事例紹介:社会福祉法人 れんげ福祉会様

社会福祉法人 れんげ福祉会様

人づくりに注力することで持続的な発展を実現できる組織へ

社会福祉法人 れんげ福祉会様

長野県大町市に拠点を置く社会福祉法人れんげ福祉会様は、平成14年にケアハウス銀松苑を、平成19年に特別養護老人ホーム銀松苑を開設。現在ではショートステイ、デイサービスなども実施し、施設所在地である大町市のみならず大北地域における高齢者福祉を支えています。

日本コンサルタントグループ(ニッコン)は、社会福祉法人の立ち上げから施設設計・監理、ISO導入、人材育成にいたるまで、多彩な分野で福祉施設経営のお手伝いをさせていただいています。

ソフト&ハードにわたる多彩なコンサルテーション

――社会福祉法人を立ち上げた理由についてお聞かせください。

藤巻様)もともとは、先々代より引き継いだ米穀商に従事しており、コメの産地集荷や営農指導、農薬肥料の販売などを主力に地域に根付いた事業展開をしてまいりました。今は、私も含めた孫たちの時代になり不動産事業や燃料、自動車の修理販売など業種も事業規模も拡大してきたわけですが、これは今までご愛顧いただいた地域のお客様あってのことと感謝しています。しかし、この地域でも高齢化が急速に進む反面、当時の大町市南部地域には高齢者福祉施設がなく、お年寄りを看る人がいない状況が生まれていました。そこで、今までお世話になった生産者やお客様に恩返ししたい、私たちを支えてくれた地域に貢献したいと考え、福祉事業の立ち上げを決心したのです。

理事長:藤巻様理事長:藤巻様

――どのような形で事業を始められたのでしょう。

藤巻様)福祉分野はまったく初めての経験でしたので、まず先進事例を見学することから始めました。そこで、上伊那地域にあるケアハウスを見させてもらったのですが、それが私の中で目指すべきイメージになりました。そして、その施設の設計における支援や開設に携わったのが、ニッコンさんだと知って、私もコンサルティングをお願いすることにしたのです。
施設開設までの道筋に沿って導いてもらうこと、そして、私自身を育成してもらうこと。そのために、ニッコンさんに依頼することが、もっとも最適な方法だと考えました。

――具体的にはどのようなコンサルテーションだったのでしょう。

藤巻様)ケアハウス開設に関する、ほとんどすべての面でお手伝いいただきました。社会福祉法人の申請から許認可のための書類作成、ケアハウスの建物設計・施工監理、職員雇用に必要な就業規則・管理規定の作成、職員のオープン前研修、施設案内パンフレット作成など、その領域は多岐にわたります。例えば、建物の設計ひとつとっても入居者様や職員の導線の設定など独自の視点・ノウハウが必要になりますから、とても専門的な指導をしていただいたと思っています。

ケアハウス 銀松苑ケアハウス:銀松苑

私自身こうした作業のすべてに関ったことで、とても勉強になりました。開設資金が潤沢ではなかったため経験者を雇う余裕もなく、私もさまざまな事務作業に携わったんですね。最初はPCメールやエクセルなども使えなかったのですが、こうした基本的なことから丁寧に指導していただきました。例えば、ニッコンさんから予算や収支シミュレーションなどをエクセルで送ってもらっても、最初は数字の入力もできなかったのです。それを、本社の女性社員の方に一から教えてもらいました。また、こうした一連の流れを経験するなかで、経営判断の適正さ、スピードなども鍛えられたように思います。

人づくり・組織づくりこそが、経営の根幹

――藤巻様が経営で特に力を注いでいるのは、どのようなことでしょう。

藤巻様)人づくりです。経営とは“人づくり”、“組織づくり”に尽きるのではないでしょうか。組織の一員として自分の責任・使命を自覚し、それを全うできる人材。そして、仕事を通して自分の有用性を実感できる人材。仕事を通して成長する中で、人から頼られ、愛される人材ですね。こうした人材を育てることこそが、私の役割だと思っています。また、こうした人材風土を構築することが、利用者様へのサービスのクオリティを高め、安定した経営基盤を創りあげていく最大の手段だと考えています。

――人づくりに関して、ニッコンはどのように役立ってきたのでしょう。

特別養護老人ホーム 銀松苑特別養護老人ホーム:銀松苑

藤巻様)さまざまなテーマの研修でお手伝いいただいてきました。なかでも大きかったのが、ISO9001の導入ですね。平成17年に顧客満足向上と品質マネジメントシステムの継続的な改善を実現するISO 9001の導入指導をニッコンさんにお願いしました。急ごしらえの組織だったので、ISOのしくみを活用して組織の質を高めたいと考えたのです。

ISO導入の効果は、例えば、苦情対応、事故の再発防止、業務サービスの品質向上など、さまざまな分野で表れています。特に個々の作業をルーチン化することで、スキルを有した人材に頼ることなく、誰もが日常業務の中で取り組むことができるのが、このしくみのメリットですね。

――ケアハウス開設から12年、特別養護老人ホーム開設から7年ですが、藤巻様の人づくりは順調に進んでいるようですね。

藤巻様)最初はどうしても寄せ集めの人材でスタートしなくてはなりません。また人材も集まりにくいため、モチベーションの低い人を高い職務階層に上げざる得ない状況にも陥りました。ですが、そこは人を見極め、時間をかけて人づくりに取り組んできた結果、ようやく軌道に乗り始めました。

特に4年ほど前から、人材確保の方向性を新卒採用に切り替えたのですが、これが転機になりましたね。周りの人材も成長してきたので、今なら新卒を育てられると始めたのですが、いいタイミングだったと思っています。これには、受け入れ側もしっかりした指導・育成体制が必要なので、ニッコンさんにも定着化指導ということでお手伝いいただきましたが、今はしっかり新人を育てられる環境が整いました。

例えば、当法人では入職3カ月で夜勤についてもらいます。夜勤を行うための定量的目標として、排せつ介助1000回、入浴介助500回などの経験を積ませています。もちろん技術的なスキルだけではなくご利用者への言葉掛けや思いやりの心などソフト的スキルを同時に習得してもらいます。この間の成功体験、達成感の共有が大きな自信となるんですね。入職3か月経ったところで、職員と出身学校へ一緒に挨拶にいくのですが、担任だった先生もその成長ぶりにとても驚かれます。顔つきや話ぶりもすっかり変わっていますから、「こんなに立派になって」と涙を流される先生もいらっしゃいます。こうした成長する姿を見ると、やはり私の使命は「“人づくり”なんだ」と再認識しますね。

コンサルタントを活用して、生き残っていける組織へ

――ニッコンに対して、藤巻様はどのように評価されていますでしょうか。

藤巻様)ニッコンさんとのお付き合いももう13年近くになります。これだけ長くお付き合いできるわけですから、とても信頼できるコンサル会社だと思っています。特にグループと銘打つように多彩なコンサル事業を展開しているので、ワンストップでお願いできるのが他のコンサル会社との違いではないでしょうか。経営指導、人材育成、ISO導入、施設設計など、すべてにご対応いただけます。

また、最初から中心となって関わってくださっているコンサルタントの藤沢さんや設計担当の片岡さんは、私の思いや目指している方向、性格など、すべて理解されています。そうした方が全体のコーディネーターとしてしっかりサポートしてくださるのも、とても心強く思っています。時に率直に厳しい意見などをいただけるのも、ありがたいですね。私の思いやビジョンを共有し、その具現化に向けてさまざまな手法や手段を提案してくれるという意味において、本当に信頼できるパートナーだと感じています。

――最後に今後の課題や展開についてお聞かせください。

特別養護老人ホーム 館内

藤巻様)これまでは私の成長が、そのまま法人(施設)の成長につながっていました。ですが、今後は私がいなくなっても大丈夫なしくみを作る必要があります。つまり、利用者様へのサービス向上が、そのまま事業収支に反映していくためのしくみづくりです。リーダー一人ひとりが財務・収支の視点をもち、経営に関わっていくしくみと言えばいいでしょうか。

すでに今は、利用者様が施設やサービスを選ぶ時代となっています。さらに団塊の世代が後期高齢者となる2025年には劇的に外部環境が変わると言われています。高齢者一人を支える就業人口の割合が1対2になりますが、大北地域ではその変化はもっと早く訪れるでしょう。そうなった時にも生き残っていける組織、人づくりが必要です。例えば、お客様を継続的に創造していくためのアプローチ方法を身につけた人材。職員が自発的に利用者様サービスを向上させていく組織。こうした人づくり、組織づくりを通して、持続的に発展していける施設にしていきたいと思っています。

そのためにも、これからもニッコンさんには大いに力を貸していただければと思っています。今後の人づくりにはスピードも要求されます。ニッコン(コンサルタント)さんが保有する最新情報と実務に則した専門的なノウハウを活用しながら、次代を生き抜くための人づくりを進めていきたいと思います。

社会福祉法人 れんげ福祉会

お話を伺った方:
理事長 藤巻秀卓
取材地:
特別養護老人ホーム 銀松苑
公開日:
2014年9月11日(名称等は、公開当時のものです)

法人情報

社会福祉法人 れんげ福祉会

事業名 社会福祉法人 れんげ福祉会
 本社所在地 〒398-0004 長野県大町市常盤6850-24
代表 藤巻秀卓
事業開始 平成14年5月15日(ケアハウス銀松苑)
事業内容 ケアハウス銀松苑、特別養護老人ホーム銀松苑、デイサービス、ショートステイ、ヘルパーステーション、居宅介護支援事業所
公式サイト http://www.ginshoen.or.jp/

関連項目

コンサルタントの声

藤沢 敦地域経営研究所 藤沢 敦

専門分野 公・民病院・高齢者施設等の経営・運営支援、医療・介護施設等の人材育成(研修等)、社会福祉法人・医療法人設立支援業務、医療・福祉分野の各種研修


福祉(介護)事業は、事業者(経営者)の「地域や地域住民に対する“熱い思い”と“願い”と事業にそのものに対しての“覚悟”」が必要です。また、福祉(介護)事業は、「地域を熟知している地域の事業者が行うべき。」と言うのが私たち医療・福祉研究部の考え方です。この考え方に準じて全国各地で福祉(介護)事業を立ち上げたい方々と共に施設整備や人財(材)づくりを行ってきました。

公的介護保険制度施行が目の前に迫った20世紀末に現理事長の藤巻氏とはじめてお会いし折、「地域を創って来られた方、お世話になった方々に恩返しをしたい。」と言うお考えをお聞きしてから既に十数年の月日が経ちました。この間、藤巻氏は『経営は人づくり』とした考え方をベースとして、人財(材)づくりと共に地域が求める施設設備(ケアハウス・デイサービス・特養整備)を行って来られました。特養整備においては、施設1階に地域の方々自由に利用可能な軽食機能を取り入れ、昼時には安価な料金で多くの地域住民がランチを楽しむなど藤巻氏の考えのひとつである“地域に開かれた施設”が具現化されています。

れんげ福祉会様では、介護事業所では、珍しい「ISO手法」を取り入れての経営管理をベースとしつつ、更なる事業安定と発展に向け、努力をされておられます。しかし、今日地方都市に見られる“限界集落”地域が増加する中、地域での新たな介護のあり方について対応が求められてきました。藤巻氏からは、弊社に対し、“地域の環境変化に伴う法人としての対応のあり方づくり”をはじめ多くの宿題をいただいております。私共も「れんげ福祉会」様と共に成長させていただきながら、今後も多くの地域における福祉(介護)に貢献出来る様に努力してまいりたいと思います。