フィッシングエイト 株式会社様
地域No.1店舗の評価をいただくための
「全社的CSサービス強化」への取り組みを
関西圏で釣具店7店舗を展開するフィッシングエイト株式会社様では、2012年から社員の接客対応力を高める「全社的CS(お客様満足)サービス強化」への取り組みをスタート。サービス理念の構築、マニュアル整備、研修・指導の制度設計などを通して、パート・アルバイト社員の戦力化を中心とした独自のサービス強化戦略を進めています。
同社の八尾社長様、取り組みをマネジメントされた中井課長様、サービス強化を現場でご担当された奥野様にお話をお伺いしました。
株式会社フィッシングエイトについて
八尾様)当社の店舗は関西最大級の規模と全国トップクラスの品揃えを誇り、地域に根差した“釣りの情報発信基地”として毎日、多くの釣りファンの皆様にご来店いただいています。アイテム数の多さや売り場面積の広さに加え、当店は都会的で洗練されたイメージが特徴です。コアな釣りファン以外にも、女性層やビギナー、アウトドアに関心のあるお客様など、顧客層拡大に向けて積極的な取り組みを進めています。
すべての従業員のサービスマインドを高めるために
――全社的CSサービス強化に取り組まれた理由をお聞かせください。
八尾様)当社は商品力には自信がありますし、従業員の専門知識も豊富です。ただ、小売業としてのサービスが確立されていない面がありました。今までにも外部講師を招いてマナー研修を行ったことがあるのですが、数日間の研修だけでは大きな効果は得られません。やはり、ある程度の投資を行い、全社的にサービスを高める仕組みを構築することで販売力を向上したいと考えました。
――どのような取り組みを行ったのでしょう。
奥野様)1年目は会社全体の目指すべき方向を明確にし、それに沿ったサービスを作り上げる作業に取り組みました。「笑顔と元気で楽しい釣りを!」をCSのスローガンとして設定し、サービス理念、身だしなみのルール、接客の仕方など、サービスの基本をまとめた当社独自のサービスマニュアルを作成しました。その後、マニュアルを使って店長・副店長を対象とした指導法の研修、パート・アルバイトを含めた全社員のサービス研修を実施しました。
中井様)1年目は基礎を固めるというイメージです。CSという言葉に初めて触れる従業員も多く、まずは「CSを知ること」が中心でした。理念を共有しCSを高めることが会社の利益になり、自分のためになる。そのことを理解する1年だったですね。
奥野様)2年目は現場でのサービスの浸透がテーマです。店舗の部門担当者を対象にパート・アルバイト社員の指導法についての研修を行いました。
中井様)ニッコンの山本先生にロールプレイングやOJTのやり方を教えていただきました。特に褒めることの大切さ、部下を活かすサーバント・リーダーシップの考え方はとても印象に残りました。当社の社風は体育会系で「俺の背中を見て仕事を覚えろ」というタイプが多かったのです。褒めて伸ばすやり方こそが、今の若い人に対応した指導の仕組みだと実感しました。
奥野様)確かに「教える文化」が定着しましたね。パート・アルバイト社員を指導するという意識が芽生えましたし、実際に教え方が上手になりました。朝礼などで「○○さんのお客様対応はよかったですね」「声のかけ方、上手でした」などと発表することで、パート・アルバイト社員のモチベーションが高まり、また店舗全体のコミュニケーションが深まったように思います。
お客様からの評価も高く、社員の中にCSへの意識が生まれました
――今回の取り組みの成果はいかがでしたか。
中井様)身だしなみや挨拶など、第一印象が変わりましたね。MS調査でもお客様からの評価が高く、「良くなりましたね」というお褒めの言葉をいただいています。また「対応が悪かった」などのクレームも激減しました。当社は釣具などの修理が多く、レジ担当が対応することが多いのですが、そこでの初期対応力が向上したということだと思います。
奥野様)今までパート・アルバイト社員は商品の値付け、品出しという自分の仕事だけに没頭していたのが現状でした。ですが、この取り組みを通してお客様に目が向くようになりました。お客様を笑顔と元気な挨拶でお迎えするという、最初の基本的な目標は達成できたのではないでしょうか。
中井様)基本の「き」ではありますが、すべてのパート・アルバイト社員がある一定のレベルを保ったサービスを展開できる仕組みづくりが構築できたように思います。また、「みんなでお客様に喜んでもらうサービスをしよう」とする風土が生まれつつあるように思います。
奥野様)各店舗にCSリーダーと呼ばれる担当者を置いているのですが、みんなとても前向きです。いろんなお店を訪れては「ここのCSはいい」「ここはダメ」と話し合っていますし、同業ではなく他業種におけるCSにもとても興味を持ち、いいところを取り入れていこうとしています。
中井様)今年から店長とCSリーダーが他の店舗をチェックする制度を導入したのですが、お互いにいいところを勉強していこうと、とてもいい流れが生まれていますね。
全体を導いていくための、客観的な視点と毅然とした志。
――ニッコンに対してはどのような評価をお持ちでしょうか。
奥野様)釣 業界はとても狭い世界ですし、私たちはこの業界の常識しか知りません。そこに、社会全体のサービスに関するスタンダードな考えを提示してくださるのが、と ても新鮮ですし、大きな刺激を受けました。今回の全社的CSサービス強化を始めた時、実は社内からはいろいろと反発する声がありました。仕事熱心な社員か らも「今のままでいいのでは」という意見も出ました。それを、ご担当の山本先生は客観的な視点からこのままじゃダメだと説得してくださいました。そのブレ ない姿勢に引っ張られて、私たちも何とかここまで成長できたように思います。
中井様)強い志、強い使命感をもって、全体をひとつの方向に導いていく姿勢が素晴らしいと感じました。私はサービスマニュアルを作成すれば、それで自然とサービスが向上していくだろうと考えていたのです。ですが実際はそうではなく、常に啓蒙し、指導し、情報発信し続けていくことで、仕組みが動き始めることが分かりました。そこには「絶対に実現させる」という強い気持ちが必要なんですね。
八尾様)当 社のパート・アルバイト社員は200名近くで、全体の約75%を占めています。こうした方々が接客マインドを持てる仕組みを構築できたことは、経営的には とても大きな前進だと思っています。また、社員の中にCS意識が生まれ、人を育てるという風土が醸成できつつあることも嬉しいですね。
パート・アルバイト社員のさらなる戦力化、そして店舗経営との連携へ
――現在の取り組み、将来の展開についてお聞かせください。
奥野様)現在は3年目の取り組みとして、パート・アルバイト社員の商品知識・接客応対力のさらなる強化に取り組んでいます。具体的には担当している分野の商品知識、接客技術、作業能力を審査して認定するマイスター制度を導入します。パート・アルバイト社員のモチベーションをさらに高め、CSに寄与できる制度になるよう、これからしっかり制度設計に取り組んでいきたいと思っています。
中井様)まだ店舗によってサービスの品質にばらつきがあるので、それを克服していくことが課題ですね。そのためにも、今後は店長・副店長との連携を深めていくことが重要だと思っています。店舗運営とCSが一体化した取り組みに発展させていきたいと考えています。
八尾様)標 準化されたサービス構築の仕組みが整いつつありますが、接客力を当社の本当の強みにしていくのはこれからだと考えています。もっともっとパート・アルバイ ト社員のサービスの質を上げていきたいですし、当社独自の商品知識を活かした新しいサービスの在り方も考えていきたいと思っています。そのためにも、さら に人材育成への投資を進めていきたいですね。また、中井課長が話したように、今後は接客だけではなく店舗運営の領域まで踏み込んでいきたいと思っています。その意味でも、ニッコンさんに期待するところは大きいですね。ニッコンさんとさらに深いパートナーシップを結びながら、地域No.1の評価をいただける店舗づくりに取り組んでいきたいと思っています。
- お話を伺った方:
- ※上記写真右から
代表取締役社長 八尾 栄一 様
奥野 有紀子 様(株式会社エサ一番)
課長 中井 昭博 様 - 取材地:
- 店舗(フィッシングエイト2)
- 公開日:
- 2014年7月22日(名称等は、公開当時のものです)
企業情報
会社名 | フィッシングエイト 株式会社 |
---|---|
代表者 | 代表取締役社長 八尾 栄一 |
本社所在地 | 〒547-0014 大阪市平野区長吉川辺3丁目1-33 |
設立 | 昭和59年6月 |
資本金 | 1,000万円 |
従業員数 | 社員50名、パート・アルバイト135名(平成23年1月末現在)[(株)エサ一番・(株)エイト玉津含む] |
店舗数 | 7店舗 |
公式サイト | http://www.taikobo.net/ |
関連コンサルティングサービス
コンサルタントの声
専門分野 顧客満足(CS)向上のための小売・サービス業界の店舗診断・臨店調査店長・マネジャーのマネジメント力向上研修店舗品質向上のためのスーパーバイザー(SV)育成プログラムの開発小売・サービス業におけるパート・アルバイトの人事制度構築FCパッケージの開発
私自身の長年のテーマとして「全社的CSサービス強化」の支援をさせていただいておりましたが、釣具店の業界では始めての取組みとなりました。
フィッシングエイト様と一緒にCS活動の展開を進めるなかで、事務局の中井課長、奥野さんの行動力や各店に配属されているCSリーダーの取組みには感心し ております。初年度イベントやキャンペーンで忙しいなか、全従業員に接客サービスの基礎研修を3回実施しました。また事務局には“笑顔新聞”の発行や「サービスマニュアル」作りで大変なお手間をかけました。
MS調査(覆面調査)で指摘させていただいたことは、次回までには必ず修正する取組みをしていただいており、毎回店舗がレベルアップしているのが分かります。現在のパート・アルバイト社員の方には、正直なところバラツキがありますが、底上げのための「マイスター制度」を導入していきます。イチバン・エイトグループで働くことで自分自身も“笑顔と元気”になり、“楽しい釣り!”のご紹介ができるようになってもらいたいです。
“関西一番といわず、全国の釣具店の模範”となっていただきたいと期待しております。