建設経営への道標【448号】
2016年11月9日
儲ける ための10カ条 =第2回=
経営者の悩みは儲けることが難しいということです。儲けるためには、原価管理をきっちりやりたいと考え、工夫しながら管理方法を確立しようとしています。しかし、「始めに管理ありき」ではなく、「始めに人ありき」なのです。ここに「儲けるための10ヵ条」 を挙げてみました。
- 施工単価内訳をつかむ。
- コス トダウンに生きがいをもつ 。
- 一人ひとりの知恵を共有化する。
- 行動計画を標準化する 。
- 発注者との折りあいをよくする。
- 社内コミュニケーション、いわゆる報告 連絡 相談をよくする。
- 実行予算を自分流に分解し、日々の収支を知る 。
- 先を読んだ段取りに慣れること。
- 情報 、ノウハ ウを積極的に吸収する。
- 会社業績に関心をもつ。
447号では1.~3.まで解説しました。それでは続きの解説をします。
4.行動計画を標準化する
今日,仕事を終えて明日はどのような仕事をするのか,現場でどうチェックするのか,段取りをするのか,または打ち合わせをするのか,というようなことを前の日に考えていますか。
自分の1日の行動を前もって標準化しておくことです。その通りにいかなくても構いません。明日はどういうことをするんだ。だったら,いまは何をしておくのだと考えることです。場当たり的にそのときになって段取りをしたり,打ち合わせをしたり,電話をしたり,と後手後手に回るようでは絶対に利益は上がりません。
プロというか,ベテランの所長クラスでよく利益を出す人は,明日のみならず1週間,1ヵ月後まで,どういうことを自分はいつまでにやるのかを全部,逆算して1日の行動を決めています。そして現場を見に行ったときも,どこがポイントかをあらかじめ頭のなかに入れています。 したがって,歩きながらでも目に飛び込んでくるのは,自分の頭の中のイメージと現場の状況を比較して,いいのか悪いのかを常に判断した評価が出てきます。そういう人から現場を見て評価されると,「痛いところをついてきたな」ということになるわけです。
5.発注者との折りあいをよくする
いくら一生懸命自分が現場をやっていても,発注者が現場担当者であるあなたを好いていない,信用していないということになると,結局,もらえるお金ももらえなかったり,やらなくていい仕事までやらなくてはいけなくなります。
信頼を勝ち得ていれば,建築の現場を設計事務所,あるいは施主が見に来ているときに「この部分の施工は,こういう不具合がありました。そこで,このように対処しておきました。この納まりは、このような工夫でやってみたいと思います。この方が後で仕上がりがよくなると思います。目立たないと思います」といった対応ができるようになってきます。
たまに来る発注者,施主には,現場で起きたことを安心できるように説明することです。「あ,この人はこんな細かいことも気をつけて施工してくれでいるんだな」「この人なら,任せても安心だな」とそのように自分自身が信頼されるように行動することです。
そして,慣れてきますと人間だから,雑談したりしてだんだんと気持ちを通い合わせるようになります。そうなってから,うまくタイミングをみて,「実は,この部分をこういうふうに変更したいんですけど。この図面のままでやりますと,過去にこういうクレームが来て,雨漏りの原因になったりしますよ」というように 自分のメリットではなく,相手側,発注者側のメリットを考えて提案します。
すると「あなたの言うことは,いつもポイントを突いている。あなたの言うとおりにするよ」と自分のぺ-スで仕事をすることができるようになります。こういったことが,発注者との折り合いをよくすることにつながっていくでしょう。
6.社内コミュニケーション、いわゆる報告 連絡 相談をよくする
「自分の現場さえ見ておけばいい」という一匹狼になると,様々な不利益が生まれるものです。仮にAという現場で機械が遊んでいて,1週間ぐらいは使わないとします。Aのすぐ近くにあるBという現場でその機械が必要であるとします。そのままAで余っている機械を使うなら,近いからほとんど運搬費もいりません。しかし,どの現場でどの材料を使い,またそれが余っているのかを知らないと,わざわざまたリースすることになります。
客観的に見ていると,なぜ,そのようなムダなことをするのだろうと思えても,本人たちはわからないわけです。そこで,コミュニケーション,風通しをよくする工事部門というのを作っていかなければならないのです。そのパイプ役をする人を,なるべくたくさん作っておくことです。
(つづく)
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