2016年5月25日

なんでも相談【438号】

2016.5.25

 質問

地方都市で、中小建設業で工事部門の担当役員をしています。弊社は、5年後には主軸の技術者の退職で工事の入手にも困難になることが心配です。3年前から途中採用や新卒の採用に向けて努力していますが、思うように採用ができません。最近同業他社では外国人の採用をしている会社もあると聞きました。外国人実習生はよく聞きますが、技術者での採用についてはどのようにすればよいか分かりませんので概略のところを教えてください。

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回答

建設業界だけではなく、日本の労働人口全体が減少傾向にあるので、優秀な人材を獲得すること自体難しい状況です。総務省の労働力調査から推計される数字でも2025年までに建設就業者数が約174万人不足(平成24年工事需要基準)するとの見解があります。174万人のうち約6%にあたる約10万人弱(10年後)の技術者が不足すると思われます。1年で約1万人程度です。

中小建設会社の数をどこまで入れるかですが、地方有力ゼネコンにとっては毎年数名不足することが推測されます。これに加えて現状の技術者の退職者を考えると深刻な状況となることが想定されます。

3年前から全国的に女性社員を含めて新卒社員の採用が伸びていますが、不足を補うところまでは追いつけない状況であると思います。まだ全体からすれば少数企業と思われますが、外国からの留学生、外国の工科系大学の卒業生を起用する企業が出てきていることも事実ですので、簡単にご紹介させていただきます。

まず、建設企業が必要な人材を定義すると「工業(建設)の基礎的素養が高いレベルであり、向上心があり、誠実で意欲的に仕事に取り組む人材」となると思います。
このように定義すると、人材は広く求めるべきではないでしょうか。人材を国の内外で求める結果の一つとして外国もあると思えば採用フィールドが広くなります。国内を限定すれば、地方建設企業はもともと、知名度や就業環境から不利です。海外の人材から見れば、東京だけが日本ではないのです。

まず地理的な採用の差がなくなります。次に待遇については、求める人材相応を考えなくてはなりません。優秀な人材に合う待遇、つまり自社の社員と同等の待遇です。このことを前提として採用を検討すれば外国人の採用は日本人の採用と特に違いはありません。採用後の教育や育成については、日本人でも同じなのですが現場任せにせず、組織的なOJTプログラムを含めて、手をかけることが必要です。

6月3日(金)には弊社主催で「アジア建設工学人材採用説明会」を東京で開催しますのでご参考になると思います。

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