朝日ガスエナジー株式会社様
新入社員研修及び教育担当者研修の体系作りにより社員の定着率向上
朝日ガスエナジー株式会社様(以下、朝日ガスエナジー様)は三重県を主力の市場として、LPガスを中心に、天然ガス(LNG)、産業ガス、ガソリンなどの石油関係、太陽光発電など、様々なエネルギー関連の商品サービスを扱っております。また、エネルギーの他にも、水回りを中心としたリフォーム、車検や修理などカーライフのサポート、ガスの空調システムや発電システムなどの設備関係、スーパー銭湯などの給湯関係、商業施設や工場の設備提案・工事・設備改善など幅広く暮らしと産業に密着した事業を展開しております。
朝日ガスエナジー様で働く方々の多くは営業職で、個人や法人のお客様の要望に合わせて商品サービスを提案しています。朝日ガスエナジー様ではお客様と直に接する営業職や営業職をサポートする事務職を含め、人を大切にする風土が根付いており、人の教育に力を入れています。今回は、特に重点を置いて教育をしている新入社員研修と教育担当者研修について、中條様と稲葉様にお話を伺いました。
――ニッコンを選んだ理由について教えてください。
稲葉)ニッコンの研修を取り入れる前は、新入社員を外部のセミナーに参加させていましたが、独自の研修を企画したいと思っていました。
中條)営業に力を入れている会社なので、営業の基本的な考え方やスキルを身につけて欲しいと考え、出資を受けている名古屋中小企業投資育成株式会社を通じ、2010年にニッコンのガス業界に詳しい講師を紹介いただきました。講師の方には、拠点訪問や営業会議を通した実務的な指導をしてもらうのと合わせて、現在も毎年継続的に実施している「新入社員研修と教育担当者研修」を実施してもらいました。
――新入社員研修の導入背景を教えてください。
稲葉)ニッコンの新入社員研修を導入する前は、所属長の教え方や新入社員の力量によって、身に付く能力にばらつきが見られました。配属前に新入社員として最低限押さえておくべき内容について研修を行うことで、統一した基礎知識とスキルを習得でき、配属先にスムーズに送り込むことが出来ました。
新入社員研修の内容は、仕事の進め方やビジネスマナー、コミュニケーションといった一般的な内容だけでなく、営業に必要なスキルについても学習させています。それは、営業職に限らず、事務職の方にも営業アシスタントとして営業マインドを身に付けていただくために行っています。
新入社員同士の横のつながりでモチベーションUP!
――新入社員研修とフォロー研修、教育担当者研修の体系について教えてください。
稲葉)今の研修体系については、ニッコンからの提案を基に形作りました。
新入社員研修については、3月と4月に合宿研修6日間を、お客様の施設を使用して行います。その後、3カ月に1度のペースで、集合研修を行っています。普段は別々の部署で仕事をしていますので、集まる機会を設けることでお互いの刺激になり、また情報交換の場になっています。
中條)新入社員研修の後は、それぞれの部署へ配属になりますが、3月~4月の新入社員研修の時点で、横のつながりがしっかりできていますので、3カ月に一度のフォロー研修の際にはみんな仲良さそうに、部署は違いながらも何か悩みを相談したり、新たな発見をしたりして、モチベーションを高めています。
稲葉)新入社員は、大卒、短大卒、高卒と学歴も年齢も様々です。高卒の方については、事前顔合わせがなく新入社員研修の場で初めて同期に会うので、入りづらいところもあったと思いますが、担当講師が話しかけてくれるので、研修終了時には溶け込んでくれています。運営側として大変なことはなく、むしろ受講者が大変だったかもしれません。
また、教育担当者は、人を育成するために必要なスキルについて学習するのですが、自分の業務に加えて研修を受けるので大変だったと思います。
――新入社員研修で良かった点、印象に残った点はありますか。
中條)合宿形式で2回合宿を行いますので、同期の絆と横のつながりが短期間で出来ています。また、研修初日は、学生気分で来る新入社員も、初日にビジネスマナーを厳しめにやってもらいますので、立ち居振る舞いや挨拶、お辞儀の仕方など、日が経つにつれて見違えるようにキビキビと社会人らしくなっていきます。
稲葉)研修内容はグループワークや発表など体験型が多く、新入社員は常に実践した結果を求められるので、緊張感を持って主体的に取り組んでもらえるのが良いですね。
人に教えることをきっかけに、刺激を受け、再度学び直すチャンス
――教育担当者研修について教えてください。
中條)教育担当者は年の近い先輩を選んでいますが、教育担当者が「人に教える」ことで自己の知識とスキルを再認識する部分があり、自身にとって良い刺激になっていると思います。結果的には、教育担当者の役割を通して得た意識やスキルが影響するのか、営業成績が良くなる傾向にありますね。
稲葉)新入社員と教育担当者は、基本的に同じ部署内で配置しますので、中には、入社2年目で教育担当者になる方もいます。「自分の仕事もまだ完璧じゃないのにどうやって教えたらいいのかわからない」というような場合にも、教育担当者研修を受けることで、教育担当者としてやるべき事が明確になるので、受講者の不安を取り除くことに繋がっていると思います。
また、研修で学ぶ内容の中で重要な要素は、“相手から聞きだすスキル”だと思います。新入社員の中には、分かっていないのに「はい」と言ってしまったり、何を考えているかあまり分らなかったりするので、“相手から聞きだすスキル”を上手に使って、知ることが重要だと考えています。
中條)教育担当者研修の内容は、人をマネジメントする立場になったときにも使える要素が多いです。面接の仕方や傾聴の仕方も教えてもらうので、教育担当者以上の立場になったときにも役立つと思います。
研修体系を組むことにより、離職率の低下
――研修導入後の成果や効果について教えてください。
中條)ニッコンの研修導入後は、1年目で辞める方が、少なくなりました。
稲葉)以前は、部署や同期に馴染めずに定着する前に辞めていく方もいたのですが、研修でできた同期のつながりが大きいのか、以前のように短期で辞めてしまう方がいなくなりました。
中條)2〜3年目でも辞める方についても、少しずつ減ってきています。研修を継続して行うことで、ニッコンの研修を受けた方が部署内にも多くなってきていますので、入社前・入社後の合宿研修でどんなことを行ったのかを、聞けるような縦のつながりも構築できてきたと思っています。近年、企業の採用自体が難しくなっている中、せっかく育てた社員が辞めてしまうと、会社としても辛いので社員の定着化はとてもありがたいです。
――担当講師の印象について教えてください。
中條)講師の方は本当に責任感を持って研修に取り組んで頂いています。研修中は受講者に寄り添って進めてもらえるので、受講者にも評判が良いです。新入社員の合宿研修が6日終わった時点で決意表明を一人ずつ行うのですが、その際に、新入社員の特徴や性格もよくつかんで、褒めるだけではなく、こうすればもっと良くなるというアドバイスを伝えて頂けるのが、本人も私もありがたいです。
稲葉)私自身もですが、学生や新入社員のときは、先輩に確固たる答えを求めてしまう面があると思いますが、社会人はまずは自分の頭で考えるということが必要だと思います。ニッコンさんの研修は、「考えてみてください」という問い掛けをたくさんしていただいているのが、いいところかと思います。
――今後の展開について教えてください。
中條)今後会社は、事業領域と商品領域を広げていきたいと考えています。事業や商品領域が広がれば、人材育成も体系的に実施する必要があると考えています。研修体系として、1年目の研修は充実していますので、入社2年目、3年目研修を検討しています。
稲葉)入社2年目、3年目は、人によって差が出てくる時期だと思います。会社や仕事に慣れてきて、モチベーションが下がってくる時期ではあるので、もう一度振り返って「これからどうしていくのか」を考える機会が必要かと考えています。
- お話を伺った方:
- 取締役管理部長 中條 健児 様
管理部 総務課 係長 稲葉 亜紗美 様 - 取材地:
- 朝日ガスエナジー様 本社
- 公開日:
- 2017年3月27日(名称等は、公開当時のものです)
企業情報
会社名 | 朝日ガスエナジー株式会社 |
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本社所在地 | 〒512-0913 三重県四日市市西坂部町4789-2 |
創業 | 昭和37年4月23日 |
代表者 | 田中 佳彦 |
資本金 | 1億4,500万円 |
グループ従業員 | 220名 |
公式サイト | http://www.asahigas.co.jp/ |
コンサルタントの声
情報産業研究所 所長 原田 明人(ハラダ アキヒト)
私が朝日ガスエナジーの皆様と初めてお会いしたのは、2014年の7月でした。当時、先輩のコンサルタントから、急遽、朝日ガスエナジーの担当を期中で引き継ぐことになり、1年間は手探りで研修を実施しました。翌、2015年は朝日ガスエナジーの社風や新入社員の状況に合わせた研修体系を企画し、中條様と稲葉様と共に体系的に研修を実施して参りました。研修を企画・実施するに当たり、下記の3つを特徴にしました。
一つ目は、営業教育を事務職採用の方を含めて全員に実施した点です。それは朝日ガスエナジーが営業に力を入れている会社で、社員全員が営業の仕事を理解していることから、営業が活き活きと働ける会社にしたいという思いがあったからです。
二つ目は、新入社員の一人ひとりに焦点を当てて指導した点です。新入社員の方々は、当然ではありますが、一人ひとり性格も違えば能力も違います。新入社員研修の一般的な目的は、一様の知識やスキルを全員に身に付けさせることですが、朝日ガスエナジーの新入社員には、そうした知識やスキルに加えて個性を大切にした育成をしたいと考えたからです。それは教育担当者研修にも反映されており、教育担当者には個人を観察する方法や、個人の性格を分析し個々のOJT計画を立てるような方法など、個人に焦点を当てた指導が出来るような内容としました。
三つ目は、新入社員に朝日ガスエナジーの将来を考えてもらうプログラムを組み込んだ点です。朝日ガスエナジーの将来を担う社員として、自社の取り組んでいる事業を理解し、自ら会社の将来を考えることで、会社への帰属意識を高めたいと考えました。また、この取り組みは定時の研修が終了した後に数日かけて行い、研修の最終日に成果の発表をしてもらうようにしました。この取り組みを通して、チームミーティングを繰り返しながら、それぞれの意見を形にして、成果を発表する仕事の進め方を学んで欲しかったからです。
こうした特徴のある研修は、中條様と稲葉様のお二人の力添えなくしては実現が難しかったと考えております。そして、年々、研修の効果もあり、離職率の低下に貢献できているというご意見をいただけたことは嬉しい限りです。来年度からは、後輩のコンサルタントに仕事を引き継ぐことになりますが、昨年、一緒に研修を実施して、私の考えややり方を伝えてきたので、安心して任せたいと思っております。今後、朝日ガスエナジーの新入社員一人ひとりが自立して、組織の一員として活躍している姿を見ることを今から楽しみにしています。