コストマネジメントを支える機能について

建設経営への道標【465号】

2017年8月9日

コストマネジメントを支える機能について=第4回=

建設業において原価を管理し、コストダウンを具体的かつ確実に実践することによって、粗利益(または付加価値)を確保・創出する仕組みを、「コストマネジメントシステム」と定義づけしましょう。このコストマネジメントシステムには、基本的に次の4つの機能(役割)が必要とされています。

  1.  積算機能
  2.  原価管理機能
  3.  工務機能
  4.  購買機能

このそれぞれの機能の内容については、土木・建築・設備工事業といった業種、施工高を中心とした企業規模、その企業における組織体制、更にそれぞれの企業特性(地域、元請・下請の比率など)によって変わってきます。それぞれの機能について、標準的なものとして1つのビジネスモデルを想定することができますが、建設業としての基本的役割、機能定義、あるべき姿について、ここでは述べてみたいと思います。今回は、「購買機能」についてです。

3-1購買機能の役割

購買機能が基本的に持つべき役割としては、次のようなものが考えられます。

  • 工事粗利益の拡大を有効化させるための購買目標を待ち、発注差益 (実行予算と発注金額の差)を最大化するための活動を行なう。
  • 協力業者への発注において競争原理を導入し、コストダウンへの対応能力を中心とした施工能力の向上を推進する。
  • コストダウン発注に結びつく購買ルールや基準(業者選別・折衝・選定など)を確立し業務への標準化を管理する。
  • 外注契約に関するルール(発注伺い・発注条件・主文書など)を確立し、予算達成(利益獲得)の精度向上を図る。
  • 協力業者との接点になり、目標を与え結果評価によって、指導・育成を行ない、市場対応のパートナーとして囲い込みを行なう。
  • 発注実績データを分析、標準単価(歩掛根拠)との検証を行ない、単悟匿報として設定・公開する。

3-2購買機能の機能定義とあるべき姿

購買機能は、大きく分けると「購買目標認定機能」「発注機能」「業者管理機能」「情報管理機能」の4つになります。

  1. 購買目標設定機能:購買目標を認定する機能
  2. 発注機能:業者を選別し業者リストを作成する機能や、発注における折衝機能、業者を選定する機能、発注事務に関係する機能等
  3. 業者管理機能:協力業者の経営状況・資格取得状況や職長の能力、施工能力などを評価する機能、評価結果によって経営者・職長を指導・育成する機能、協力業者に発注する計画を作成する機能等
  4. 情報管理機能:資機材等に関する単価調査機能、標準単価を設定・検証・更新する機能、発注単価を設定する機能等

購買機能として考えられる詳細な機能と、それぞれの機能に関係する機能定義(仕事の内容)及び、あるべき姿(それぞれの仕事における最も望ましい姿)の1例について、「業者管理機能」について取り上げたいと思います。

機能 機能定義 あるべき姿
中項目 小項目
業者管理機能 協力業者総合評価機能
  1. 協力業者の評価(経営状況・資格取得状況など)をする機能
  2. 職長の能力(実行力・協調性・指導力・公平性・統率力など)を評価する機能
  3. 施工能力(品質・工程づ価・安全など)を評価する機能
  4. 『協力業者考課票』に基づいて評価する機能
  1. 協力業者の総合評価が、企業評価、職長評価、施工能力評価などを根拠にして公平公正になされている。
協力業者管理機能
  1. 評価結果によって、経営者一戦長を指導・育成する機能
  1. 『協力業者台帳』、『協力業者考課長』を通じて、経営者、職長及び職人に対する指導計画が作成され、それらに基づいて協力業者のレベルアップがなされている。
計画発注機能
  1. 業者評価の結果によって、業者をランク付けする機能
  2. ランク付けに応じて協力業者に発注する計画を作成する機能
  1. 『協力業者台帳』、『協力業者考課表』に基づいて業者のランクづけが公正になされている。
  2. 協力業者のランク別発注基準を整備し、Aランク業者への発注を優先的に実施することを考慮した公平公正な発注がなされている。

以上、コストマネジメントを支える主要な4つの機能についてご説明しました。

(終わり)

 

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