建設経営への道標【477号】
2018年2月28日
競争力のある積算システムの確立 第4回
営業・購買・工事部門が、情報提供などによって積算部門を支援するという仕組みを充実させることが、極めて重要なことになります。そのために、まず、積算機能のあるべきフロー図を作成します。自社設計見積もりと他社設計見積もりなどの業務フローを作成するとよいでしょう。積算機能として強化すべき基本的な業務の手順を『業務内容』として、左方向から列記していきます。『業務内容』の上段に『インプット』、下段に『アウトプット』の欄を設け、インプットのところでは、中央の『業務内容』を実施するために必要な情報、資料など記入するとともに情報提供者(部門)を付記します。また、アウトプットのところでは、『業務内容』により作成・提供される情報、資料などを記入していきます。このようなフローが出来上がりましたら、これに基づき営業・購買・工事部門などの支援を受けながら、運用に入りますが、積算部門をより有効的に機能させるために、いくつかのポイントをあげてみましょう。
2.積算システム運用上のポイント
1.利益を考慮した単価を設定する
詳細は【475号】をご覧下さい。
2.原価基準を明確にする
詳細は【476号】をご覧下さい。
3.購買部門と連携する
「 2.原価基準を明確にする」でも記述しましたように、積算部門がより適正な単価を持つためには、購買部門の協力なくしては考えられません。このことについては、この後でも触れたいと思いますが、そのためには購買部門(あるいは購買機能)の位置づけ及び、その役割も改革していく必要があります。
見積単価の標準化とともに重要なことは、この見積単価が当然のことながら、他社との競争受注になったときに勝てる(受注できる)単価になっている必要があることです。他社に勝てる見積単価を設定するためには、その根拠となっている製造原価が、他社よりも安くなければならないわけです。
すなわち、製造原価を下げるためのコストダウンの努力や工夫が、充分になされているか否かになるわけです。
このコストダウンの具体化において、購買部門がリーダーシップを持っている企業ほど競争力を持った見積単価を用意できることになるわけです。そういう意味から、積算部門が購買部門と連携、協調すればするほど、積算部門の機能は強化されていきます。
この積算・見積段階で受注成約率を高めるためにも、コストダウンをより具体的に考えることは極めて重要で、そのためには購買部門だけでなく、営業部門、工事部門の担当者も参加した「受注前会議」のような打ち合わせを開催し、そこでコストダウンの可能性について大いに議論し、検証することも1つの考え方になります。
(つづく)
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