エコ住宅とリーガルポイント セミナー開催レポート

エコ住宅とリーガルポイント セミナー開催レポート

5月19日(水)に「エコ住宅とリーガルポイント」セミナーを開催いたしました。

セミナーでは、エコ住宅の推進に欠かせない法律知識と、営業から契約、そして施工・引渡しのそれぞれの段階における具体的な対応について解説をさせていただきました。

セミナー内容

 カリキュラム 1.エコ住宅と訪問販売

1)訪問販売とクレーム
2)クレーム対応と消費者関連法の改正

2.受注段階のリーガルポイント

1)特定商取引法・消費者基本法・景表法
2)営業担当者への効果的な教育の仕方

3.契約段階のリーガルポイント

1)建設業法・割賦販売法・民法
2)協力会社、代理店との契約

4.施工段階のリーガルポイント

1)民法・建設リサイクル法・特定商取引法
2)施工担当者への効果的な教育の仕方

5.メンテナンス段階のリーガルポイント

1)民法・個人情報保護法
2)顧客管理のチェックポイント

6.まとめ

 

セミナーのポイント

(1)環境・安全・品質に関する法律強化への対応

法律は時代ともに変化していくものです。数多くある法律の中でも、環境と安全、品質に関しては、今後、社会的な要請の変化に伴って法律も変化していくものと考えられます。特に生活者保護の観点から、さらに強化されることが予想されます。

エコ住宅の営業は、これら3つの領域に深く関係しています。そのため、法律の変化に対応できなければ企業は生き残ることができません。変化に対して企業が後追いで対応していくのではなく、前もって対応策を決めて実行していくことで、市場に対して戦略的に攻めていくことも可能になります。

法的対応をネガティブに考えるのではなく、ビジネスチャンスと捉えて積極的に取り組んでいくことが必要です。

(2)お客様との情報格差、技術格差を踏まえた説明責任

事業者と消費者の間には当然、情報・知識・技術において格差があります。これを踏まえて両者が対等な関係で契約の締結ができるためにも、商談の際にはアドバイスを含め、事業者が消費者に情報を提供しなければなりません。

「お客様に質問されなかったので答えませんでした」では事業者側に非があることになります(説明責任の不履行)。そして、重要事項について事実と異なることを告げた(不実告知)ことによる誤認として契約の取消権が行使されることがあります(消費者契約法)。お客様は、よく知らないことに対して質問はできません。お客様から質問される内容を想定して、それに正確に答えられるようにしておくべきです。

エコ住宅販売の商談は、情報収集をしながら契約内容を決めていく重要な場面です。必ずメモをとり、書面に残していくことを徹底しましょう(企業間の商談では、録音する場合もあります)。契約締結後に「言った・言わない」がないように、お客様にもメモをとってもらい、双方が合意・確認しながら商談・契約を進めていきます。

営業担当者が10人いたら10人が同じレベルで説明、行動ができるようにします。つまり、バラツキをなくすことがコンプライアンスでは重要です。

(3)特定商取引法改正による営業活動への影響

平成20年6月、特定商取引法(特定商取引に関する法律)が改正されました。この改正でエコ住宅の営業に大きく影響することは、訪問販売規制の強化(再勧誘の禁止等)です。一度断られたお宅には、勧誘の継続や再訪ができなくなりました。

よく「営業は断られてから始まる」という言葉が営業担当者の間で使われていましたが、これが通用しなくなりました。一度断られたら、こちらから再アプローチすることはできませんが、お客様の方からコンタクトをとっていただくことは可能です。

また、断られたとしても信頼を持っていただけるような説明や丁寧な対応をすること、契約をいただいたお客様や近隣の方々への対応で信頼を得ることで、お客様から再提案の要請をいただいたり、お客様の知合いや近隣の方をご紹介いただけることが考えられます。
ピンチをチャンスと捉えて、責任感と誠意ある対応を全社員に徹底させることです。

具体的な事例を用いて解説する手塚講師

(4)契約書、約款は自社の体力に見合った詳細なものに

業者の責任により発生した瑕疵(不具合・クレーム)があった場合、迅速な損害の賠償が求められます。このようなトラブルに対応するために、契約書と約款等が取り交わされます。当事者の合意として契約書・約款等が書証として機能します。

いくら契約時に口頭で説明したとしても、書面(仕様書・設計図書等)として残していなければ訴訟で書証として利用できません。「訴訟は多額の費用と労力を要するというイメージが浸透している」と思われますが、現在では簡易な手続きとして少額訴訟やADR(判外紛争解決手続)の利用が広がっています。例えば代金(60万円未満の金銭債権)の支払いが遅延しているお客様に対して少額訴訟を起こします。このとき、10万につき1千円の手数料を支払えば、差額が回収可能となります。

約款は、一般的にそれぞれの業界(建設業・リフォーム業等)で定型的な雛形が作成されています。しかし、個々の企業は、約款の前提になる経営力(財務体質・施工技術等)が異なります。それを無視して安易に雛形の約款を取り入れるのは危険です。自社で対応できる範囲・内容を記載し、想定される様々な事態に対応する条項(賠償額の予定・合意管轄等)を設定するなど、自社の体力に見合った内容にしておきましょう。

契約書・約款の書き方・使い方で、事業者の利益率が変わります。法律と財務は背中合わせです。損失を大きくしないためにも、事前の備え、法的武装が大変重要なのです。

(5)まとめ

以上の内容の他にも、個人情報保護法、不正競争防止法、消費生活用製品安全法、景表法等に関する事項や対応についてご説明いたしました。

また、セミナーの中であげたような様々な法律知識や対応方法を学ぶことができる「組織体質強化のためのコンプライアンス研修」や、法的対応のQ&Aマニュアル(事例集)といった弊社商品・サービスもご案内いたしました。

ご参加いただいた受講者の方々からは以下のようなご意見をいただきました。

受講者の声(抜粋、要約)

  • 各段階でのポイントの具体例を交えながら説明していたので、非常にわかりやすかった
  • 講義もわかりやすく、資料も大変参考になった
  • 訪販にならないようなやり方、一連のトラブルなどを教わり、大変参考になりました
  • 非常に参考になりました。早速、やらなければいけないことを整理して、取り組んでいきたいと思います

当日、ご多忙の中ご来場いただいた皆様には改めて感謝を申し上げます。
今後も、コンプライアンスに関するセミナーを開催いたします。
詳しい情報については、こちらのHPでご案内いたしますので、ぜひご覧ください。

■ 日本コンサルタントグループ 会社概要
【会社名】
株式会社日本コンサルタントグループ
【所在地】
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【創 業】
1956年12月
【事業内容】
総合経営コンサルタント業(企業診断・改善支援、人材育成・能力開発、市場調査、地域開発、e-メールプロモーション・出版事業)
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