経営診断、ビジョン・経営計画策定

経営診断、ビジョン・経営計画策定

「ビジョン」と「経営計画」の構築・策定

病院を取り巻く環境が更に厳しさを増す中で、安定的経営・運営を維持・継続していくためには、内・外環境の適切な把握・分析に基づいた病院「ビジョン」の構築とビジョンを具現化するための「中期経営計画」の構築・策定をされることは大変重要で意義のあることと考えます。

Step1:現状分析(定量・定性)

外部による客観的な評価により、現在の経営体における現実の姿と第2ステップにおける将来の方向探索のための「あるべき姿(ビジョン)」構築時におけるバックデータとなる資料です。アウトプットとしては、次の様な事項の効果が想定されます。

  1. 当面取り組む経営上の課題(緊急課題)及び今後取り組むべき課題の優先順位が明確になります。
  2. 既に認知している課題(わかっていた課題)、気づかなかった課題が浮き彫りにされるとともに、課題解決の方向性が確認されます。
  3. これらにより、課題解決のためのタイムリーな意志決定を行うことが可能となります。

【診断内容】

  1. 外的環境要因の把握
    1)立地環境と地域特性
    2)人口条件と生活環境
    3)交通条件(アクセス)
    4)医療環境
    5)変動要因(将来性)
  2. 内部環境要因の把握(組織運営と施設の状況)
    1)病院の歴史と病院理念・方針の把握
    2)経営組織(実態調査も含む→人事制度、採用、教育等)
    3)組織図(機能図)
    4)組織運営と管理実態(ヒアリング調査を含む)
  3. 診療活動実績と患者分析
    1)診療活動と患者分析
    2)収益性分析
    3)費用分析
    4)生産性分析
    5)経営安定性
    6)患者需要推計(マーケッティングによる実態調査)
  4. 包括医療ネットワーク(行政=福祉・保健行政との状況)
    1)競合施設等の把握
    2)市(町・村)内・外ネットワーク

「Step1:現状分析(定量・定性)」は、第3者的立場で分析を行います。上記事項を把握するために、各種資料の拝見・拝借をお願いします。
尚、このステップにおいては、弊社における分析(作業)となります。ただし、分析上、関係者にお話をお伺いする場合(ヒアリング)もありますのでご了承下さい。

【緊急課題と当面の改善点の明確化】

●解決策の提案 (例=増患対策、患者単価のアップ、接遇の重視)
●具体的活動計画(提案)=第3ステップへ向けて

Step2:あるべき姿(ビジョン)構築

「Step2」では、「Step1」のアウトプットをベースに当病院(関連機関含む)としての「あるべき姿(ビジョン)」を構築します。構築に当たっては、「SWOT=強み・弱み」を活用します。推進方法としては、一方的な弊社からの提案でなく、経営陣の皆様と議論・検討・協議の中で構築します。「SWOT」から導き出されたいくつかのテーマは、Step3の「中期経営計画の立案」を行うために戦略目標・戦略マップへと転換します。

ビジョンとは

「ビジョン」とは、簡易的な表現をするならば「地域における当病院の存在価値・使命を明確にすること。」です。理念に基づく「ビジョン」を構築する要素としては、

  • 当病院は、誰に対して医療・福祉サービスを提供するのか?
  • 当病院は、患者さん等への提供するサービス範囲(又は地域は・・・)は?
  • 当病院は、としての特徴又は他の医療機関との差別化は?
  • 方向性やあるべき姿は、職員や地域住民に言葉として表現されているか? 等

SWOTとは

「SWOT」とは、時代の流れ(動き)の中で、好機や脅威となる事項を分析する技法です。

  • S=Strengths(強み)
    強みと思われている事柄(例=透析事業)が本当に強いのかの検討。または、細分化して検討。
  • W=Weaknesses(弱み)
    弱みと考えている事項を強みに転換できないか。又は克服していくことは可能か。
  • O=Opportunities(機会)
    外的環境以外でも人的環境変化でも業績に影響するすべてのことをチャンスとして考える。
  • T=Threats(脅威)
    周辺医療機関の経営不振か社会情勢か・・・。医療療業界としてのトレンドを見極め対応を図る。

■外部・内部環境からの「SWOT」分析の事例

SWOT医療

Step3:中期経営計画の立案

「Step2」で、当病院としての“やるべき事項”の方向性が明確になった後は、それらをどのように推進するかが課題となります。課題に対しては、カテゴリー別(機関・部門等)に区分し、3ヵ年のスケジュールに落とし込みます。

「目標」を設定しただけでは、「経営理念」や「ビジョン」を達成することは出来ません。まずは、年度別(3ヵ年)のスケジュールをテーマ別に作成します。特に、財務面や人的面など計画的に実行しなければならない事項を中心に作成します。その後、部門別(又は課別)に4半期毎に設定を行います。この4半期毎のスケジュール作成の意味は、4半期に一度達成状況の確認をするために行います。

推進方法とスケジュール

  1. Step1:現状分析について
    Step1は、弊社にて貴病院を取り巻く外的環境要因の把握・分析と現状における内的環境要因の把握・分析を行います。実施期間は概ね90日(3ヵ月)を想定します。(途中中間報告会を1回含む)
  2. Step2:あるべき姿・ビジョン構築について
    「第1ステップ」の報告会終了後からスタートし、定期的な会合を持ちます。参加者は、経営陣+参加要請を受けた幹部職員となります。実施は、月2回程度3ヵ月間で構築します。また、「ビジョン」を構築後、「経営理念」を含め、全職員に対しての報告会を実施します。(職員への動機づけ)
  3. Step3:中期経営計画の立案について
    Step3は、病院幹部職員も参加しての会合となります。「ビジョン」に基づき、各部門での目標設定と目標達成に向けた具体的な計画づくりに入ります。実施期間は、約3ヵ月程度を想定しています。基本的には、初年度に計画づくりを終了し、翌年度から「中期経営計画」に基づいた推進を行っていただきます。尚、推進に当たっては、部門長としてのマネジメントスキルが必要となることから、早い段階で「マネジメント研修(2日間)」を実施します。
  4. 中期経営計画推進支援について
    基本的には、貴病院の職員で推進できるように職員の能力開発も行いますが、Step3終了時に、改めて企画提案書をご提出いたします。