競争力のある積算システムの確立

建設経営への道標【475号】

2018年1月24日

競争力のある積算システムの確立 第2回

営業・購買・工事部門が、情報提供などによって積算部門を支援するという仕組みを充実させることが、極めて重要なことになります。そのために、まず、積算機能のあるべきフロー図を作成します。自社設計見積もりと他社設計見積もりなどの業務フローを作成するとよいでしょう。積算機能として強化すべき基本的な業務の手順を『業務内容』として、左方向から列記していきます。『業務内容』の上段に『インプット』、下段に『アウトプット』の欄を設け、インプットのところでは、中央の『業務内容』を実施するために必要な情報、資料など記入するとともに情報提供者(部門)を付記します。また、アウトプットのところでは、『業務内容』により作成・提供される情報、資料などを記入していきます。このようなフローが出来上がりましたら、これに基づき営業・購買・工事部門などの支援を受けながら、運用に入りますが、積算部門をより有効的に機能させるために、いくつかのポイントをあげてみましょう。

2.積算システム運用上のポイント

1.利益を考慮した単価を設定する

見積単価というものは、それぞれの工事物件を製品に例えると、「その製品の価格」と同じ意味合いを持った数値として考えられます。この製品価格は、製品を製造する基になっている製造原価に、企業が期待する粗利益を付加した形で設定される必要があります。

言い換えれば、当然のことですが見積単価の中には、それぞれの物件特性を考慮した適正粗利益を含んでいるということです。ただし、この適正粗利益を設定する責任は、前述したように積算部門ではなく営業部門に持たせる必要があります。

そうすることによって、営業部門のプロフィットセンター(利益管理責任を有する)としての役割を明確にすることができます。すなわち工事物件において、企業が期待する粗利益を確保できなかった責任が工事部門にあるというだけでなく、それ以上に営業部門にその責任があるという考え方が明確になってきます。

製品価格に反映させる適正粗利益の設定においては、建築工事・土木工事・設備工事など工種によって粗利益率を変えるということは言うまでもなく、発注者が官庁か民間か、請負形態が元請か下請かによって粗利益率を変える必要があります。

さらに建築工事であっても、それがRC造かS造か木造かの構造の違いによって粗利益率を変え、土木工事においても道路改良・舗装・下水道り剛日といった工事種類によっても粗利益率を変えるという、きめ細かい見積もり設定が必要です。

(つづく)

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