第8回「副業・兼業について」 ~そのメリットとデメリット~
働き方改革の一環として政府は副業・兼業を推進しています。以前から副業・兼業する人はいましたが、収入を増やしたい、1つの仕事だけでは生活できない等と、やむに已まれず働いていたという感じがあったと思います。
しかしながら、IT化の急速な普及により物理的な移動をすることなく自分のスキル等に応じた仕事が手軽に入手できるようにもなり、副業・兼業は広がっています。人生100年時代を生き抜くためにも、個人として様々な可能性を広げるチャンスとしても捉えられています。
そもそもこの副業・兼業を会社は禁じることができるのかということですが、裁判例では、「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、①労務提供上の支障となる場合、②企業秘密が漏洩する場合、③企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、④競業により企業の利益を害する場合と考えられる」となっており、厚生労働省は基本的には推奨しています。
ではどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
労働者
<メリット>
・離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、主体的なキャリア形成が可能
・所得が増加する
・本業を続けつつ、将来の起業・転職に向けた 準備・試行ができる 等
<デメリット>
・就業時間が長くなる可能性があり、労働時間や健康の管理が必要
・職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要 等
企業
<メリット>
・労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる
・労働者の自律性・自主性を促すことができる
・優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する 等
<デメリット>
・必要な就業時間の把握・管理や健康管理への対応
・職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務への対応 等
現状、企業においては、導入において留意する点が多々あり、対応もそれなりに必要なことから、慎重になっているようです。まずは自社におけるメリットデメリットを鑑みて検討することがよいでしょう。