ニッコン建設業フォーラム2023 開催レポート

ニッコン建設業フォーラム2023 開催レポート

令和5年2月10日(金)に「ニッコン建設業フォーラム2023」をベルサール神田(東京都千代田区)にて開催いたしました。

今年は、「地域建設業の働き方は本当に改革されたのか?~時間外労働の上限規制適用を目前に控えた「自社総点検」と「更なる改革」に向けて~」と題し、多様な視点からご提言いたしました。

時節柄、会場参加は限られた人数でしたが、全国から経営者・経営幹部の皆様にご参加いただきました。

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次第

主催者挨拶

代表取締役社長 清水 秀一

基調講演

地域建設業の働き方改革とは ~我が社が進める働き方改革の現状と今後~
沼田土建株式会社 企画室長 吉田美由紀 様

Session1:地域建設業における「働き方改革」の取り組み
経営コンサルタント 齋藤 昭彦

Session2:いかにして現場の生産性をあげるのか
建設マネジメント室 室長 丸谷 正

Session3:働き方改革の先にあるもの
副部長コンサルタント 菅原 政郎

総括

2024年までに実施しておくべきこと、さらに将来を見据えて取り組み始めておくべきこと
建設マネジメント室 室長 丸谷 正

閉講挨拶

2023経営者交流会へのお誘い
建設産業研究所 所長 長谷部 雅彦

講演の要点

基調講演 地域建設業の働き方改革とは

Picture2 沼田土建株式会社 企画室長 吉田美由紀 様

どの企業も同じだと思うが、当社従業員の年齢構成は55歳以上が3割以上を占める。就活セミナーや高校の就職セミナーなどに力を入れているが採用状況は非常に厳しい。

より一層の生産性向上のために、i-Constructionの推進に目を向け、社内に企画室という部署を設置しi-Constructionを中心に据えた将来ビジョンを構築して取り組んでいる。i-Conへの理解促進・技術力アップに向けた社内研修などの取り組みを進めており、建設現場の革新的な取組を行った団体に贈られる「i-Construction大賞」優秀賞を受賞することができた。

働き方改革に向けて、さらに女性の力を活用するなど、働き方改革の推進を継続して行っていきたい。

Session1 地域建設業における「働き方改革」の取り組み

Picture3 経営コンサルタント 齋藤 昭彦

弊社が行った働き方改革に関するアンケート調査の結果を見ると、時間外労働の上限規制については、依然として約8割の会社が達成できていないという結果が出ている。書類作成等の事務作業や現場業務についてもまだまだ改善余地があるようである。また、人材の確保・増員と能力向上についても重要性の認識が高い結果が見て取れる。

業務改善を進めていくためには、「ヒト」「業務」「マネジメント」の3つの視点より業務のムリ・ムダ・ムラを捉え、改善を進める必要がある。

時間外労働を減らすためには、6つのアプローチから、仕事量の削減と処理スピードの向上を検討する必要がある。それは、『省く』『移す』『育成:処理能力の強化』『標準化・閲覧化』『DX・IoT活用』『時間の使い方(タイムマネジメント)』である。

Session2:いかにして現場の生産性をあげるのか

Picture4 建設マネジメント室 室長 丸谷 正

顧客企業において、現場職員の1日の時間の過ごし方を15分単位で記録していただいた調査結果がある(入社10年未満、のべ200名弱)。そこから業務時間の長さと使い方についてのヒントが得られる。

建設業は古来より、個人スキル重視の業務内容であり、個人責任が重くなりすぎると、組織では問題解決が進まないといわれている。分権委任型の良さを残しながらも、組織で【問題ないか相互にチェックする】【皆で忌憚なく問題解決を議論する】という文化形成が必要である。

近い将来、4週5閉所~4週8閉所が常態化する。結果、工期が延び、完工高が下がる。現状の収益を維持していくためには、いかに投入資源少なく、現状以上の付加価値をあげるかが、キーポイントとなる。

Session3:働き方改革の先にあるもの

Picture5 副部長コンサルタント 菅原 政郎

時間外労働時間の削減のためには、長く働くことよりも効率的に働くことを評価し、生産性が高い人材に対して賃金分配を高めていくことも考えられる。その結果、長時間労働削減が組織文化として根付いていく。したがって、多くの社員に「効率的に働いた方がメリットが高い」と感じられるような人事労務制度の設計と運用がカギとなる。

働き方改革を推進するためには、仕事を取り巻く環境整備、つまり、人事諸制度の整備は必須である。しかし、それだけでは、従業員の「働きがい」の向上にはつながらない。現場代理人が1人前に成長する過程において、経験年数に応じて求められる役割を段階的に定義する【スキルマップ】を設計し、仕事の達成感や責任範囲の拡大、能力向上や自己成長を実感させ、従業員の「働きがい」につなげることが重要である。

総括

Picture4 建設マネジメント室 室長 丸谷 正

フォームの総括としては、まず業界全体で変わることの大事さ、分権委任体質の改善から始め、マンパワーありきの考えからの脱却をお伝えした。改革が進まない原因がいつも、「マンパワー補充」や「現場代理人任せや若手の意識の問題」になってしまうと、何も変えることはできない。業界全体で変わらなければいけない。そのためにはまず自社から変えていくことである。

そして、収益体質を強くしていく緻密な数値計画の必要性をお伝えした。企業は営利集団であり、働き方改革はしなければならないが優先順位がある。まず、足元の収益の見通しをしっかり立てて、人やモノに投資をして改革を実行して欲しい。

参加者のご感想、ご意見

・業界全体の流れが理解できた。社内で展開したい項目があった。
・まとまった資料・講義で頭の整理ができました。
・大変分かりやすく、整然にとりまとめられた構成で勉強になりました。

ご案内

※本フォーラムをオンデマンド配信いたします。ぜひご覧ください。
配信日:令和5年3月1日(水)~3月17日(金)
視聴料:44,000円(税込)/1社

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