2017年9月28日

なんでも相談【468号】

2017年9月28日

質問

新入社員の育成は、研修を4月に1~2週間程度行い、後は現場に配属してOJTで行っています。しかしながら、新入社員の意識差なのか、数年後にはずいぶんと能力差がついてしまいます。落ちこぼれをなくすためには、どうしたらいいのでしょうか?

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回答

新入社員は学生時代の延長では、なかなか一人前の技術者になっていきません。社会人としての常識から始まり、基本的な施工知識や仕事の進め方を教えていかなければなりません。建設現場は厳しい利益率なので、経費削減のために現場社員の人数はぎりぎりです。そのため昔と比較し、書類業務の増加もあって、社員の一人当たりの業務量も増えています。部下や後輩指導にかける時間が減少しています。

社員の育成はOJTが主体ですが、それを支援する勉強会や研修会が必要になります。OJTのデメリットは、指導者によるバラつきです。基本的な知識は、勉強会を開催して、体系的に教える必要があります。

仮に10人の現場代理人が10時間かけて、OJTで基本的な知識を教えたとします。会社としてみれば、現場代理人の延べ100時間の労働時間がとられています。これを勉強会で実施すれば、現場代理人1人が講師となり10時間ですみます。現場代理人は基本的な知識を教える時間を、他のスキルアップに使えます。知識は勉強会で教えることができますが、実際に「仕事ができる」ようにするには、部下・後輩にやらせて、やれるまで指導する必要があり、OJTに頼らなければできません。

OJTのメリットは、個人のマスター状況に応じて、指導を早く進めたり、何度も繰り返したりできることです。なかなかマスターしなければ、本人が「できるようになる」まで繰り返すことができます。その意味で、勉強会はOJTを支援する教育になります。勉強会により新入社員に基本的な知識を、体系的に教えます。OJTで実際の業務を任せながら、基本的な知識を実際の現場で見せたり経験させたりします。この繰り返しによって新入社員は任せられる業務の幅が広がり、一人前になっていくのです。

OJTという現場任せでは、新入社員の育成はバラつきがでて、基本的な知識を学んでいない新入社員も出てきます。勉強会や研修会によりOJTを支援する必要があり、OJTとOFF-JTをうまく組み合わせて新入社員教育体制をつくことが大切なのです。

 

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