営業チームを鍛えるセールスチームビルディング(STB)手法
記事作成日:2017年2月10日 (金)
執筆者:池田 篤彦
あなたのチームは大丈夫?
弊社では営業力強化の取組みとして、個人のセールス力を上げるだけでなく、チーム全体の力を上げていくためのチームビルディングに取り組んでいます。マネジャーを中心としてチームの方針・目標を明確にし、活動プロセスを指標(KPI)化し、全員が一丸となって成果を上げていく取組みです。
チームが機能するためには、マネジャーのマネジメント力がカギとなります。弊社の営業強化の取り組みは、一人ひとりの力が足し算ではなく、掛け算となり相乗効果を発揮できるチームづくりを目指しています。その取り組みを通じてチーム体質(思考と習慣)の変革を実現していきます。
「なんだ、当たり前のことだ」と思うかもしれませんが、その当たり前のことができていないセールスチームが、実際多いのです。
あなたのチームは、以下のような状態に陥ってはいませんか?
- 目標は経営層から割り当てられたもので、チームの主体的目標もなく目の前の案件刈り込みに終始するだけの営業活動。
- 市場環境、競合に業績が左右され、ノルマ達成に四苦八苦している。
- メンバーは自分の事だけ頭がいっぱいで他のメンバーへの関心も薄く、情報共有されていない。
- マネジャーも自分の目標を持っているためにマネジメント不在でチームがばらばら。
- 会議をやっても、結果の報告と未達の言い訳、そしてなんら対策も立てられないまま次月に向かっていってしまう。
- 目標達成することを諦めてしまう。
そうした状態を変えていくのが「セールスチームビルディング(STB)」です。
セールスチームビルディングの取組み
チームビルディングの狙いは、自律したチームづくりであり、チームの体質変革です。
具体的な内容を、幾つか挙げてみましょう。
- 若手や低迷している営業担当者の早期育成を図り、個人業績のばらつきをなくす
- 一部のトップセールスに頼る「個人戦」ではなく、チーム全体で力を結集した「組織戦」を図り、効果的な営業展開を推進する
- 情報、ノウハウ、成功体験の共有化を図り、活動効率や商談効率を上げる
- マネジャーのチームマネジメント力の向上を図る
- 将来のリーダーとして、ナンバー2育成を図る
どれを見ても「一朝一夕では難しい」と感じられますね。
チームビルディングでは『5Key Factor』と言われる
1)計画的営業活動
2)マネジメントコントロール
3)ツール開発・整備
4)会議体
5)チーム活動
を核に、関係性を持たせながら現状から不足している部分、できていない点を重点にして、日々の活動の中に取り入れながら変革を進めていきます。
そのための施策として弊社ではスタートにあたり、いくつかのアセスメントツール(5Key Factorアンケート、セールスパフォーマンスチェック)を活用して、『セールスチームの状態』『個々のスキル』を分析します。そして関係者にヒアリングすることにより、現状のチーム状態をレベル把握します。そうした上で関係者との打ち合わせを重ねながらゴールを決め、段階を追ってチーム改革を目指していきます。
5Key Factorとは
強い営業チームを作るためには、「計画的な営業活動」「マネジメントコントロール」「ツール開発・整備」「会議体」「チーム活動」を留意して仕組みづくりをすることが重要となります。
それでは、一つひとつの要素について見ていきましょう。
1.計画的な営業活動
計画的な営業活動を推進するためには、下記の目標設定、分析・改善、レベル管理が重要となります。
目標設定
会社や部門の方針、目標を良く理解したうえで、目標を達成するための諸計画を作成し、その計画に沿った営業活動を展開する。
分析・改善
計画に即した営業活動の結果に対して原因分析を行い、改善点をとらえ、そのプロセスを通して営業活動をレベルアップさせる。
レベル管理
結果管理、プロセス管理、先行管理と段階的にレベルアップを図ることで、PDCAのマネジメントサイクルを機能させる。
2.マネジメントコントロール
マネジメントコントロールを機能させるためには、下記の計画・基準に基づく指導、コントロールポイントの設定、方針の提示が重要となります。
計画・基準に基づく指導
マネジャーは、部下に対して、諸計画、活動基準、統一行動基準・ルールに 基づいて管理指導する。
コントロールポイントの設定
マネジメントを効果的に実施するために、コントロールポイントを定め、重点的にメンバーの管理指導を行う。
方針の提示
マネジャーは部下を管理指導するだけでなく、会社や部門の方針を示し、また自分自身のビジョンを示し、チームの営業活動の方向づけを行う。
3.ツール開発・整備
ツール開発・整備では、営業活動を効果的に進めるためのツールを開発し、さらに、ツールの活用に重点をおく必要があります。
営業ツールの活用
営業活動状態や結果がチーム全体で見える化され、活用できる状態にする。また、市場戦略や行動管理、商談をより効果的、効率的に行う際活用する。
4.会議体
会議体を機能させるためには、下記の運営の強化、積極的な活用が重要となります。
運営の強化
チームの現状の共有化がされる場面となるので、メンバーが主体的に参加し ており、しっかりと目的を明示することが重要となる。
積極的な活用
マネジャーは単に実績の確認をするだけでなく、チームの方向づけや対策をメンバーも巻き込んで検討する。それによりメンバーからも、活発に前向きな意見が出されるようになる。
5.チーム活動
チーム活動を機能させるためには、下記の相乗効果が重要となります。
相乗効果
チーム全体の目標を達成することを目的とすることで、メンバー間で相互アドバイスや相互補完が頻繁に行われる。また、ノウハウや情報の共有化が行われ、チームの財産として蓄積される。そして、チームの全員が力を出し合って、一人ひとりの力の和以上の成果を発揮する。
日々の活動とKPIによるプロセス目標
KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、目標管理の業績・価値の向上につながる評価指標です。要は結果を管理するのではなく、プロセスを管理しチーム全体で取り組む事です。
何をKPI として設定するかも、他者からの押し付けではなく、チームで話し合い設定することに重点を置いています。一方的に押し付けられるとどうしてもやらされ感が出てしまうので、あくまでも自分達で決めることが重要です。自ら目標を設定することで、自律の一歩が始まるわけです。
設定したKPIも全員がクリアしたり、チームの重点活動が変われば、また設定を変えていきます。この取り組みの目的は、「どう行動(質と量)すれば、より成果に繋がるのか」を考えることの、習慣化を図ることです。
KPIの事例としては、次のようなものがあります。参考にしてください。
マネジメント
- 日報管理 日報ミーティング回数
- 週報管理 週報ミーティング回数
- 同行管理 同行件数 回/月
- 部下の関わり 接触時間 時間/週
チーム活動
- 顧客情報の共有化 実施回数
- 成功・失敗事例の共有化 実施回数
- メンバー間の支援 実施回数
リレーション
- コール件数 (新・既)
- アポイント件数(新・既)
- 訪問件数 (新・既)
- 面談件数 (新・既)
ニーズ把握
- ヒアリング項目消化率
- 有効面談件数
- キーマン面談数、
- デモ/セミナー数
強いセールチームをづくりには時間が掛ります。目標未達成で終わる『負け癖体質』から脱皮し、真に強い営業チームづくりを目指すのであれば、体質改善に力を注ぐことが何よりも肝心です。
ぜひ、貴社でもセールスチームビルディングに取り組んでみてください。