なんでも相談 【516号】
質問
現場の時短や休日取得がなかなか進みません。どのような取り組みをしていくべきでしょうか。何かアドバイスをください。
回答
建設業界でも2024年4月から残業時間の上限規制が施行されることもあり、ご相談者の方と同様、悩まれている方は多いですね。
現場の負担を軽減するため、ソフトウエアなどのICTの活用、事務部門に業務の一部を任せることなどが現在取り組まれている企業は増えています。とはいえ、長時間労働の根本的な要因であるそもそもの自分自身の仕事の進め方・やり方を変えなければ、なかなか残業は減りません。せっかく時間を生み出しても、優先すべきではない業務に手を付けたり、それまで簡略的に作っていた資料に手間をかけてしまうことに時間を使ってしまいます。物理的な書類作成の負荷は減っても、結局は残った仕事に費やす時間が膨張していくことが少なくありません。
特にベテランの技術者は、効率良く仕事を進めるという意識ではなく、時間を使ってでも良い仕事をしようというスタイルです。それで評価を得てきたという自負もあります。一方で建設業の担い手不足が顕在化し、働き方改革が求められる中で、ベテラン技術者にも意識改革が必要となっています。
効率的な時間管理を進めるポイントは、まずは時間の効率化について、『目標を持って最大化する』意識を持つことです。現場では突発的な問題が起こり、計画通りに進まないことも多いです。だからといって大くくりのスケジュール管理を続けていると、それぞれの仕事に必要となる時間管理が身に付きません。自分一人でできる業務と人と関わる業務、自分が担う仕事と人に任すことができる仕事なども考慮しなければなりません。特に若手技術者は、計画を立て、実践を重ねていくことで、時間の管理ができるようになります。その上で、いま優先すべき業務が何かを考え、その業務に集中することが生産性の向上につながっていき、現場の時短や休日取得にも繋がっていきます。
(回答者)
日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 経営コンサルタント 菅原 政郎