儲ける ための10カ条

建設経営への道標【447号】

2016.10.26

儲ける ための10カ条

経営者の悩みは儲けることが難しいということです。儲けるためには、原価管理をきっちりやりたいと考え、工夫しながら管理方法を確立しようとしています。しかし、「始めに管理ありき」ではなく、「始めに人ありき」なのです。ここに「儲けるための10ヵ条」 を挙げてみました。

  1. 施工単価内訳をつかむ。
  2. コス トダウンに生きがいをもつ 。
  3. 一人ひとりの知恵を共有化する。
  4. 行動計画を標準化する 。
  5. 発注者との折りあいをよくする。
  6. 社内コミュニケーション、いわゆる報告 連絡   相談をよくする。
  7. 実行予算を自分流に分解し、日々の収支を知る 。
  8. 先を読んだ段取りに慣れること。
  9. 情報 、ノウハ ウを積極的に吸収する。
  10. 会社業績に関心をもつ。

これらの一つひとつについて解説します。

1.施工単価内訳をつかむ

たとえ下請け見積りの外注書を見て,取り決め交渉をしますが,次のようなケースがよくあります。

「予算がないけど,やってくれよ。今度また面倒をみるから。」

「いやぁ,そういっていつも値切られるんですけどねぇ。いまは労賃が上がって,この単価では無理ですよ。なんとかして下さいよ。」

「ま,そう言わないで。今回だけでいいんだ。頼むよ。オレの顔を立ててくれ。会社は厳しいんだから。」

このようなやりとりでは,相手を説得することはできません。そこで,施工のなかの単価内訳,つまり一つの見積りのなかに示された単価の例えば材料費,労務費,機械費,そして経費というものを分解したときに,ほとんどが労務費なのか,材料費が半分ぐらいあるのか,とある程度の仕分けをしておくことです。そうすると,次のような取り決め交渉ができます。

「この単価には,企業努力がなされてないではないですか。」

「何をいうんですか,主任さん。材料費は半年前の30%もアップしているんですよ。ここに物価版があるでしょう。この単価は相場ですよ,今の‥・」

「いや,そうは思わないね。今回の工事は非常に有利な工事条件ですよ。数量が多いから,まとめてサーッとできます。とくにこの直線,作業能率は確実に1割アップしますよ。さらにこの単価のなかに材料費は,だいたい4割を占めていますね。そうすると,仮に3割上がったとしたら,12%がアップする。半年前に比べ25%も相場単価が上がっているというのは,ちょっとおかしいよ。」

というように交渉ができるわけです。自分なりにこのコツをつかんでやってみて下さい。

2.コストダウンに生きがいをもつ

「もう,これだけ節約したから,コストダウンしたから,もういいや」というように 自分自身の妥協点を作ってしまうと,これ以上のコストダウンはできません。コストダウンは限りなく,ゼロに近づいてきます。「これでもか,これでもか」という気持ちで自分自身の妥協点を持たないことです。そして,コストダウンしていく喜びを味わうことです。

例えば,ある賃貸マンションを作っている会社では,9階建てのRCのマンションを下から上まで型粋が使えるよう設計してあります。下で一つ型粋を使ってしまえば,そのまま9回転用できるわけです。「それだけやったら,もういいだろう」となるのが普通かもしれません。しかし,その会社は違います。

また,同じようなマンションを計画して,その9回使った型粋をもう5回使おう,としています。それも,最初から使えるんだ,使うんだということで大切に取り扱い,結局,相場より3割も安い型粋の外注単価で成功したということです。当然,外注業者も材料費,加工手間を除けるだけ,3割安くても十分に利益が出たのです。能率も上がりました。

このように,限りなくコストダウンを追及していくという姿勢を大切にしていかなければいけません。

3.一人ひとりの知恵を共有化する

一人の経験より,二人,三人の経験を集めて,そしてお互い自分のいいところを相手に出し,相手のいいところを自分のものにする。そのお互いの共有化というものが一人ひとりの能力を高めるのです。

作業改善の報告・,自分の成功例,失敗例,そのようなものを工程会議,現場代理人会議でお互い順番に発表し合って,質疑応答の中からその発表者のいいところを吸収していきます。そういうコミュニケーションが,その工事部門の活性化を生むことになります。

一人,いわゆる一匹狼で「自分の現場のことだけやっていけばいい」ということを考えてやっていくと,自分だけの考え方で施工するので,工夫・発想が乏しくなり,現場も面白くない,利益もあまり出ないという結果になります。みんなでアイデアを共有化して,組織的に利益を増やそうではないですか。

 (つづく)

※掲載記事の無断転載を禁じます。