実践心理学~グリーティング、お声掛け・アプローチ編~

実践心理学~グリーティング、お声掛け・アプローチ編~

今日から私も占い師デビュー!?お客様深層心理をずばり当てちゃおう♪

(テクニックNo.2:キャリブレーション(観察))

1)お客様の心を“観る”?

皆様、こんにちは。日本コンサルタントグループの水野京子です。
さて、接客に使える実践心理学講座、今日のテーマは『グリーティングからお声掛け・アプローチ』で使えるテクニック『キャリブレーション(観察)』です。

 

  キャリブレーション(観察)とは  

「相手がどのような状態にあるのかを、言語以外のサインで見分けるための情報収集法」です。

 

「なーんだ、観察!?それってテクニックなの?」と思ったあなた!キャリブレーション(観察)は立派なテクニックなのです。

では、ここで質問です。「今日もしくは昨日一番直近で接客したお客様は、どんな方でしたか?」「お顔や体型は? 髪型や髪の色は? 洋服は何を着ていた? 鞄や靴はどんなデザインだった? 時計やアクセサリーは着けていた? 結婚指輪はしていた? ネイルは? どんな物でデザインや色や素材はどんな物だった?どんな表情をされていましたか?」思い出せる限り思い出してみてください。

さあいかがでしょう。どれだけ鮮明に記憶できていましたか?おそらくほとんどの方は、鮮明に記憶できていなかったのではないでしょうか?これがよく言われる『見る』と『観る』の違いです。
ただ『見る』のと、観察する『観る』のとではまったく違うのです。
人の行動には深層心理が表れています。だから、表面の事象を観察することで、お客様の心をも“観察”しましょう。

 

2)お客様の深層心理を当てて喜ばれる接客をしよう★

それでは、「なぜ観察が必要なのでしょうか?」それは、お客様個々に合わせた接客をしてご満足いただくためには、お客様が口頭でお話しにならない情報がとても大切だからです。私自身、物販店で接客をしていた時にいつも感じていたのは、お客様は余程明確な購買目的がある時か、相当な時間おしゃべりをして人間関係が築けてからでないと本心を語ってくださらないということです。特にショッピングセンターにいらっしゃるお客様は自店以外の店舗に来店目的があって御来館されたついでに、たまたま自店に立寄ってくださるケースも多いですよね。それなのに、いきなり物販店で商品をお勧めしたり、飲食店やサービス店でメニューが決まっていること前提の質問をしたりするとお客様をがっかりさせてしまうことがありますよね。

ですから私たち接客スタッフはお客様の行動をよく観察してお客様が今求めていることに合わせた接客を展開していくことで、お客様にご満足いただくことが大切なのです。

これを整理すると下記のようになります。

【1.情報収集】キャリブレーション(観察)して、事実を集める。
【2.情報分析】キャリブレーションした内容を元にお客様の心情を想定する。
【3.情報活用】想定されるお客様の心情に合わせて接客を行なう。

 

3)ある飲食店での私の失敗・・・

私がある路面店の和食店で働いていたとき、こんなことがありました。9月の最終週に『きのこのあんかけうどん柚子風味』なる物が新メニューとして出ました。通常メニューとは別のメニューや店内にPOPも多数貼り出されました。そんな折、ランチタイムに女性客がお1人でご来店され、先にご来店された同僚3名の席に着きました。私が、メニューと温かいお茶とお絞りを出すと、お冷を頼まれました。お冷をお持ちすると、お勧めメニューを聞かれ、私は迷わず新メニューをお勧めしました。メニュー説明も朝礼でミニロープレを行なっていたので、丁寧にしました。ところがお客様はお勧めメニューに興味を示さずまったく別の物を注文され、私は内心がっかりしてオーダーを厨房に通したのです。
その様子を見ていた店長から呼び出されて、なぜ新メニューをお勧めしたのかと聞かれて、私は質問の意図がわからず困っていると、店長から「今のお客様はどんな方でしたか?」と質問されてやっと何か失敗をしたのだと気が付いたのです。

察しのよい方なら、想像がついたのではないでしょうか。私はお客様をまったく観察することなく新メニューをお勧めしてしまったため、お客様にとって満足のいくご提案ができていなかったのです。

4)チャレンジシンキング★あなたならどんなメニューをお勧めする?

では、皆さんも一緒に店長がキャリブレーションした内容をもとに、お客様の心情を読んで、接客者としてお客様にどの様なメニューをお勧めすればよかったのか、一緒に考えてみましょう。


クエスチョン

店長がお客様をキャリブレーションした下記内容をもとにお客様像やお客様心理を想定してどの様なメニューをお勧めするか考えてみましょう。

【1.情報収集】

  • ご来店時間は12時25分ごろ。先にご来店の同僚の方達のご来店時間は12時5分ごろ。
  • お召し物等は、白のノースリーブワンピースに社員証を首から提げ、扇子とハンカチとお財布だけを持ちご来店。
  • 入店してからも扇子で扇いで汗を拭いていた。
  • 温かいお茶には口をつけずお冷を頼まれた。
  • メニュー表の開いていたページが冷たい料理のページだった。

アンサー

【2.情報分析】

さて、どのくらい分析できていたかチェックしてみましょう。

  • 同僚のお客様のご来店時間を考えると、おそらく休憩時間は12時から13時の1時間であると想定できる。
  • 同僚のお客様のご来店時間や女性客のいでたちや持ち物を考えると、会社は近場(歩いて5分以内圏内)と想定できる。
  • 休憩時間のこと、同僚の方と一緒のこと、女性客であることを考えると、同僚のお客様と同じぐらいに店を出られる方が良いと想定できる。
  • 退店時間を考えると、素早く提供でき、時間がかからずに食べられるものが良い。
  • ノースリーブであること、扇子で扇ぐ、お冷を頼む、メニュー表の見ているページが冷たい料理のページだったことから、暑いので冷たいものが食べたいと想定できる。
  • 白のワンピースだから、汚さないように汁などが飛ばないものがよいと想定できる。

【3.情報活用】

情報を活用すると、下記の応対がベストです。

  • お客様がご覧になっているページから提供時間が早く、暑がっているお客様でも食べやすいメニューをご紹介する。
  • できれば、お召し物を汚さないよう汁物は避けたいが、店舗に紙エプロンなど準備があればお勧めする。
  • できれば、味の好みも確認した上でご提案する。

以上、皆さんはどの程度情報を分析して活用することがイメージできましたか?「あんかけ」のように食べづらく、保温性があって寒い冬に食べると身体を温める効果があるメニューはこのお客様には向きませんでしたよね。私のお勧めはまったくお客様をキャリブレーションしていなかったお勧めで、きっとお客様は内心がっかりされたでしょうね。そんなことにならないよう、キャリブレーションのテクニックを身につけましょう!

 

5)今日のまとめ★占い師・探偵になろう!!

キャリブレーションは、そんなに難しいテクニックではないので皆さん安心してくださいね。とにかく“観て”“観て”“観まくる”ことです。ただし、『観るポイント』と『情報をインプットして分析する力』が大切です。

例えば先の私の失敗談の中では気付きづらいことがあります。

1つ目は、「女性が1人でお昼は恥ずかしいな」と思うかもしれないということ。
2つ目は、「白のワンピースの時に食べにくい物は避けたい」と思うかもしれないことです。

ポイントは両方とも思うかもしれないし、思わないかもしれない、人それぞれ違うことです。男性は気付きづらいかもしれないですし、女性でも「え~私そんなの気にしないわ♪」という人だっていますよね。自分の性格や感性だけでは、すべての人の気持ちはわからないから、常日頃から多くの人を人間観察して、その膨大な情報を整理しておく必要があるのです。占い師が使っているテクニックはこれだと言われています。キャリブレーションした内容を「あなたは○○ですね」とはじめに当てることで相手を信じ込ませる。だけど、そのもとになっているのは、膨大な知識や経験・情報によるもので、当たる率が高いから皆信じるのですよね。嘘ではなく、要は当たる率が高いことがポイントなのです。私たちも日々、丁寧にキャリブレーションして接客に活かしましょうね。下記【図1】のシートを打ち出してキャリブレーションの特訓に活かしてください。また、会話中のお客様の心情について、【図2】に書かれているポイントをキャリブレーションして接客に役立てましょう。きっとお客様から「よくわかりましたね!」「私の好みにピッタリだわ♪」など、共感の言葉をいただけるはずですよ。

【図1】
sekkyaku_column2-1

 

【図2】
sekkyaku_column2-2

  ポイント  

『見る』と『観る』は違う

お客様の表情や行動、ボディランゲージから、お客様の気持ちを読み取ることができます。
また、ご来店時間、服装・髪型等の装いからは、その方の趣向や好み・ライフスタイルまでも想像することができるので、お客様をよく観察することが大切です。特に入店時の行動には、お客様の気持ちが集約されていますので、丁寧に観ましょう!

 

さて次回、接客に役立つ実践心理学第3回は、〔ウォンツ・ニーズ把握〕の場面で役立つ『4つの聴き方』『会話によるペーシング』です。お楽しみに~♪

 

関連項目

心理学を活用した研修をご用意しています。