2016年10月12日

なんでも相談【446号】

2016.10.12

質問

都内の中小規模の建設会社で工事課長をしています。5年程前に新卒採用した若手社員に小規模現場の現場代理人を任せる機会が増えてきました。それに伴い、昔から付き合いのある現場の職長達から、彼らに対する相談を受けるようになりました。

その中で「年齢が20~30歳も離れているため、現場で指示をするときに、非常に気を遣ってくれるのはいいが、それが過ぎるため、肝心の指示内容がよくわからない。絶対守らなければならない命令と努力目標としてのお願いでは作業内容が違うので、明確に伝えてくれないと工事に支障がでてしまう。重要な場面ではちゃんと言うべきことを言ってほしい」というものがありました。

一緒に長く働く仲間として、人柄を重視し素直で優しい子達を採用したのですが、それがマイナスになるときがあるということに気づかされました。彼らの良い部分は尊重しながら、現場代理人として的確に指示できるよう育てるにはどうしたら良いのでしょうか?

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 回答

ご相談頂いた問題を解決するために、指示・命令に関わる若手社員の方々の性格的な面と技術的な面の2つに分けてお話しします。

性格的な面として、素直で優しい人柄を問題視する必要はありません。最近の若者を一括りに語るのは適切ではないですが、KY(空気を読めない)という言葉の流行に象徴されるように、年長者に限らず周囲の人に気を使う傾向が強いのは確かです。それが、上の世代の職長達からは少し過剰に感じるのでしょう。

しかし、指示・命令はする側と受ける側の人間関係が円満なほど、結果が良いものです。そのため、自然と相手の気持ちに配慮できることは、現場管理をする上でむしろプラスに働く方が大きいといえます。

問題は技術的な面にあると考えます。指示・命令は、単に仲良く話をすれば良いというものではありませんし、強い口調で強要すればよいというものでもありません。「する側が的確に話す」「正しく伝わる」、この2つが重要です。そして、「的確に話し、正しく伝える」ための方法論は複数あり、スキルとして身に付けることができます。

参考までに、その一つのPREP話法を紹介しますと、最初に結論(Point)を示して、次にその理由(Reason)を説明して、具体的な例示(Example)をしてから、最後に結論(Point)を繰り返すという順番で話すという方法論です。具体的な使い方としては、「ここでは必ず保護具を着用してください(結論)。その方が怪我を防止できるからです(理由)。実際に、似たような場面でルールを守らずに、大怪我をしたという事例が報告されています(例示)。ですので、ここでは必ず保護具を着用してください(結論)。」のようになります。

一回学べば誰もが簡単に実践できるため、1つ話法を選んでそれを身に付けさせることをお勧めします。指示・命令する側が、結論、理由、例示の構成を明確に整理して話せれば、うまく伝わらない場合でも、結論が理解できていないのか?理由が納得できていないのか?原因を探れるため、誤解が起こりにくくなります。

技術により優しい性格のマイナス部分を補うことができれば、優れた現場代理人に成長することが期待できます。

弊社でも、基礎的な指示・命令スキルの習得を目的とする講習会を開催しております。宜しければホームページで内容をご確認の上、受講を検討下さい。

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