なんでも相談 【495号】
質問
私は大都市近郊にある従業員200名、資本金2億円の建設会社の役員です。今般の新型コロナウィルスに対する感染防止拡大のため、事務職員のテレワークや一部社員の休業などにも取り組んでいます。
今、政府や自治体から様々な新型コロナウィルスによる損失や投資に対し給付金や助成金などが出るとテレビや新聞で報道されていますが、どのような制度があるか整理できていません。当社で利用できそうな制度をわかりやすく教えていただけないでしょうか。
回答
政府や自治体も新型コロナウィルスによる経済的打撃に対して、事業者の皆様をサポートするため、様々な資金支援施策を実施しています。今回は、国や地方公共団体の資金支援制度の概要説明と、具体的に展開されている代表的施策を、5つの類型ごとにご紹介いたします。
なお、具体的な制度利用につきましては、それぞれ貼付のURL等より詳細条件・内容をご確認ください。
(1)給付金
条件にあてはまり、申請をすれば受給できる資金支援制度です。広くあまねく支援することを目的としています。
◆持続化給付金(中小企業庁)
中小企業(資本金10億円未満)の皆様を対象に、事業収入の減少分を最大200万円まで給付する制度です。
https://www.jizokuka-kyufu.jp/
(2)助成金
条件にあてはまり、申請をすれば受給できる資金支援制度という点では給付金と同じです。政府が目的・条件を設定し支援をするため、給付金に対し対象が限定されるイメージです。
◆雇用調整助成金(厚生労働省・YouTube)
厳しい経済環境においても、雇用主が雇用を維持するための助成金です。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、中小企業(資本金3億円もしくは従業員300人以下)が解雇等を行わず雇用を維持し、休業手当について60%を超えて支給する場合には、その部分の助成率が100%になります。その他にも様々な特例措置があり、大企業が活用できる制度もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=Llp_jfNJtPU
(3)補助金
申請書を審査し、採択・交付決定された事業者が活用できる資金支援です。補助率・補助上限額などが設定されており、費用の一部は事業者側の負担であるケースが多いです。
◆ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(全国中小企業団体中央会)
中小企業(資本金3億円もしくは従業員300人以下)が行う「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援する制度です。補助金額は100万円~1000万円、補助率は1/2(条件により2/3)です。新型コロナウィルスの影響による「資材内製化のための設備投資」や、「テレワーク環境設備導入」などが特別枠として設けられています。
http://portal.monodukuri-hojo.jp/
◆IT導入補助金(一般社団法人サービスデザイン推進協議会)
中小企業(資本金3億円もしくは従業員300人以下)に対し、生産性向上に資するソフトウェアの購入費用や関連するオプション・役務の費用を補助する制度です。補助金額は30万円~450万円、補助率は1/2(条件により2/3)です。新型コロナウィルスの影響によるテレワーク用ソフトウェア購入や、PCレンタル費用なども対象になります。さかのぼり申請が可能で、4月7日以降に購入したITツール等についても、補助対象になるケースがあります。
https://www.it-hojo.jp/
(4)制度融資
都道府県や市町村が、有利な条件での資金調達を支援する制度です。低金利や金利固定、無担保、保証人不要、長期間の借り入れ可能など、様々なメリットがあります。一方、信用保証料がかかるなどのデメリットもあります。詳細は自治体の制度融資窓口にお問い合わせください。
(5)優遇税制
条件を満たした事業者に対し、固定資産税や都市計画税の免除・軽減、納税猶予などにより、税負担を支援する制度です。
◆新型コロナウィルス感染症 緊急経済対策における税制上の措置(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2020/zeisei_202004/zeisei_20200407.pdf
上記は2020年5月7日時点での情報です。今後も政府や自治体より、新たな支援施策が実施される可能性もございますので、最新情報をチェックしてください。なお、具体的な支援制度の詳細は、各省庁・自治体の担当部局にお問い合わせをお願いいたします。
貴社は企業規模の要件に該当していますが、制度によって対象となる企業規模が異なるので注意が必要です。しばらくは景気の先行きが不透明ですが、弊社も引き続き、皆さまの事業継続・発展に向け、皆様のビジネスを全力でご支援いたします。お困りごとやご関心事等ございましたら、何なりとご相談ください。
(回答者)
日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 経営コンサルタント(中小企業診断士) 齋藤 昭彦