360度評価ツール「リフレクター」

360度評価ツール「リフレクター」

360度評価ツール「リフレクター」のねらい

  • 職務行動の振り返りと能力開発を目的に、日本コンサルタントグループが開発・運用している360度評価システムです。本人(観察対象者)の職務行動をよく知りうる立場にある上司、同僚、部下が、本人の行動をどのように受けとめているかをデータ化して本人にフィードバックするものです。
  • 観察結果がデータでフィードバックされることにより、自分自身のパフォーマンスを全体的・具体的に振り返る機会が得られます。詳細で洞察に富んだ診断結果《リフレクター・レポート》が提供され、自己の客観視、結果の受容、自己開発課題の明確化、能力開発プランの作成というプロセスを踏むことによりパフォーマンスの改善に結びつけることができます。
  • データを通して、他者に映った自分の姿と向き合うことで、自分を客観視し、新たな発見や気づきが得られるように構造化されています。個人の能力向上を促す人材開発システムとして企業、団体、自治体等で採用され、多くの実績をあげています。

360度評価による「気づき」の効果

  1. 上司、同僚、部下からの評価は誰にとっても大きな関心事です。そのフィードバックには必ず期待と不安の入り混じった感情を伴い、緊張とストレスを感じるものです。結果が自己評価と大きくかけ離れているときにはわが目を疑い釘づけになることもありますし、逆に期待通りであったり、自己評価を上回っていたときにはホッと胸をなでおろす姿がよく観察されます。
  2. 本人に‘気づき’と自己開発を動機づけるためには、きっかけとしての情報が持つインパクトの大きさと同時に、結果を受け止め咀嚼していくプロセスを構造化することが欠かせません。360度評価「リフレクター」のフィードバックは、受容と納得のプロセスに細心の注意を払っています。
  3. 能力開発を目的に、現状能力の棚卸と、マネジメント理論、トレーニングを組み合わせることで研修効果を大きく高めることができます。360度評価によるフィードバック研修プログラムとして、「フィードバック基本研修」「マネジメント能力開発研修」「インバスケット演習を活用したマネジメント実践研修」「ヒューマンスキル向上研修」「OJTスキルアップ研修」「キャリアデザイン研修」などがあります。

360度評価ツール「リフレクター」の特徴と強み

  1. アウトプット・・・自己開発の指針となる情報や示唆に富んだヒントが含まれている
  2. リフレクター・レポートは30ページ程度のボリュームがあり、自らの目でじっくり読んでいただくことによって、結果に関する相当程度の理解と認識が得られます。
  3. フィードバック・・・納得性の高いフィードバックが得られる
  4. リフレクターは専門のアセッサーにより観察結果のフィードバックが行われるため、結果の受容が促進され、行動改善につながります。
  5. ディメンション・・・人の職務遂行能力・職務適性を図る“モノサシ”として適切
    • 企業特性、企業ごとの人材像、対象職務・職位階層などにより変動・選択できます。
    • 組織構造や職種、今後重点的に開発を必要とする能力などが異なる場合には固定型のディメンションでは対応できません。
    • ディメンションの捉え方・括り方が粗すぎると、診るべき能力がぼやけてしまいます。
  6. 質問肢・・・フィードバックが可能となるような具体的な言動の記述になっている
    • 対称的な2つのインディケーター(行動様式)を左右に対置し、具体行動様式がどちらに近いかをチェックします。
    • 「効果的に物事を解決する」「人前で話をするのがうまい」といった抽象的な質問肢では具体的なフィードバックは困難です。
    • 人の職務行動を観察した結果について、単純に「はい」「いいえ」のような二者択一型で回答したり、「1点」「5点」といった、良い・悪いをはっきりさせるような点数で回答することは不適といえます。

ディメンション設定について

  1. 仕事のパフォーマンスに影響を及ぼす行動特性を、5つの能力領域(コンピタンスエリア)と42のディメンション(能力要素)、350の基本インディケター(行動様式)で整理しています。お客様のニーズに合わせて、フレキシブルに選択し設定することができます。
  2. 「どんな人材戦略に基づいているのか(期待される人材像は)」「何の目的で360度評価を実施するのか」「どのような能力を観るか」など、企業特性、職階、活用目的に応じて、ディメンションの自由な選択・組み合わせができます。通常15個から、多くても18個程度にまで絞り込みます。
  3. インディケータ(質問肢)は、1つのディメンションにつき4つまたは5つとし、質問肢の総数を60~72で設計します。

ディメンション設定例

回答方法と観察者の設定

  1. リフレクターが観察対象としているのは、「現在の」かつ「具体的な」職務行動レベルです。質問肢の形態はディメンションを構成するインディケーター(具体行動様式)について、対称的な2つの行動様式(スタイル)を左右に示し、そのどちらに近いかあるいはどちらの行動が頻出するかをチェックする形式をとっています。これにより評価に不慣れな観察者であっても比較的評価エラーを低く抑えることができます。
  2. 360度評価の意義は、もともと主観が入らざるを得ない評価の持つ偏りを多くの観察者の目を通すことによって薄め、客観性を持たせるところにあります。
  3. 観察者には本人自身も含まれます。自己評価と他者評価のギャップを示されることが自己洞察と新たな気づきの出発点になるからです。自分のことは自ら手がけるという主体性の発揮は、自己責任の原則にも則っています。
  4. 観察者の選定は、事務局が行う場合、本人が選定する場合、その折衷的方法など、目的と実施上の制約条件を考慮して協議により決定します。
  5. 観察者の数は、上司1名、同僚2名、部下3名を基本とします。
  6. 部下がいない場合や同僚の数にバラツキがある場合は、部下と同僚を一つの評価者カテゴリーとして「同僚等」として集計したり、上司を含めて「他者」として集計することも可能です。

導入・展開ステップ

360度評価標準スケジュール

リフレクター・レポートの構成と見方

    1. 全体の構成

“リフレクター・レポート”は3部から構成されています。このレポートは、事務局の他には漏らされることはありません。IDPは上司の支援を得ることが必要ですが、他に誰に見せ、誰と相談するかは本人の意志に任されています。

    1. 結果概要

結果は、次の点について数値またはグラフによって示されます。
(1)総合結果
①参加者本人の評価点
②他者全体の平均点
③標準グループのスコア・レンジ
(注)標準グループのスコア・レンジとは、過去実施した累積データの68%が分布する得点範囲のことを言います。
(2)個別ディメンション評価結果
・本人及び各評価者カテゴリー別(=上司、同僚、メンバー、顧客別)の平均点
(3)個別インディケーター評価結果
①参加者本人の評価点
②他者全体の評価結果:他者全体の平均点、最高点、最低点
③他者の評価者カテゴリー別の平均点、最高点、最低点
(4)強点および弱点のまとめ
・インディケーターレベルで他者評価平均点の上位10項目(強点)と下位10項目(弱点)が示されます。

    1. 能力開発アドバイス

能力開発アドバイスは、弱点とされた各ディメンションに対して示されます。“リフレクター”では、次のいずれかにあてはまれば弱点と判断しています。
・他者全体の平均スコアが、3.50以下の場合
・評価者の中で一人でもディメンション評価が2.75以下の場合
この能力開発アドバイスは一般的に有効と思われるもので、そのままの形で使えるとは限りませんが、かなり具体的な形で示されるので、これを参考にして、自分自身に合った方法にアレンジするのに極めて有効です。能力開発アドバイスには次のものが示されます。
①当該ディメンション名
②他者全体の下した平均スコア
③当該ディメンションを構成するインディケーターごとの観察結果
④OJTによる能力開発活動及び能力開発を実践する場

    1. 能力開発プラン(IDP:Individual Development Plan)

能力開発プランは、リフレクター・レポートに基づいて、一人ひとりが自主的に作成し、実行に責任を持つアクションプランです。この作業は、まず本人が所定の手引きサンプル及びフォーマットに従って自分なりに策定します。IDPは、単なる自己啓発の行動計画以上のもので、会社・上司に提出し、契約するという意味を含んでいます。したがって、策定にあたっては、上司との相談、上司からの積極的な助力が必要となります。

    1. グループレポート

リフレクター参加者の結果を集計し、全体的な特徴についてまとめ、レポートを提供します。

アウトプットレポートのサンプル

360度評価アウトプットサンプル

360度評価ツール「リフレクター」を活用したフィードバック研修

①研修のねらい

  • 他者の視点から職務行動を振り返り、能力の棚卸をする。
  • 仕事の成果・業績を変える変数としての「能力」について理解を深める。能力評価の考え方、着眼ポイントを身につける。
  • 能力開発の必要性と、能力開発のポイントや方向をつかみ、アクションに結びつく能力開発プランを作成する。

②カリキュラムの特徴

  • オリエンテーションで、360度評価の目的と留意点、能力に対する理解と必要性に触れ、結果と向き合う姿勢を涵養する。
  • レポートに含まれるデータを確実に読み込む→強みと弱みを整理する→他者の私への期待を洞察する→課題を明確にする→能力開発プラン作成する、という手順を踏みながら自分の客観視を促進する。
  • 個人ワーク、グループワーク、相互交流を取り入れ、気づきと動機づけを構造化している。

③研修の要件

・対象者:経営者から一般社員まで
・参加人数:18名から24名程度
・研修形式:講義、個人ワーク、グループワーク、相互交流
・研修時間:フィードバック標準コース:7時間プログラム
マネジメント研修コース:2日間プログラム

※360度評価の企画・実施にあたっては当社の営業担当者がお伺いし、実施目的、対象者、スケジュールなどをお打合せさせていただきます。