事例紹介:森永製菓株式会社様

森永製菓株式会社様

実践的な部下育成研修を通して中間管理職の意識改革を実現

森永製菓株式会社

森永製菓株式会社様は、1899年創業の長い歴史を誇る日本を代表する菓子メーカーです。「おいしく、たのしく、すこやかに」というビジョンを掲げ、現在は菓子・食品・冷菓・ウイダーの4つの事業を柱にビジネスを展開。少子高齢化や健康志向に対応した健康分野や、グローバルな拡大を目指す海外分野を次の成長分野と捉え、新しい価値の創造に挑戦しています。

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人材の能力開発にも積極的に取り組んでおり、日本コンサルタントグループ(以下、ニッコン)が提案・策定した中間管理職を対象にした部下育成研修を2013年より導入されています。研修導入の意図や具体的な内容、成果について、ご担当者様にお話をお伺いしました。

風土改革を目指して、中間管理職の研修を実施

山本 健二 様山本 健二 様

――中間管理職の部下育成に的を絞った研修を、導入されたいきさつをお聞かせください。

山本様)当社の経営課題のひとつに風土改革があげられます。経営環境が激変する今、変化にスピーディに対応しながら、新しい価値を創造することが求められています。こうした風土改革を行うためのテーマとして浮かび上がったのが、PDCA(Plan・計画→ Do・実行→ Check・評価→ Act・改善)サイクルです。当社は長い社歴があるがゆえに、時に上司と部下に変化が起こりにくい関係にあったり、コミュニケーション不足に陥りがちな面があります。そこで、PDCAサイクルを回すことで問題点を明らかにし、それを解決しながらチーム全体のパフォーマンスを高めていける組織にすることが、結果として風土改革につながると考えました。

――研修対象はどのようなポジションの方なのでしょう。

山本様)一般的な職位で言えば、課長職クラスです。40歳代が中心で、大半がプレイングマネジャーです。10年後には経営に近い領域での活躍が期待される層ですので、このポジションの社員の能力開発はとても重要です。今回の研修は、こうした社員たちに自己の役割の再認識と現状への気づきをもたらすことも、大きな目的のひとつです。

――会社全体の研修体系の中ではどのように位置づけられているのですか。

山本様)当社は部門別の階層別研修を整備しています。セールス部門であれば支店長研修やチーフ研修、生産部門ではラインマネジャー研修、グループマネジャー研修という具合です。私の所属している人材育成グループはこれらとは異なり組織横断的なアプローチが特徴で、今回の研修も部門・部署の枠を超えて行っています。

部下育成に関しては四半期に一度チェックを行いながら半期に一度、部下の目標設定・評価を行います。また年に一度、本人にキャリアデザインシートを作成してもらい、それを元にキャリアを意識した上長との面談を実施しています。今回の部下育成研修はこうした目標管理制度との連動を図りながら行っています。

電話による個別コーチングを研修に導入

――具体的な研修内容についてお聞かせください。

山本様)最初にキックオフとなる集合研修を2日間にわたって実施します。まずリーダーの役割、マネジメントの実践、部下育成の重要性などから、部下育成に必要な知識・スキルなどを学びます。その後は、現場に戻っての実践。そして、一定の期間をあけて活動成果の報告会の集合研修を3回行います。ここでは各人の成果を共有するとともに、今後の取り組み課題について議論します。コミュニケーション、思考変革、問題解決など、その時に受講者から出たテーマについてディスカッションを行いながら、学びを深めます。

研修内容

――今回の研修で工夫された点はどのようなことでしょうか。

山本様)集合研修の間に行う電話フォローです。集合研修で知識を理解しても、いざ現場で実践となるとさまざまな課題と直面します。研修の場合、そこをどうフォローするかが重要だと以前から考えていました。そこで実施したのが、電話によるコーチングです。あらかじめ時間を決めておき、講師が30分間のコーチングを行います。ここには原則、私たち事務局は関与しません。何を話しても大丈夫なので、受講者たちは講師に本音ベースで相談したり、さまざまなアドバイスを仰いでいるようです。

――他にはいかかがでしょう。

山本様)上司や私たち事務局も積極的に関わっていくことも、今回の研修の特徴です。上司が受講者と事前に面談して課題を共有することから始まり、受講者からの研修報告にその都度コメントを記入してフィードバックしています。また私たち事務局もできる限りコメントを返すようにしています。

集合研修はどうしても最大公約数的な内容になってしまいます。ですから、いかに個をフォローしていくかがポイントです。講師はもちろん、上司も人事も常に個に対応し、個を見守っていく。それが重要ではないでしょうか。

目に見える具体的な多くの成果

山本 健二 様

――研修の成果はいかがでしょう。

山本様)まだ初めたばかりなので定量的には把握しづらいのですが、受講者の中に部下の育成が自分の重要なミッションであることへの気づきが生まれています。また部下と積極的なコミュニケーションがとれるようになったと感じています。アンケートなどを見ると、講師から指導してもらったさまざまな部下育成のスキルに加え、集合研修で他の受講者の取り組みなどから得たアイデアや方法論なども大きかったようですね。当初の目的である気づきを与え意識改革を図るという意味においては、成果が出ているのではないでしょうか。風土改革は一朝一夕にできるものではありませんが、確実にその緒についたように捉えています。

――受講生の具体的な変化をお聞かせください。

山本様)議論が活発になりました。報告会でも受講者同士が「その方法はいいね」「そのスケジュールは見直したほうがいい」といった活発なディスカッションが行われています。おとなしい社員が多い当社では珍しいことです。こうした取り組みが、現場での部下育成においても積極的にコミュニケーションをとろうとする姿勢につながっているようです。

また受講者の目標意識が明確になりました。目標設定に書く文章も最初は抽象的だったのですが、研修が進むにつれて具体的になっていきました。目標実現は、上司と部下がいかにそれにコミットするかが重要です。そして、そのためには具体的な目標設定でなければなりません。その意味でも、人材育成に対する取り組みが、より実効的になったと感じています。

オリジナル研修とそれを具現化する講師の情熱

――今回の研修をニッコンに発注した理由をお聞かせください。

山本様)今回の研修の発注はコンペ形式で行い、8社ほどが参加されました。その中でニッコンさんに決めさせていただいたのですが、ニッコンさんは企画提案までに何度も打ち合わせにこられました。営業担当の方が研修対象者の特性、課題、達成目標、当社の研修体制などを熱心にヒアリングされ、まずその姿勢に他社にはない熱意を感じました。
企画自体も当社の目標管理制度に合わせていただいており、また電話コーチングもご提案していただきました。私自身も今回は集合研修を数回やって終了ではだめだと考えていたので、目的に至るプロセスが明確な企画だと評価させていただきました。

――実際の研修に関してはいかがでしょう。

山本様)研修内容を詰める際にも、ご担当の本間講師と長時間にわたって打ち合わせをさせていただきました。私の経験でもここまでのケースはあまりありません。研修体系から社員の状況はもちろん、中期経営計画まで参考にしながら、内容を一つひとつ詰めていきました。ですから、今回の研修は当社の状況に応じたオリジナルの研修になっています。その意味では、コンサルティング形式の研修と言っていいように感じています。

――講師に関してはどのように評価されていますでしょうか。

山本様)先ほど申し上げたコミュニケーション能力の養成や具体的な目標設定などの成果も、本間講師ならではだと思っています。研修中も発言が少ないと「質問がないのは聴いてないのと同じだ!」「本気で議論しよう」などハッパをかけられます。こうした情熱が、当社のおとなしい社員の意識を変えたのではないでしょうか。

何より感謝しているのは、個別コーチングに関してとても熱心に対応してくださることです。電話も30分という約束だったのですが、時間を超過しているケースも多いようですし、受講者からのメールにもきめ細かく対応していただいています。ある受講者がやむを得ない理由で集合研修を欠席したことがあったのですが、その社員のために特別に時間をとって来社してくださったこともありました。

――今後の研修の中でニッコンに期待することをお聞かせください。

山本 健二 様

山本様)この中間管理職の部下育成研修に関しては、事情が許す限り続けていきたいと思っています。そうすることで、自ずと当社のプレイングマネジャーのあるべき姿が構築されていくのではと考えています。

もちろん部下育成以外にも当社にはさまざまな人材育成課題があります。私自身は、すべての研修に共通する重要なテーマは、マインドセットだと考えています。会社、部署、自分の置かれた状況を俯瞰的に把握し、危機感を自分のものとして捉える。そして、そこから何を学び、どういった方向を目指していくかを理解したうえで自発的に研修に臨むことが、最も重要だと思います。これからもニッコンさんには伴走式の研修を通して、当社の研修課題にアプローチしていただければと思っています。熱い講師とオリジナルの研修に、今後も期待したいですね。

お話を伺った方:
人事総務部 人材育成グループマネジャー
山本 健二 様
取材地:
森永製菓株式会社 本社
公開日:
2014年12月5日(名称等は、公開当時のものです)

企業情報

森永製菓株式会社

会社名 森永製菓株式会社(MORINAGA&CO.,LTD.)
代表者 代表取締役社長 新井 徹
本社所在地 〒108-8403 東京都港区芝5-33-1
創業 1899(明治32)年8月15日 森永西洋菓子製造所 創業
設立 1910(明治43)年2月23日
資本金 186億1千万円
売上高 1,476億28百万円
従業員数 1,377名(平均年齢40.0歳)
事業内容 菓子(キャラメル・ビスケット・チョコレート等)、食品(ココア・ケーキミックス等)、冷菓(アイスクリーム等)、健康(ゼリー飲料等)の製造、仕入れ及び販売
公式サイト http://www.morinaga.co.jp/

コンサルタントの声

本間 秀明コンサルティング部 本間 秀明

専門分野 営業部門強化コンサルティング及び研修、OJTに関わるコンサルティング及び研修、ビジネスコーチング研修及び個別コーチング


森永製菓様では、環境変化に的確に対応し、経営理念に基づく組織目標を達成し続ける組織を実現するためには、今後の組織の中核となる中間管理職の強化・意識変革が急務であるとのご認識がございます。それをうけて、今回の部下育成(OJT)をテーマにした組織強化の取り組みがスタートしました。

導入済の目標管理制度と連動させて、参加者が、前後の期間をあわせて10か月間をかけて取り組んでいきます。さらには、人事総務部と参加者との間で、研修終了後も数ヵ月かけて活動を続けていくしかけがあるところが特徴的です。

参加者の意識の変化を行動へ結びつけるためのしかけは、3つあります。

①定期的な電話コーチング

参加者一人ひとりが直面する事案を取り上げることができるため、一般論や全体最適を求めがちになる集合教育では得ることができない知識や気づきを、手に入れることができます。また、コーチングを受ける体験ができますので、「コーチは、コーチをつける」という原則を実践することになります。

②上司の積極的な参画OJT

推進成功の秘訣は、組織全体でOJT対象者と関わることです。参加者が部下育成について、参加者の上司と頻繁に会話ができるような取り組みをしています。OJT担当者が育成の任を担うことになりますが、その前提としてチーム上司の育成方針が確立されていることが必要です。

③人事部の絶妙なバックアップ体制

当プロジェクトの必要性や重要性をデータや資料に基づき、何度となく参加者に伝え理解してもらう場面を作っています。また、参加者がいつでも相談できるに乗れる体制をつくりバックアップしています。さらに、電話コーチングの内容には関与しない姿勢をとっていますので、電話コーチングが社内的なセーフティゾーンとして機能しています。このようなしかけのもと、参加者の方々の意識は、確実に変化してきています。それは、日常の言動の変化からも読み取ることができます。

すでに、第3期生の取り組みが始まっています。今後、この研修会で力をつけた中間管理職の方々が全国の事業所を舞台にして、組織変革の大きな渦の中心になっていくことが期待されます。

森永製菓様の願いである組織変革を実現するために、組織構成員の意識を変え、行動を変え、習慣を変えるお手伝いを通して、個人も組織も元気で豊かになるコンサルティングを今後も提供し続けていきたいと考えています。