パートタイマー戦力化のための人事制度構築(食品スーパー)
パートタイマー戦力化の考え方
働く女性のワークスタイルを尊重したダイバーシティの実現
スーパーマーケットで働くパートタイマーのワークスタイルは、大手企業でキャリアアップを図る女性と異なり、多様性に満ちています。そのため、多様なワークスタイルに対応した組織設計や人事制度及び組織開発へのアプローチが求められます。
担当部門の職務内容や求められる能力と密着した人事制度の設計
スーパーマーケット職務は、部門によって重要度が異なります。そのため、パートタイマーに対しては、仕事の品質やスピード及び精度を可能な限り明確にした職務行動基準を示すことが重要です。また、マルチタスク(部門横断的な多能工)型の人材を望む場合においても機能するツールであるべきです。
個々のパートタイマーのキャリア形成に対応する複線型人事制度の設計
多くのスーパーマーケットにおいて、パートタイマーの戦力化やチーフへの登用が積極化しております。しかし、パートタイマーの50%近くを占める短時間勤務やチーフになりたくないパートタイマーの評価や処遇については、模索しているのが現状です。そのため、多様な能力やスキル及びワークスタイルを持ったパートタイマーに対して、職務充実と職務拡大の双方を評価するシステムによって、パートタイマーのレベルアップ及びキャリア形成をさせるための人事制度が求められます。
評価面談による信頼関係の強化と一体感の醸成
一部のスーパーマーケットからは、パートタイマーを対象とした人事制度を設計したものの、パートタイマーの戦力化や職域拡大ができていないという声を聞きます。このような問題は、新人事制度の周知不足に加えて、評価者側の積極的な制度運用がなされていないことが大きな原因です。そのため、新人事制度設計後の運用で、特に評価面談を重視する必要があります。。評価面談では、フィードバックシートを用いて、強みや弱みのフィードバックと次期への期待を述べることによって、被評価者であるパートタイマーのモチベーション向上とキャリアアップの道筋を示すことが重要です。
消費者の視点を持つ女性の潜在能力発揮による業績への貢献
パートタイマーは、貴重な従業員であるとともに、消費者の視点を持つ貴重な人材です。これら貴重な人材が潜在的能力を発揮するためには、現状の組織風土の改革が不可欠となります。これを実現するためには、パートタイマーに対して感謝やねぎらいを表現し、褒めることがモチベーションの向上、ひいては店舗運営への参画意欲を向上させることにつながります。
パートタイマー戦力化のメリット
経営品質の向上
- パートタイマーに基本業務を委譲することで、正社員はマネジメント業務に傾注でき、計画的な店舗運営が可能となります。
- 評価面談等でパートタイマーとのコミュニケーション機会が増大することによって、意思の伝達や共有が可能となる組織が形成されます。
パートタイマーの定着率向上
- パートタイマーの定着率の向上によって、ノウハウの蓄積ができ、経験効果による生産性を向上させることが可能となります。
- 定着率が向上することによって、募集に係わる経費の削減や採用に関する業務の縮小が可能となります。
パートタイマーによる組織活性化
- 多様な潜在能力やスキルを持ったパートタイマーの活用によって、新たな発想やアイデアが創出される可能性が高まります。
- 部門毎に職務遂行基準を明確にすることによって、自己啓発やOJTが活発化して、教育を重視する組織風土が形成されます。
適正な人件費の配分
- 年功や属人性に支配されず、能力やスキルで客観的に評価されることによって、適正な人件費の再配分が可能となります。
- 管理業務を委譲できる優秀なパートタイマーや時間外勤務や店舗間異動に対応できる柔軟な勤務に対応できるパートタイマーに人件費を優先的に配分できます。
効率的なオペレーションの実現
- パートタイマーの能力やスキルを正確に把握することで、精度の高いシフト編成が可能となりローコストオペレーションを実現できます。
- パートタイマーの能力やスキルを細かく把握することによって、ボトルネックとなっている業務の習熟度を高める教育が可能となります。
パートタイマー戦力化のための人事制度構築
コンサルティングステップ
STEP1:現状把握
- 経営幹部の方々に対するヒアリング調査
- パートタイマーに対するアンケート調査とヒアリング調査
- オペレーション及びパートタイマーの習熟度を把握するための観察調査
- 現行におけるパートタイマー人件費の把握と各種シミュレーション
STEP2:人事制度コンセプトの設定
- 経営理念や戦略との整合性確認とパートタイマーに対する人事戦略の明確化
- パートタイマー雇用契約及び契約更新のルール設定
- パートタイマー人事導入スケジュールの設定
- パートタイマー人事制度の基本コンセプトの設定
STEP3:資格等級制度の整備
- 資格等級数及び各資格等級別呼称の設定
- 役割と責任の明確化と職務行動基準の設定
- 昇格及び降格基準の明確化
- 正社員及び準社員登用基準と就業規則等の改定
STEP4:報酬制度の整備
- 賃金体系(基本給、能力給、技術習熟給、役割給等)の設計
- 等級別賃金レンジの設定と賃金テーブルの設計
- 就業時間や店舗間異動等の違いによる処遇による賃金の設定
- 業績を反映させる賞与及び業績給の有無、決定方法についての明確化
STEP5:評価制度の整備
- 評価者や評価方法の明確化
- 資格等級別評価項目(態度、能力、業績)についての明確化
- 資格等級別・部門別評価ウエイトの設定
- 職務行動評価フォーマット及びシステムの設計(Excel仕様)
STEP6:新人事制度の軌道のせ
- 各種成果物の統合によるパートタイマー人事制度ハンドブックの編集・策定
- パートタイマー人事評価・面談マニュアルの策定及び評価者研修
- パートタイマー評価制度のテスト運用
- 新賃金体系による人件費シミュレーションの実施
スーパーマーケット業界における人事制度関連テーマの実績(抜粋)
H社:東北 約100店舗 | 人事制度再構築コンサルテーション |
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E社:首都圏 約50店舗 | 会社統合に伴う人事制度構築支援 |
C社: 東海 約15店舗 | 標準作業人時指標に基づく適正化コンサルテーション |
T社:東海 約130店舗 | 人事制度構築コンサルテーション |
S社:東海 約35店舗 | トータル人事システム設計及び運用支援コンサルテーション |
系統VC:信越 約30店舗 | 株式会社化に伴う人事制度設計 |
VC本部:全国区 | 店舗分野人材育成プロジェクト共同開発 |
※プログラム、プロジェクトの企画・実施にあたっては当社の営業担当者がお伺いし、お客様の目的、対象者などを確認させていただいた後、オリジナルプログラムの設計をいたします。