2018年4月25日

なんでも相談【481号】

2018年4月25日

質問

地方建設会社の工事部門で現場代理人をしています。会社では中堅社員でもあり、新入社員の教育を任されることになりました。新入社員との付き合い方でコツのようなものがあれば教えてください。

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回答

年齢の差もあり、育った時代も違う人と付き合うだけでも大変なことなのに、その上、人を教育するのですから気が重くなるのもあたりまえのことです。歴史は繰り返されるものと言われます。かつての自分を思い返してください。現在の自分があるのは、やはり先輩から多くのものを学んでいるからなのです。

まず、面倒を押しつけられたものだ等と思わず、自分自身が成長する新たなステージが来たのだと思うことが大切です。何事も前向きに考えましょう。自分の考えが否定的になると相手(新人)にもその気持ちが伝わるものです。まず、新人は「動かない(やらない)」のではなく「動き方(何をするか)」が分からないのです。このことを先ず頭において付き合いましょう。

次に、相手は一人の人間として「心」があるということも忘れないようにしてください。

人間が動くためには「動機」があります。特に自分から「やりたい」という動機が働くほど人間の行動は継続するといわれます。そこで、指導する時には、人をやる気にすることがまず大切です。このためには、相手が成長したい、大きな仕事がしたい、という「欲求」への働きかけ、つまり今教わることが、そのような仕事が出来るようになるために必要なことだと理解させる、心の準備をさせることを心がけてください。

そして、日頃のコミュニケーションでは、押し付ける言い方は避けましょう。たとえば、安全については、厳しくいうのではなく、事故が起こればどうなっていくかをうまく連想させるようにもってゆくといいでしょう。

また、覚えた頃を見計らって、質問してみてください。回答がまだ浅いと感じたら、まず答えられたことは褒めた後、このような視点から考えてみたら、こうなる。と中身を深くして、本人の気づきをおこすように指導しましょう。

要するに、現場のルールを守らせて、伸び伸び考えさせてあげる雰囲気づくりをしてあげることで、本人が自分で学びたい、この仕事を覚えたいという気持ちになるようにもっていってあげるとよいのです。

まずは、あなたが教えながら自分も成長していると感じること、その喜びが自然と相手に伝わります。そのためにあなた自身も、新人に教えるために、仕事の内容を深く点検して質問に答えられる準備をしておくことも大切になります。

参考図書としては、「建設業の実践OJT読本」(日本コンサルタントグループ刊)がございます。

 

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