「2018年4月ベトナム人向け新入・若手社員育成講座」開催レポート

「2018年4月ベトナム人向け新入・若手社員育成講座」開催レポート

ベトナム人新入社員・若手社員の育成のご担当者様へ

こんにちは。ベトナム人新入・若手社員育成講座の事務局担当のハインと申します。
ご好評を頂いている【ベトナム人向け新人・若手社員育成講座】は、これまで、14社から26名のベトナム人受講者と7社の9名の人事部の担当者がオブサーバーとしてご参加頂きました。
2018年の春にも第3期として本セミナーを実施いたしましたので、以下、セミナーの様子、受講者の感想等をご報告いたします。

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カリキュラム

I.ウォーミングアップ

弊社のベトナム人スタッフの体験談

II.研修の内容 

1.日本で働くための基礎知識 (講義とディスカッション)

1)日本社会に馴染むコツ
2)文化の違いを確認しよう
3)“空気を読む”とは何?
4)場面に応じた使える日本語  ~尊敬語・謙譲語・丁寧語~

2.仕事の進め方の基本 (講義とディスカッション)

1)会社と組織の一般知識
2)仕事を進め方

  • PDCAサイクル
  • 5S
  • ホウ・レン・ソウ
  • 指示・命令の受け方

3.ビジネスマナーの基本 (ロールプレイング)

1)“身だしなみ”を整える
2)あいさつとお辞儀
3)電話のマナー
4)訪問応対の基本

  • 受付
  • 応対室
  • 名刺交換のマナー

4.決意発表 (個人)

これからの目標を立てよう!

セミナーの様子

ウォーミングアップ

ベトナムの企業ではステップずつ人を育てるという風土がまだ進んでいないため、多くのベトナム人は【企業の人材育成】【集合研修】という概要が分からないはずです。

ここで、弊社のベトナム人スタッフは体験談として①入社経緯②入社前の不安③入社後に困った事④受講者へのメッセージ という内容について、途中質疑応答を交えながらお話させていただきました。
質疑内容には、「なぜこのような研修があるか」「人材育成とは何か」「日本式のビジネスマナーとは何か?なぜ必要か」という質問がありました。「日本の多くの会社は社員を大切し、入社時から管理職まで社員の教育に力を注ぐという風土がある。社員が早期に職場に馴染んでもらい、定着と成長する為に、社員自身の自己啓発能力、職場で実務以外にも、外部の公開研修への受講といった方法が上げられる」と説明いたしました。 受講生には「日本の企業で働くということは、自身の早期成長にも繋がる」という安心感を持っていただけたのではないかと思います。

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II.研修の内容 

1.日本で働くための基礎知識 1)日本社会に馴染むコツ

ベトナム式の自己紹介を確認した後、相手に好印象を与え、同僚と仲良くしていくための日本式の自己紹介の方法についてご指導させていただきました。相手に好印象を与える為には、笑顔だけでなく、相手と共通項を持つために自分の趣味の話や、親近感を持ってもらう為に来日理由などに触れるなどの説明を行いました。

2)文化の違いを確認しよう

ここで、ここまでベトナム人受講者が不思議だと思っていた【ベトナムと日本の常識が異なる点】【日本の文化等】について講師と質問しました。なぜ日本人はあまり意見を言わないのか」「なぜ仕事中では日本人があまり同僚と話さないのか」「日本人は見た目が何か厳しいと感じる」「なぜ残業が多いのか」等、感想と質問がありました。講師から、文化的・歴史的な背景を踏まえ説明することで、受講者の疑問を解決しました。説明する際に、難しい単語やニュアンスもありましたが、ベトナム人スタッフがベトナム語で翻訳を行いました。 

3)“空気を読む”とは何?

日本の企業に早く馴染む為にも“空気を読む”というのは重要なポイントです。
ここでは、カルチャーマップを通じ、日本人の話し方、言葉のニュアンスの理解仕方、日本人とのコミュニケーションのとり方などについて学んでいただきました。

例えば、ベトナム人は素直に自分の意見をよく伝えるのに対し、日本では察することを好み、対立を回避する傾向があります。その為、日本の企業で仕事をする際には、ベトナム人は意見の伝え方や提案の仕方に気をつけなればならないということを学んでいただきました。

4)場面に応じた使える日本語 ~尊敬語・謙譲語・丁寧語~

フレンドリーな雰囲気や緊張が少ない現場が好むのは多くのベトナム人です。実際にベトナム語では、上司や同僚に対しても職務で呼ぶことはせず、おじさん、お兄さん、〇〇君、〇〇ちゃんと呼ぶことが一般的です。農村文化の影響と言えばそうかもしれませんが、仕事現場が楽しいところが多いです。

一方で、日本では上下関係がとても重視され、相手に対する敬意を表す必要があります。その点を踏まえ、受講者は尊敬語・謙譲語・丁寧語について再確認しました。丁寧語については日常的に慣れているようですが、尊敬語・謙譲語をマスターする為には、一歩の努力が必要と思われました。

  • 仕事の進め方の基本

今まで育ってきた環境や生活習慣が違う中、ベトナム人には日本の企業が求めるような仕事の進め方は理解がし難いようです。団体行動に依存するのではなく、個人スキルで勝負する傾向があるため、自分で動いて、あまり他人に相談せずに解決しようとするのは多くのベトナム人です。ですので、一緒に仕事に取り組む際に、仕事の進め方や報告のタイミングに対しての認識のずれが生じている可能性があります。

そのため、ホウ・レン・ソウ、5S,PDCAサイクル等、日本人が重要視しているということをしっかりと理解する必要があります。このカリキュラムでは改めて「仕事の進め方の基本」についての講義を行い、講師より日本の会社の一般知識、ホウ・レン・ソウ、PDCAサイクル、5S、指示・命令の受け方についての説明を行いました。

  • ビジネスマナーの基本

多くのベトナム人は来日する前に初級の日本語を勉強すると共に、お辞儀、面談マナー等の基本的な動作を形として勉強しましたが、「なぜそのように行うのは必要なのか」という背景について殆んど教われないのは現状です。日本のビジネスマナーには独特の「心遣い」が含まれているため、ビジネスマナーを仕事でうまく生かせるためには、ビジネスマナーの一つひとつ所作の理由や意味を理解することが必要です。

ここで、ビジネスマナーの一つひとつの背景を明確に理解した上で、他の受講者と一緒に繰り返しロールプレイングを行いました。 講師と弊社のスタッフも受講者一人ひとりに対し、丁寧にフィードバックすることで受講者にはお辞儀、名刺交換、電話対応、訪問マナーの基本動作を身につけていただけました。

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4.決意発表

研修の最後に、今後の目標を受講者の皆さん一人ずつに発表していただきました。
「現在、日本語能力はまだ不十分ではあるため、半年後、N2を習得するように頑張ります。また、自ら日本人の同僚と会話するようにします」「電話対応は非常に難しいが、教えていただいたコツを今後の仕事に活かし、電話対応をマスターしたいと思います」「日本のビジネスマナーは難しいが、仕事上で必須だと思うので、今後出来るように頑張ります」「5年後、ITコンサルタントになれるよう、日本語とITに関する知識を積極的に勉強します」など、1日間の研修を通じて、気付いた点、社会人として芽生えた決意を力強く語って頂きました。

研修受講後の感想

参加者の声

  • 7年間ベトナムでの日系企業で働きましたが、日本人の考え方、仕事の進め方についてまだ理解し難い点が多いです。研修を参加することにより、これまで疑問を持っていたことをきちんと理解できました。何か心が軽く感じた
  • 名刺交換、電話対応のロールプレイングは研修で最も勉強になった
  • 講師が非常に熱心で優しく教えていただき、たくさんのことを勉強できた
  • 分かりづらい内容はベトナム人スタッフからあらためて説明してもらったので、授業の内容について深く理解できた

教育担当者様の感想

  • 講師の難しい説明をベトナム人スタッフがところどころ、ベトナム語で説明したところはとても良い点だと思いました。それにより聴く方は、さらに理解が深まったと思います。
  • 研修の内容は勉強になりました。特には①日本で働くための基礎知識という内容はとても参考になりました。この研修では日本人の考えで当たり前のことを丁寧に、分かりやすくベトナム人社員に教えられたと思います。通常、日本人の教育担当者はこのよう教え方はベトナム人社員には教えられないかと思います。今後ベトナム人社員が入社しましたら、またご参加させたいと思います。

上記の内容を通じ、文化・言語の壁があるということで日本人と同じような教育をしたら、ベトナム人の社員には、少しきついところもあるかと思っていた次第です。
よって、ベトナム人新入・若手社員に日本独特なビジネスマナーの動作を教える前に日越文化の違いと分かりやすい日本語でその動作の背景、理由を説明する必要があります。本講座を通じて、日本式の社会人としての好スタートを切ることのお役に立てることに感謝し、皆さんの今後のご活躍を期待いたします。

今年の秋、2018年9月にも同様な講座の開講を予定いたします。ベトナム人新入・若手社員の順調な成長を願う会社様からの多数のご応募をお待ちしております。

文責 ライ・ティ・ハイン

関連項目