建設業のOJTシステム構築

建設業のOJTシステム構築

多くの建設企業がOJTを教育の柱に据えています。しかし必ずしも所期の成果を得られているとは言えません。それは「OJT」に関する企業の目標や推進の基準、要領などが職場の風土、実態とかみ合っていなかったり、OJT推進者を支援する 「しくみ」 や 「ツール」が不十分なことに多くの原因があります。OJTを工事部門若手育成の柱として考えるとき、その必要条件はOJT技法の標準化です。OJTとは「場当たり教育」でも「あなたまかせの教育」でもなく、企業組織として承認した規模、知識、技術を正確に伝承するシステムでなければなりません。

建設業(特に工事部門)の若手育成には次のような理由でOJTが有効な手段といえます。

  • 職務はルーチンワークよりむしろ状況対応的業務が多い。
  • 画一的教育方法より、個別レベル、個別テーマに応じたタイムリーな指導が育成上有効である。
  • 日常業務の制約上、集合研修の実施が極めて難しい。

新入社員からの体系的・計画的な人材育成のために

建設業OJTシステム構築のコンサルティングステップ

STEP1:工事部門OJTの実態把握
内容 現状進められているOJTの考え方、推進基準、支援ツール等が、現場の風土や意識とかみ合っているか、かみ合っていないとすればどの部分がどのように合っていないのか、どうすれば合うのかを調査・検討します。

  • OJT管轄部門での情報収集
  • 人事教育部門での情報収集
  • 現場ヒアリング

STEP2:工事職掌職能要件の整備
内容 現場技術者として必要な「知識要件」「能力要件」「対人的技能」を期待水準としてまとめ、OJT推進上の目標値を明らかにします。

STEP3:5ヵ年間の標準育成スケジュール作成
内容 上記職能要件を育成の側面から、つまり、いつの時点で何をどのレベルまで指導すべきかを標準化する必要があります。そのため、指導内容を1~5年間の育成スケジュールに落とし込み、標準モデル化します。

STEP4:指導者用OJTガイドの作成
内容 指導者がOJT推進をスムーズに行うための支援ツールとして、育成計画の作成段階、指導実施期間、習得度の確認、評価段階ごとに実施上の基準、要領、方法を盛り込んだガイドブックを作成します。

STEP5:OJT業務マニュアルの作成
内容 OJTを効果的、効率的に進めていくためには「教える人によって内容が違う」ということが発生しないよう最低限の基準を持たなければなりません。このOJT業務マニュアルを指導者と被訓練者とのコミュニケーションツールとして位置づけて活用します。

STEP6:OJT指導者研修
内容 OJT指導者を対象に、OJTに対する正しい理解と育成に対する動機づけ、本プロジェクトで作成したツールの活用方法を修得してもらいます。

建設業のOJT研修プログラム(例)

内容 解説
1.工事現場における若手技術者育成の考え方

1)OJTによる技術伝承の必要性
2)施工知識の教え方、動機付けの仕方

2.後輩技術者の指導ケーススタディ

1)現場所長・指導者としての問題点を考える
2)検討及び発表

・OJTの基本的な考え方、教育手法の組み合わせ方、うまい教え方、やる気の出させ方などの『教え方の手法』を学びます。・作業所長として現場運営の中で、後輩技術者の指導方法をケーススタディで検討し、本来の望ましい姿を考えます。
3.現場における部下・後輩との困った問題

1)部下と工事運営上のトラブルを話し合う
2)工事運営ノウハウと教訓を発表し検討する

4.技術者としてのリーダーシップ

1)状況対応型リーダーシップ
2)部下・後輩の成熟度で対応を変える
3)部下・後輩の指導計画の作成

・後輩指導上の困ったことを情報交換し、その中から題材を決めて、実践的に対策を検討します。お互いのトラブルや悩みを話し合うことで、お互いに啓発し合うことができます。・後輩の仕事の成熟度に応じて、すなわち新人には細かく具体的な指示をし、成熟度が上がってきたら仕事の目的を話し、指示を少なくする対応が必要であることを学びます。

 

※プログラムは一例です。プロジェクトの企画・実施にあたっては当社の営業担当者がお伺いし、お客様の目的、対象者などを確認させていただいた後、オリジナルプログラムの設計をいたします。