「業務システム 現状分析支援手法説明会」開催レポート
6月28日(火)に自治体情報システム調達ご担当者向け『業務システム 現状分析支援手法説明会』を開催いたしました。
説明会では、行政機関の業務システム現状分析の状況と、あるべき姿、また弊社の現状分析手法について実施例や、業務フロー図の作成例等の資料を用いて説明いたしました。
セミナー内容
カリキュラム | 1.現状業務分析の困難さについて
2.例規集を活用した業務フロー分析 3.実施事例のご紹介 ~大阪府 吹田市他~ 4.活用の可能性 ①システム仕様書の作成 5.質疑応答 |
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セミナーのポイント
現状業務分析が困難な原因
地方自治体では、近年、度重なる法改正に対応するため、新しいシステムを調達する機会が多くなっています。税収の削減により調達コストを抑える、また現状のシステム変更で対応しなければならないなど、厳しい環境にあります。
調達コストを極力抑えるには、「現状の業務を分析し、パッケージシステムを調査した上で適用可能な領域にシステムを導入し、適用できない部分は業務改善を行い、ノンカスタマイズで活用することがポイント」 と言われていますが、現実には多大なカスタマイズが発生しています。その理由として、業務分析が十分に行えないことが考えられます。
システムを一からつくった担当者や、運営を行ってきた現場の職員が異動や人員削減により担当を外れたことにより、自分の担当業務しか把握していない人が増えてきたためです。業務が可視化されていなかったため、全体としてどのようなことが行われているか把握せずに、「誰かが知っているだろう」と思いながら自分の仕事をこなしてきた結果、いざ危機を感じ周りを見渡してみると、知っている人がいなくなり、業務知識の継承もできない状態に陥っている団体が多いのではないでしょうか。
数十年前に導入された汎用機と呼ばれるシステムは、COBOL(コボル)と呼ばれる事務処理向けの言語が使用されており、誰でもシステムを手直しすることが可能でした。ちょっとした改修を記録に残さなかった結果、小さな改修が積み重なり、いつ、どこでどのような変更が行われたのかがわからなくなっていることも、現状分析を困難としている原因にあげられます。
また、業務が多忙で現状業務を整理する時間がとれないことも大きな原因です。
これらを踏まえた上で、今後繰り返し実施される法改正への対応や、人員削減によるリスク回避、さらに災害時などでシステムが停止した場合の早期復旧への対策としても、現状業務分析を行い、システムを「見える化」していくことが必要です。
例規集を活用した業務フロー分析
システム構築には、次の工程における課題が考えられます。
①システム及び業務連携の推進、②システム連携、移行における文字コード、既存システムと受け渡し口の追加、③データ移行、④各業務主管課に対する業務改善指導、⑤運用設計。
これらを、情報オーナーであり、業務知識を持つ業務主管課職員と連携しながら取り組んでいくことが現状分析を進めるポイントです。
構築にあたり、ベンダーとコミュニケーションを図っていくためにも業務を整理し、見える化をしておかなければなりませんが、それには業務主管課職員とともに現状と問題点を確認することが必要だからです。
しかしながら、情報基盤のオーナー(システムメンテナンス担当者)である情報政策課職員が一から行うには大変な負担が掛かります。
そこで、弊社が各団体のインターネット上に公表されている例規集から業務フロー図(業務流れ図:WFA <Work Flow Architecture>)を作成します。
これを基に確認作業を行うことから始めていただくことで負担が軽減され、情報オーナー(情報やデータについての一定権限を持っている担当者)である業務主管課職員に業務をチェックしてもらうきっかけをつくることにもつながります。
情報基盤のオーナーと情報オーナー間で確認されたフロー図を元に、弊社でシステム利用状況の調査票を作成し、これを業務ごとに手作業・システムいずれかの区分けをするなど、業務機能ごとに整理します。業務機能は、弊社が機能構成図(DMM<Diamond Mandala Matrix>)、機能情報関連図(DFD<Data Flow Diagram>)案を作成し、その結果をWFAと整合させ、完成させます。
本来であれば、WFAが各機関でできている状態でDMM、DFDの作成を行います(トップダウン)が、業務把握ができていない場合はWFAの作成からスタートする(ボトムアップ)必要があります。この場合に例規集からWFAの土台を作成しています。
実施事例と活用の可能性
弊社では、この手法を用いて大阪府吹田市などで現状業務分析の支援を行ってきました。その結果、現状分析を基にシステムの仕様書が作成でき、現場の課題を可視化していたため、上層部へシステム調達を申請する根拠としてもお役立ていただきました。パッケージシステムの評価表を作成する際にも使用されています。
また、BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)の策定にも重要な位置を占めます。震災後に多くの団体で策定を進めていますが、災害時などで重要なシステムから早期復旧をするためには、業務を整理し優先順位の高い重要業務を事前に把握しておかなければなりません。
業務を可視化し、それに重要な情報を網羅した情報資産台帳、リスクに応じた対策を定めたリスク評価表の作成にも、この手法を応用できます。
例規集を基に作成したWAFを示して説明する高村講師
当日、ご多忙の中ご来場いただいた皆様には改めて感謝を申し上げます。
今後も、行政評価・業務最適化の他、多数のセミナーを開催いたします。
詳しい情報については、こちらのHPでご案内いたしますので、ぜひご覧ください。
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