2017年7月12日

なんでも相談【463号】

2017年7月12日

質問

地方都市の中小ゼネコンで工事部長を務めています。

近年は幸いなことに、仕事が切れずに確保できています。一方で、長らく続いた不況期に人材採用を十分に行って来なかったために、ここ5年ほどは採用活動に力を入れていますが、なかなか条件の合う応募者がありません。そんな中でようやく採用できた社員の中から、最近、若手社員の離職が立て続けに2件ありました。

建設業協会の方に聞くと、やはりそのような会社は非常に多いと言います。そしてやめる理由は、「結局『自由な時間が無い』ということだ」とも言われました。

残業時間を減らしていかないといけないとは考えていますが、そうかといって、減らしてよい作成書類や現場業務があるわけではありません。技術者数などの面からも、社員を多めに配置することも難しい状況です。他社でも同様の話を聞きますが、うまく解決している建設会社はあるのでしょうか。あればどのように対応しているのか教えていただけますでしょうか。

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回答

前回は、現場での作業時間を確保する方法について紹介しましたが、また別の企業では、このような例がありました。

ある現場で、若手社員が現場に出ると、いつも作業員に問合せを受け、確認ごとや調整ごとをしているうちに、その日にやっておくべき大切な仕事が出来ないまま夕方になってしまっていました。

その若手社員は、所長から「君が作業員の対応で時間が取られるのは、そもそも、ちゃんと事前調整をしていないからだ。それに、工程表や図面をよく見て、内容がしっかりと頭に入っていれば、現場で困ることなど無い。」と言われていました。

これは決して間違いではないのですが、現場運営がうまくいかない原因を「能力の問題」として捉えているため、その解決のために知識量や経験値を高める必要があり、長い時間を必要とします。

そこで、次のような考え方で若手社員に指摘することを提案しました。

「君が作業員の対応で時間が取られるのは、作業内容に紐付けて、職長と会う約束をしていないからだ。『昨日からの約束で○○職長を待たせているので、今は行けないが、終わったら確認して連絡する。』と言えば、別の確認方法を考える作業員も中には出てくる。『後になってもいいから対応して欲しい』と言われたら、後で対応すれば良い。自分で業務の優先順位をつけても、作業員が納得するしくみを作りなさい。」

そこで、若手社員は、毎日の昼の工程会議で全職長を前に「○○さん、今日の午後2時に配筋写真撮影前の検査を行いますので、立ち会いをお願いします。」「それらの時間帯は、電話などをされても対応ができません。喫緊の打合せや調整の必要な方は、工程会議終了後に対応しますので、必ず解決しておいてください。」といったことを宣言するようになりました。

その後、その現場では、若手社員は現場作業を効率よく進めることが出来るようになったということです。

「能力や経験値」を向上させるのは難しくとも、「仕事の進め方」を向上させるのは比較的容易です。現場業務の改善点は他にもいろいろ考えられると思いますので、探してみてください。

弊社でも、施工管理業務の生産性向上のための企業向けコンサルティングや現場代理人向け研修を実施しておりますので、宜しければご検討下さい。

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