日本生活協同組合連合会様

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「配達応対コンテスト」開催を通して 配達担当者の応対品質の向上にアプローチ

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弊社日本コンサルタントグループ(以下、ニッコン)では、2017年より「全国生協配達応対コンテスト」の企画・運営のお手伝いをさせていただきました。コンテスト導入の経緯から実際の運営、開催後の影響などについて、主担当としてご尽力されてきた事業支援本部事業支援部宅配事業支援グループの松居哲生様にお話をお伺いしました。

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日本生活協同組合連合会様は、加入する生協の組合員総数約2,873万人(2017年度末)からなる日本最大の消費者組織です。324の生協が加入しており、それぞれ宅配、店舗、コープ共済、福祉・介護などの事業を展開しています。近年、食材や日用品などをご自宅や職場にお届けする宅配は売上の伸長が続いており、日本生活協同組合連合会様の会員生協の中核事業となっています。こうした宅配事業における配達を担う配達担当者に対して、今までも安全運転や新規組合員さんを増やす営業などの学習会や大会の企画を実施してきました。そして、次の課題として、組合員さんとの直接の接点における応対品質とも言える応対教育向上のため、2017年から「全国生協配達応対コンテスト」を開催しました。

配達担当者の応対問題にスポットを当てる

松居様)宅配担当者は、生協を支える組合員さんと毎週の配達時に接点を持つことになります。
ですが、組合員さんとの応対に関する教育は全国的に現場任せになっていることが以前より言われていました。実際、新規組合員さんを増やす営業への応対教育は実施していても、配達担当者への応対教育は十分とは言えないのが現状でした。果たして組合員さんは配達担当者の応対に満足しているのか、ずっと不安に感じていました。毎週配達にくるので意見やクレームなどを言うと気まずくなるため押さえているだけで、不平不満が顕在化していないだけではないかと思ったのです。

――そこで、応対のレベルアップのためのコンテストを始められたのですか。

現像_181204_0166居様)はい。直接の契機は安全運転を競い合い、学習する「全国生協安全運転大会」に応対部門を盛り込んだ、ということです。大会では、道路交通法に則った運転指導に加え、組合員さんからの商品の申し出への応対競技を行っていましたが、その結果は、会員生協が奨励しているものではありませんでした。組合員さんのお申し出に対して「商品部に連絡します」「すぐに交換します」など事務的な応対が多く、せっかく1週間もお待ち頂いた商品に対して不具合があったことへの申し訳無い気持ちを十分に伝えることはなく、組合員さんの気持ちに寄り添った対応や共感力不足に課題があることが分かりました。応対の品質向上のための教育を継続的に行う必要性と配達時の応対事例を交流する場の必要性を痛感し、配達時の応対に特化したコンテストの開催を決めました。

――開催のパートナーにニッコンを選んだのは、どのような理由からでしょう。

松居様)やはり応対に関しては、接客指導などのプロフェッショナルにお願いする必要があると考えました。しかし現状では、配達担当者の応対教育を専門とする企業コンサルタントは殆どいないのが現状です。元々ニッコンさんとは長いお付き合いがあり、また、接客・応対分野ではコンテスト開催も含め豊富な指導実績をお持ちなのは存じておりましたので、ニッコンさんのスーパーや専門店の接客応対教育のノウハウが、生協の配達職員の応対教育にリンクするのではと思っていましたので、ご提案いただいた内容で迷わずにお願いすることにしました。

コンテストを契機に応対教育の輪が広がる

――「全国生協配達応対コンテスト」の具体的な内容についてお聞かせください。

松居様)2017年9月に第1回を、2018年9月に第2回を開催しました。いずれも日本全国の会員生協から20数名が参加し、新加入の組合員さんのお宅で初めてお会いする設定で、配達応対のロールプレイングを競い合いました。審査員には日本生活協同組合連合会に加えニッコンの講師、また第2回には、より客観性を持たせるため、第1回の企画作りの際にアドバイスを頂いた東急百貨店の接客教育を担当されている方にも入っていただきました。

――工夫された点、苦労された点についてお教えください。

松居様)現場に立脚したコンテストにするよう心がけました。講師やロールプレイングの組合員役の方には、生協の組合員さんにこだわってお願いをしました。講師の方には事前に、家に配達に来た際に覆面調査なども行っていただきました。また、一緒に企画・運営に携わっていただいたニッコンの担当者や講師の方に何度もトラックの配送業務に同乗していただき、その経験をコンテストの審査などにも反映していただきました。その結果、『組合員さんとともに創る生協の応対コンテスト』になったのではと自負しています。

一方で苦労したのは、審査基準の設定です。応対内容に関しては、挨拶からお辞儀の仕方、具体的な方法に関しては地域の会員生協ごとに異なります。ですから、会員生協に足を運びヒアリングを重ねながら、すべての会員生協に共通する基準を設定し、それに合わせた審査項目・評点方法などを設けました。

――コンテストの効果はいかがでしたか。

松居様)コンテストですから優秀者を選出し順位付けしますが、それが目的ではありません。私たちが目指したのは、コンテストを契機に、配達する人の応対教育の重要性を全国の会員生協に認識してもらい、その為の取り組みを更に推進してもらうことです。その為に、競技だけではなく、応対力・コミュニケーション力向上のための学習会を実施したり、選手間の交流を深めて頂けるような企画をしたりしました。また、当日のコンテストの模様をDVDに録画して参加した会員生協にお配りし、第2回からは参加者が自身の良かった点、悪かった点を振り返ることができるに個別の審査表もお渡ししました。この審査表は項目ごとに自身の得点が参加者平均点、上位3者の平均点と比較できるよう配慮されており、復習にとても役立つと好評でしたね。

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こうした取り組みもあり、コンテスト開催後に会員生協では様々なアクションが生まれています。全国大会に臨むための予選会を開催したり、大会に参加した方が講師となって応対の勉強会や研修会を開いたりする会員生協も増えています。例えば、コンテストに参加されたあるベテランの配達担当者が自分では笑顔のつもりだったのがDVDを見てそうでないことに気づいたそうです。そこで、常に口角を上げるよう努力したところ、組合員さんからも評価をいただいたということです。その他にもコンテストのDVDを新入社員に見せて応対教育に活用しているところもあります。こうした様々な声が届いており、私たちコンテストを主催した側としても大きな手ごたえを感じています。

今後も生協ならではの応対のあり方を追求

――今後はどのような取り組みをされていくのでしょう。現像_181204_0164

松居様)まずはこの取り組みをしっかり継続していくこと。マンネリになることなく、且つ現場の実態から離れないような、毎回様々な工夫を凝らしてコンテストを開催していきたいと考えています。
また、全国生協共通に活用できる生協版応対接客ビデオを作成して、生協ならではの応対のあり方を明確にしながら、会員生協の応対教育の活用に繋げられたと考えています。いずれにせよ教育は継続していくことが大切です。しっかり教育を続けて応対の品質向上を上げていくことで、配達担当者に、仕事のプロフェッショナルとして誇りを持っていただければと思っています。

 

――今後、ニッコンにどのようなことを期待されますか。

ニッコンさんの担当者の方はとてもよくやってくれていて、感謝しています。今まで配達時の応対に関する接客サービスの研修を行っている企業はほとんどありませんでしたので、最初は手探り状態でのスタートでしたが、コンテストの開催を通して徐々に生協に配達応対の形も見えてきました。今後は「さすが生協さんですね」と言われるような、生協ならではの配達応対スタイルの確立を目指していきます。その実現に向けて、今まで以上のサポートをお願いできればと思っています。

 

お話を伺った方:
事業支援本部 事業支援部 宅配事業支援グループ 松居哲生 様
取材地:
日本生活協同組合連合会 本部
公開日:
2019年1月10日(名称等は、公開当時のものです)

 

企業情報

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会社名 日本生活協同組合連合会
本社所在地 〒150-8913 東京都渋谷区渋谷3-29-8 コーププラザ
創立 1951年3月20日
代表者 代表理事会長:本田 英一
会員数 324会員(2017年度末)
供給高 3,785億円(2017年度末)
出資金 91.4億円(2017年度末)
職員数 1,482人(2017年度末)
公式サイト https://jccu.coop/

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