なんでも相談【490号】
2019年3月6日
質問
地方都市で、マンション建設を手がける建設会社の役員です。業界の例に漏れず、現場監督の残業が多い環境のため、働き方改革をしなければならないと考えています。しかしながら、その具体的な方法に苦慮しています。ICT施工なども検討していますが、あまり現場監督の労働時間には直結しないようにも思います。どのような点から手を着ければ良いのでしょうか。
回答
働き方改革法が成立し、建設業においても残業時間の上限規制が導入されることが決まりました。今の時点で、働き方改革に取り組むには、とても良い時期です。ただ現在、業界をあげて導入が推進されているICT施工は、土木工事が中心となっており、貴社のような建築工事においては大きな改善効果が生まれにくいとも言えます。
多様な工種の作業員が出入りする建築工事、特にその施工管理業務においては、「どうしても必要な所要時間を削る」ことよりも、「無駄が発生している時間を削減する」ことの方が効果的です。
前者であれば、実際には長期的な業務改革や技術者育成が必要になるなど、多くの困難が予想されます。一方、後者であれば、その実現は比較的容易経験や蓄積が必要です。
例えば、「施工写真を撮影すべき時刻に現場に行けず、撮影のチャンスを逃し、現場内を余計に往復している」といったことがあれば、最優先で着手すべきポイントです。他にも、「施工写真や測定データの整理が当日のうちにできず、後で思い出しながら作業しているため、余計な時間がかかっている」などということがあれば同じことです。
現場では忙しく、わかっていても、然るべき時に然るべき業務に着手できないのかも知れません。特に、若手の現場監督はそういう面が顕著だと思います。しかしながら、「知らないこと」「経験の無いこと」を担当するのではないため、それを実行するための現場運営を行うことの方が遥かに容易です。建築工事に限らず、土木工事においても、このような「余計な時間」を発生させないような段取りを、個々の現場監督が計画して取り組むことが有効です。
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