OJTによる人材育成のしくみづくり

OJTによる人材育成のしくみづくり

企業は人なりと言われるように、人材の育成は企業の大小を問わず重要な経営課題です。人の育成を進める方法論として、Off-JT、OJT、自己啓発がありますが、中でも実務を通してより実践的な育成を行なうという点では、OJTが最も効果的な人材育成法と言えます。

しかしながら、各企業で取り組まれているOJTがすべてうまく進んでいる訳ではありませんし、当初予定された成果が上げられていないケースも多く見受けられます。OJTを効果的に進めるためには、幾つかの課題をクリアして行かなければなりません。
主な課題としては、下記が挙げられます。

  1. 組織全体に育成に対する高い意識があること
  2. 指導に携わる指導者(管理者・上位者)に一定の指導技術が備わっていること
  3. 指導育成を支援するための教材や各種ツール等が整備されていること
  4. OJTを推進するための組織や制度・基準等が整備されていること
  5. 上記の要素を組み合せた推進活動が積極的に行なわれ定着していること

OJTを社内で根付かせるためには、活性化のための優先課題を検討しその上でOJTが円滑に進められる環境づくりを図りOJTの定着を図って行くことが求められます。

OJTを活性化する6視点

  • 組織意識
    人材育成の重要性に対する組織的な認識と、育成活動が自然に行なわれる風土、率先垂範するトップの意識と管理層の意識
  • 育成活動
    各現場で行われる育成のための指導活動
  • 指導技術
    指導を実践していくための知識と技術
  • ツール
    育成指導に使用する教材・マニュアル・計画書などのツール類
  • しくみ
    育成指導に関するルール・要領・基準・手順など
  • 制度
    人材育成を支える各種人事制度

各々の要素はお互いを補完・支援する関係にあり、各々のレベル(成熟度・完成度)がある程度バランス良く整っていることが好ましい状態です。一部だけの要素が際立って整備されていても全体として高い成果は望めませんし、あるいは他の要素は一定レベルであっても、一部の要素が極端に未整備であったりすると期待するレベルでの成果は望めません。

したがって、OJTを活性化して行くステップとしては、上記6つの要素の現状レベルを十分に把握した上で、全社レベルを段階的にステップアップして行くことが必要となります。

OJT活性度自己診断

自社のOJTに関する状態を①制度②意識風土③活動④指導技術⑤ツール⑥しくみの6つのカテゴリから評価します。OJTの成熟度を簡易的に知ることによって、組織改善への取り組みや、OJT研修などで具体的な対策を検討することができます。
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OJTシステム構築のコンサルティングステップ

STEP1:現状実態の把握と問題整理
内容
  • 最も効率的なシステムを設計しスムーズな導入・定着を図るために、現場の実態を把握し、開発ポイント・推進の阻害要因・必要な支援システムなどを整理します。把握のために現場のヒアリング、アンケート調査等を実施します。

STEP2:到達目標設定
内容
  • 知識面・技術面・意識面・活動面などに関しての到達すべき目標レベル(求める人材のあるべき姿)を設定します。ここでは業務内容や活動内容と連動させた具体的到達レベルを設定することがポイントとなります。

STEP3:育成プログラム体系の整備
内容
  • 上記到達目標と連動させ、育成スケジュールとOJT・OffJT・SDの3機能の役割を明確にします。つまり、目標レベルに到達するために『いつ・誰が・何を・どのレベルまで・どのように』教えるのかを明らかにします。

STEP4:OJTシステムの設計
内容
  • OffJTやSDとの効果的な連動を図りながら、最も効果的なOJTのしくみや基準を設計します。設計されたOJTのしくみや基準は「OJTガイド」としてアウトプットされます。ここでは次の要素がポイントになります。
  • 現場での育成成熟度を十分に配慮し、実行可能な成果の期待できるしくみであること
  • 定着度合いと連動して年々バージョンアップを図っていくことを計画に組み込んだ構想下で設計されること
  • 推進した成果が責任者・推進者・対象者に見えるしくみになっていること
  • 責任者・推進者・対象者の役割や責任が具体的かつ明確に設定されること

STEP5:OJT教材・推進ツールの開発
内容
  • OJTを効果的に推進し、計画通りの成果を上げていくための支援教材・サブツールなどを開発します。主には、指導教材、OJT推進マニュアル、進捗管理フォーマット、成果報告フォーマットなどが考えられます。

STEP6:OJT推進体制の整備
内容
  • OJT推進の体制作りや導入のための基盤整備を行います。併せて、関係者・担当者の意識啓蒙・指導技術研修などを実施します。

STEP7:運用軌道乗せ
内容
  • OJTの活性化と定着化を図るために、年間4回(四半期毎)に弊社コンサルントが訪問し、推進上の問題発見と課題解決を行います。新システムが全社的に定着するまでの間はコンサルタントのフォローを受けることをお勧めいたします。

全体のスケジュール

OJTシステムの構築プロジェクトのスケジュールは4~6ヵ月です。