競争力のある積算システムの確立

建設経営への道標【479号】

2018年3月28日

競争力のある積算システムの確立 第6回

建設業の積算業務における主な仕事は、受注を獲得するための手段である「見積書」を作成するということにあるわけですが、見積書を作成したからといって、受注が必ず取れるという性格のものではないわけです。最近では、この受注成約率が著しく低下している傾向にあります。特に民間建築工事では、この受注成約率がわずか1割、あるいはそれ以下という厳しく悲惨な状況が続いています。

したがって限られた体制・時間の中で、少しでも多くの「見積書」を作成することが、今後より一層、厳しく要求されることになっていきます。そのため、発注者から図面・仕様書の依頼を受けたり、見積依頼を受けてから「見積書」を提出するまでの時間に余裕がほとんどないのが現状です。そのために、迅速かつ正確に「見積書」を作成することが要求されています。

さらに前述したように「見積書」を作成すると同時に「標準予算書」を作成する必要にも迫られています。これらの多様かつ重要な要請を実現するためには、積算システムを合理的に構築し、かつ運用できるような工夫も大事になります。

この合理的な積算システムを構築するためのポイントを、2つほど上げておきます。

3.合理的な積算システムの構築のポイント

1.積算業務のコンピューター化

限られた体制・時間の中でも、多くの「見積書」をより迅速かつ正確に作成するためにとはいっても、体制強化のための安易な要員増員ということはできません。そのために、人手に頼っていることの限界を補う方法として、積算業務においてコンピュータを活用するということは極めて重要な手段になります。

この積算業務におけるコンピュータ化を考える場合は、もしすでに稼動しているコンピュータシステムがあっても、そのシステムと切り離して独立した形で、積算用のコンピュータシステムを作り上げるほうが、システム運用に柔軟性が得られてより使い易くなります。

積算用システムをうまく作り上げるポイントは、見積作成用の単価と、標準予算作成用の単価をコンピュータに同時に記憶させることです。こうすることによって、コンピュータに図面などから拾った数量データを登録することにから、同じタイミングで[見積書]と「標準予算書」を作成することができるようになります。

さらに、コンピュータには大量の工事における見積データを記録することができますから、その情報を企業内で共有化することも可能になりますし、見積金額の修正も迅速かっ正確に行なうことが可能になります。

 (つづく)

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