という内容について、途中質疑応答を交えながらお話させていただきました。
質疑内容には、「なぜこのような研修があるか」「日本の人材育成とは何か」「ビジネスマナーとは何か?なぜ必要か」という質問がありました。「日本の多くの会社は社員を大切し、入社時からリーダークラスまで社員の教育に力を注ぐという風土がある。社員が早期に職場に馴染んでもらい、定着と成長する為に、社員自身の自己啓発能力、職場で実務以外にも、外部の公開研修への受講といった方法が上げられる」と説明いたしました。 受講生には「日本の企業で働くということは、自身の早期成長にも繋がる」という安心感を持っていただけたのではないかと思います。 II.本題研修の内容
1.日本で働くための基礎知識
1)日本社会に馴染むコツ
ベトナム式の自己紹介を確認した後、相手に好印象を与え、同僚と仲良くしていくための日本式の自己紹介の方法についてご指導させていただきました。相手に好印象を与える為には、笑顔だけでなく、相手と共通項を持つために自分の趣味の話や、親近感を持ってもらう為に来日理由などに触れるなどの説明を行いました。
2)文化の違いを確認しよう
日本に来て「ベトナムと日本の常識が異なる点を感じた体験談」についてディスカッションを行いました。
当初は受講者同士での意見交換を行っていましたが、講師に対しても「なぜ日本人は、同僚同士で一緒にお昼ご飯を食べないのか?」「なぜ社員のプライベートに関心を持たないのか?」「なぜ日本人はあまり意見を言わないのか」等、質問がありました。講師から、文化的・歴史的な背景を踏まえ説明することで、受講者の疑問を解決しました。説明する際に、難しい単語やニュアンスもありましたが、ベトナム人スタッフがベトナム語で翻訳を行い、言葉の壁を無くしました。
日本の企業に早く馴染む為にも“空気を読む”というのは重要なポイントです。
ここでは、カルチャーマップを通じ、日本人の話し方、言葉のニュアンスなど、日本人とのコミュニケーションのとり方などについて学んでいただきました。 ベトナム人は素直に自分の意見をよく伝えるのに対し、日本では察することを好み、対立を回避する傾向があります。その為、日本の企業で仕事をする際には、ベトナム人は意見の伝え方や提案の仕方に気をつけなればならないということを学びました。
4)場面に応じた使える日本語 ~尊敬語・謙譲語・丁寧語~
ベトナム人は、柔軟な人間関係や緊張が少ない現場が好みます。また、上司や同僚に対しても職務で呼ぶことはせず、おじさん、お兄さん、〇〇君、〇〇ちゃんと呼ぶことが一般的です。 一方で、日本では上下関係がとても重視され、相手に対する敬意を表す必要があります。その点を踏まえ、受講者は尊敬語・謙譲語・丁寧語について再確認しました。演習の最中には皆さん積極的に口に出し練習をしていらっしゃいました。丁寧語については日常的に慣れているようですが、尊敬語・謙譲語をマスターする為には、あと一歩の努力が必要と思われました。
2.仕事の進め方の基本
今まで育ってきた環境や生活習慣が違う中、ベトナム人には日本の企業が求めるような仕事の進め方は理解がし難いようで、受講者から「ホウ・レン・ソウが面倒で時間が掛かる」という質問もありました。
一緒に仕事に取り組む際に、仕事の進め方や報告のタイミングが違う為、認識のずれが生じている可能性があります。ホウ・レン・ソウ、5S,PDCAサイクル等、日本人が重要視しているということをしっかりと理解しているとは限らないからです。その為、このカリキュラムでは改めて「仕事の進め方の基本」についての講義を行い、講師より日本の会社の一般知識、ホウ・レン・ソウ、PDCAサイクル、5S、指示・命令の受け方についての説明を行いました。
3.ビジネスマナーの基本
日本のビジネスマナーには独特の「心遣い」が含まれています。基本的な動作の練習だけではなく、「なぜそのように行うのか」という所作の理由を明確にした上で演習を行いました。 他の受講者と一緒に繰り返しロールプレイングを行い、講師と弊社のスタッフも受講者一人ひとりに対し、丁寧にフィードバックすることで受講者にはお辞儀、名刺交換、電話対応、訪問マナーの基本動作を身につけていただけました。
4.決意発表
研修の最後に、今後の目標を受講者の皆さん一人ずつに発表していただきました。
「おもてなし・ホスピタリティの精神でお客様と対応するように心構えをしていきます。」「電話対応は非常に難しいが、教えていただいたコツを今後の仕事に活かしていきます。」「日本のビジネスマナーは難しいが、仕事上で必須だと思うので、今後出来るように頑張ります。」など、1日間の研修を通じて、気付いた点、社会人として芽生えた決意を力強く語って頂きました。
研修受講後の感想
参加者とご教育担当者様から非常にご好評をいただきました。
1.参加者の声
- 名刺交換、電話対応のロールプレイングは研修で最も勉強になった
- ニッコンのスタッフが優しく教えていただき、たくさんのことを勉強できた
- たくさんの友達を作れた
- 「空気を読むこと」をもっと勉強したい
- 挨拶とお辞儀マナーはきちんとできれば、日本人に好印象が残るということについて印象に残った
- この授業は大好き!
2.教育担当者様の感想
- 様子を見ると、受講者は大変満足していたと感じた
- 受講者からはやはり基本的なマナーなどをしっかり学べたのが良かった
- 通訳してくれる人がついているのが安心できた
- 同じ企画をまた実施するなら、ベトナム人新入社員を受講させたい
- 楽しい姿勢で研修を受け止めた受講者を見て、自分も安心することが出来た
不安、お悩みに感じたこと (受講後アンケート)
アンケートの結果を通じて、入社する前の受講者の不安についてわかりました。
- 日本人のやり方、考え方を理解できない
- N1の資格を取得できても、敬語をまだ使えない
- 日本語がまだ上手ではないので、日本人から何か誤解されるかもしれない
- 同僚の仲間になりたいが、本当に難しいか
- ミスが有るとき、日本人に直接言えない
- 人間関係をうまくつくりたい
上記の内容を通じ、文化・言語の壁があるということで日本人と同じような教育をしたら、ベトナム人の社員には、少しきついところもあるかと思っていた次第です。よって、ベトナム人新入社員に日本独特なビジネスマナーの動作を教える前に日越文化の違いと分かりやすい日本語でその動作の背景、理由を説明する必要があります。本講座を通じて、日本式の社会人としての好スタートを切ることのお役に立てることに感謝し、皆さんの今後のご活躍を期待いたします。
今年の秋にも同講座の開講を予定いたします。ベトナム人新入・若手社員の順調な成長を願う会社様からの多数のご応募をお待ちしております。
文責 ライ・ティ・ハイン
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