「グローバル人材育成セミナー」開催レポート
5月19日(木)に「グローバル人材育成セミナー」を開催いたしました。
セミナーでは、グローバル人材育成プログラムの研修のねらいと特長を説明し、実際の研修で行う演習を出席された人事担当者の方に体験していただきました。また、中国で現地スタッフをマネジメントして、ビジネスを成功に導くポイントについての講演を行いました。
研修のねらいと特長
1.研修のねらい
本研修は、現地法人にマネジャーとして赴任を予定している方・赴任の可能性がある方を対象にしています。「グローバル人材」を「海外の現地法人において、マネジャーとして、日本人以外の人材を上手にマネジメントし、組織の業績・成果を達成することができる人材」と定義し、海外赴任前にグローバル人材を育成することをねらいとしています。
海外拠点での市場拡大を目指し、マネジャークラスの社員を海外に派遣する企業が増加しています。それらの企業の多くは「語学」や「異文化マナー」の教育のみで現地に派遣しており、マネジャーが現地で業務を行ってみると「現地スタッフへの指示が通じない」、「指示したとおりに仕事をしてくれない」という問題に直面しているケースが多く見受けられます。
この問題は、現地で日本式の業務運営・マネジメントを行っていることによるものが多いようです。解決には運営を現地式に変えるなど柔軟な思考で発想を転換することが必要です。
赴任前にマネジメント上で起こる問題や現地との運営の違いを知り、現地で必要なコミュニケーション・スキルを身につける本研修は、起こりうる様々な問題に対処しながら業績向上に導くマネジメントを行える人材を育成します。
2.研修の特徴
研修は標準2日間で、以下の流れで演習を中心に進めます。
①組織における自分の役割を認識する、②海外の価値観に触れる、③マネジメントの基本を理解する、④コミュニケーション・スキルを学ぶ、⑤自分を知り、海外赴任への動機づけを行う、⑥自己課題を整理し、海外赴任への意識を高める。
本研修で学ぶポイントは、海外のビジネスに対する考え方・価値観を知り、日本の特殊性を認識することです。価値観や仕事観、社会構造が形成された背景である宗教や歴史にも触れて理解を深めることで、納得して自身のやり方を現地に合わせるなど柔軟な対応が可能になります。
コミュニケーション・スキルは論理的に話すスキルをはじめとした具体的・実践的なスキルについて、テーマと場面別のロールプレイングを通じて学習します。
海外生活への不安を取り除き、キャリアとの連動性を通じて海外赴任への動機づけを行うとともに、自己課題を整理し赴任への意欲を高めるというメンタル面も考慮したプログラムとなっています。
研修体験の様子
セミナーでは、研修で実施する2つの演習を体験していただきました。
1.グローバル人材度チェック
グローバル人材度チェックは、ビジネス慣習や仕事観について30の質問を行います。それぞれが日本と海外の各地域に当てはまるかどうかを考え、自身の現状認識度合いをチェックし、海外と日本の違いや日本の特殊性を認識することをねらいとしています。
実際の研修では30問について自己チェックを行い、グループ討議で各項目を選んだ理由を話し合った後に、講師からの解説を受けます。セミナーでは10問についてチェックを行っていただき、講師が解説しました。
「残業」についての設問では、「海外は仕事第一主義ではない。例えばキリスト教では労働は苦役とされているため、仕事とプライベートをはっきり分ける。仕事第一で働くことにやりがいを見つける日本では多少の残業は当然と認識されているが、その考え方を強要してはいけない」と解説。
「縁故」についての設問では、「海外は日本と違って縁故(コネ)社会ではないと思われがちだが、海外でも縁故は重視される。固定概念を持たないことも大切」と強調しました。
2.職務記述書の作成
職務記述書は、英語では「job description」と呼ばれる、仕事の責任の範囲を示すために用いられる公式な説明書です。
研修では、受講者が自身の職務記述書を記入し、グループで各人の記述内容を見てどのように捉えるかを話し合います。その上で、実際に使われている英文の職務記述書を例に記述のポイントなどを講師が解説します。
セミナーでは、職務記述書の記入を体験していただきました。
「海外では神との契約を結ぶ宗教が基盤となりビジネスも契約主義である。職務記述書もこの考えがもとになっている。スタッフはこの書面をもとに自分に求められる仕事を把握するため、マネジャーは書面に記入できなければ仕事を与えることができない。
記述をもとに公正に評価を行うことも作成の目的の一つ。読み手にわかりやすいように、表現が平易で明確であることが重要」など、日本と海外の評価の仕方の違いにも触れながら解説しました。
職務記述書の例をもとに解説する上野講師
講演~中国に派遣される日本人マネジャーの問題点~
日本企業の中国におけるビジネスを支援している講師が、これまで多く目にしてきた日本人マネジャーの問題点を指摘しながら、現地で中国人スタッフをマネジメントし成功に導くためのポイントをお話しました。
中国に現地法人がある会社は現在約1万社で、成功している企業は3分の1、経営に苦労していたり撤退に追い込まれている企業が3分の1で、それ以外は、かろうじて収支が取れている状態です。
成功していない要因として、日本と中国の歴史的背景を理解して中国人スタッフに接していないことや、日本での仕事の仕方を強要していること、仕事観の違いに気づかずにコミュニケーションを行っていることをあげ、中国人スタッフの不満の声など現地での例を交えながら説明しました。
「日本と中国とは地理的には近い国であるが、文化的には日本とアメリカよりも距離があるといってよいほど、大きな違いがあることを認識する必要がある」
「日本は団体主義であるが中国は個人主義。長い歴史の中で、他民族から侵略された際に国境を越えて移動していたことにも由来する。しかし日本の団体主義やチームワークの良さを上司が教えて業績を向上させていくことも一つの手段。『日本はこうだ』と決めつけて指示するのではなく、『日本の本社がこのようなやり方で成功しているので、こうしましょう』という説明をするなど、話し方にも気をつけなければならない」
価値観・仕事観の違いはありますが同じ人間として、お互いに話し合い理解し合うこと、交流の姿勢を持って接することが、中国で成功するために大切であると述べ講演を締めくくりました。
中国と日本の違いを説明する近藤講師
受講者の感想
ご参加いただいた受講者の方々からは、以下のようなご意見をいただきました。
受講者の声(抜粋、要約)
- グローバル人材について、その研修方法について実際にグループワークの一部を体験することができ、よく理解できた
- 現実、生の声を聞かせていただき、勉強になりました
- プログラムの具体的なイメージができたことと、御社が考えるグローバル人材が理解できてよかったです
- 中国との文化の違い、意識の違いについて理解し、興味深く聞かせていただきました
- 中国でのマネジャーの行動の仕方についてのお話は大変興味深く伺いました
当日、ご多忙の中ご来場いただいた皆様には改めて感謝を申し上げます。
今後も、人材育成に関するセミナーを開催いたします。
■ 日本コンサルタントグループ 会社概要
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- 1956年12月
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