なんでも相談【462号】

なんでも相談【462号】

2017年6月28日

質問

地方都市の中小ゼネコンで工事部長を務めています。

近年は幸いなことに、仕事が切れずに確保できています。一方で、長らく続いた不況期に人材採用を十分に行って来なかったために、ここ5年ほどは採用活動に力を入れていますが、なかなか条件の合う応募者がありません。そんな中でようやく採用できた社員の中から、最近、若手社員の離職が立て続けに2件ありました。

建設業協会の方に聞くと、やはりそのような会社は非常に多いと言います。そしてやめる理由は、「結局『自由な時間が無い』ということだ」とも言われました。

残業時間を減らしていかないといけないとは考えていますが、そうかといって、減らしてよい作成書類や現場業務があるわけではありません。技術者数などの面からも、社員を多めに配置することも難しい状況です。他社でも同様の話を聞きますが、うまく解決している建設会社はあるのでしょうか。あればどのように対応しているのか教えていただけますでしょうか。

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回答

近頃、安倍政権が「最大のチャレンジ」と位置づける、「働き方改革」に関するニュースを耳にすることが増えました。

建設業においても、「生産性革命」と「働き方改革」を目的としてうたう「第4期国土交通省技術基本計画」が国土交通省より平成29年3月に発表されています。それだけでなく、具体的な労働時間に切り込む提言も出てきています。これまで建設業では、36協定によっても超えられない上限の残業時間(年720時間)の規制が適用除外とされてきましたが、5年間の猶予期間の後に規制対象に組み込む法改正の予定が公表されています。

将来的には、建設業における「業界の特殊性」といった言い訳は効かなくなるでしょう。これからは、各社・各現場で、生産性を高めるために真剣に取り組んでいく必要があります。

しかしながら、そのために有効なのは「作成書類の量を減らす」「現場作業を減らす」といったことだけとは限りません。むしろ、日常の業務の中で深く意識されていない無駄にも、生産性向上の大きな可能性が埋もれている場合があります。

例えば、次のような例がありました。

若手の現場監督は、昼間は現場の手配・調整などに追われるため、施工図などを作成するのはいつも夕方以降、夜遅くなるのもしばしばでした。その若手監督は、CADの操作そのものは得意としていましたが、昼間の疲れがたたってか、計画をまとめ上げるのに時間がかかっていました。その上、計画上の基本的な指摘事項も見られ、修正などに多大な労力がかかっていました。

そこで所長は一計を案じ、事務所内に、昼間でもひきこもって作業ができるスペースを確保しました。午前中に1時間の時間帯を設定し、その間は、災害発生などの緊急時には所長が受け付け対応するものの、それ以外の問い合わせには一切対応しないことを作業所の全作業員に周知しました。

同時に、所長は若手の監督に、その時間帯はCADでの作業を禁止し、手書きで1時間以内でスケッチをまとめるように命じました。悩む点があればメモを書かせ、まとめ切れなくても、1時間で進めた作業を元に所長と打合せを行うことにしました。

特に、午前中は頭がすっきりしているため、考えがまとまります。慣れてみると、1時間でそれなりの方針は立つもので、CAD作業前に打合せすることで、この若手の監督は手戻り作業を大きく減少させることが出来ました。

施工管理業務は、進め方ひとつで生産性が大きく変わります。普段実施している業務を、先入観を持たずに見直してみると、改善点が見えてくるものです。

日本コンサルタントグループでは、施工管理業務の生産性向上のための企業向けコンサルティングや現場代理人向け研修を実施しておりますので、宜しければご検討下さい。

 

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