なんでも相談【447号】
2016.10.26
質問
私の会社では、工事受注が決まると購買部にて作成された実行予算書を渡された後に、施工検討会が開催され現場の予算目標(目標利益)が指示されて、これをベースに予算承認申請が行われます。
施工検討会の内容としては、工事部長と購買担当者が業者発注の目標を定めたり、予算内容の掛見込みを「このくらいでできるだろう」と詰めていくことを確認していきます。そして、定められた予算目標で承認されるのですが、実際の現場施工では下請業者さんに追加の作業依頼が出てしまうなど、予算目標の達成には工事部長の力を借りて話をまとめてもらっています。
実行予算管理という言葉は建設業では当たり前のものと思いますが、今の自分には実施している実感がありませんが、どのように考えたらよいでしょうか。
回答
質問から察しますと、御社では組織的には下請負に出す協力業者への発注目標など、予算書の80%以上を占める外部購入費用の方針を定めて利益目標達成のための活動を支援しているため、現場代理人として施工の段取り(施工図の作成や届け出資料の作成など)を行って工事がうまく進捗するように力を発揮させているのだと思われます。
しかし、これは現場代理人という立場の人が予算管理にまで手が回っていない状態であると言えます。予算管理とは、その名の通り簡単に言えば、目標として定めた実行予算書と実績結果を管理していくことです。
今の状態は、承認された予算目標に対して購買活動を行っていく。目標達成に向けてその差額を管理している。予算書が使われていない状態を見ても、予算管理とはどのようなものか実感がないのは当り前なことかもしれません。
実行予算書はどのような生産活動を行って利益を最大化させようとする計画書です。そして、現場代理人は事業場の経営者として実行予算書を主体的な道具として目標達成にチャレンジする役割があります。購買は発注価格という一式の結果です。この結果だけを予算書との対比の対象にしては予算管理というものがどこにも出てきません。
下請の請負はどのような仕事をするという内容に対する請負です。したがって、現場代理人は自身の実行予算書のそれぞれの工種に対し「こういう工事を行う」という現場で行われる独自の活動目標として表されていなければ、現場で実際に起こった実績との対比はできないことが理解していただけると思います。
実行予算書は効率的な利益づくりのための工事の進め方の内訳です。たとえば、「こういうやり方で掛人工を減らそう」「この作業は何日間で終わらないか」「こうやって数量のロスをなくそう」という利益づくりのための計画を項目・数量・単価で代理人自身が設定することができれば、予算書を道具として使用した予算管理に繋がってくると思います。
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