なんでも相談 【525号】

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質問

建設会社の総務部で責任者をしております。先日、社長からの特命で、人事制度の見直しを行うことになりました。現在の制度は20年ほど前に、当時の顧問社労士に参考資料をもらいながら作成しました。実際には参考にもらった資料をほぼそのまま流用した制度なので形骸化しています。

現在、2024年4月の残業時間上限規制に向けて、働き方改革実現に向けた取り組みを当社でも行っておりますが、社員によって取り組み状況に温度差があり、忙しい中何とか頑張って取り組んでいる社員を私としては評価してあげたいと考えています。つきましては、このような社員を評価するためにはどのような評価制度にしたら良いでしょうか。また、具体的な評価項目なども教えていただけると有難いです。

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回答

この度はご質問いただきありがとうございます。現在、多くの企業で働き方改革実現に向けてICTの導入や業務を効率化する活動が推進されています。御社でも働き方改革実現に向けた取り組みをされているのですね。今までの仕事のやり方・進め方を変えるというのは非常にパワーのいる取り組みで、ご苦労も多いかと存じます。残念ながら、多くの企業でなかなか結果に結び付いていないのが現状です。その要因は様々ですが、新たな取組みをしっかりと評価する環境整備不足もその一因だと思っています。御社では、人事制度の見直しをこれから行うということで、是非下記要素を加味して制度設計いただけますと幸甚です。今回は、ご相談いただいた評価制度についてご紹介したいと存じます。

「労働時間の長い社員ほど、頑張っている、総額給与が多い」といった「時間」で評価している企業が実態としてはまだまだ多く感じます。これからは「効率」や「生産性」を評価するといった「限られた時間の中で成果を出す」人材が評価されるしくみに変えていかなければなりません。

まず会社として行うべきことは、そのような人材を育てるしくみを構築しなれければなりません。つまり、「処遇のための評価制度」から「育成のための評価制度」へ変えていく必要があります。ポイントしては、評価シートにおいて、経営者が社員に求める人材像、評価のポイント(基準)を着眼点としてまとめて明示し、「人事評価シートに社員への期待を示す」ことです。

230207-1例えば、上記は施工管理職の例ですが、若手・中堅・ベテランなど、レベル毎に期待する評価基準を明示することで、職種毎に会社の期待が明確になると存じます。また、「効率」や「生産性」で、社員を評価する項目も加えて、新たな取組みに対してしっかりと会社が評価することも重要なことだと思います。

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例えば、上記は、管理職クラスに設定した「生産性向上や働き方改革」評価項目の例です。このような評価項目も加え、評価のウェイト上げるなど、頑張った人が報われる、効率的に働いた方がメリットが高いと感じられるような評価制度を考えましょう。

 

(回答者)
日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 経営コンサルタント 菅原 政郎