人事施策の基礎となる人材MAPの作成
ねらいと目的
多面評価とインバスケット演習から見る能力開発の方向性
多面評価は本人の職務行動を良く知り得る立場にある上司、同僚、部下が本人の職務行動をどのように認識しているかをデータ化したものであり、その結果は実感に近いものとして表れてきます。
一方、インバスケットゲームはシミュレーション方式であるため、業務知識や実務経験を離れたところで本来持っている思考と統制能力を診るのに適したツールです。
多面評価「リフレクター」とインバスケットゲームの2つを実施した得点分布を示すと下図のようになります。各ゾーンに分布した参加者についての人事施策検討のためのツールとして人材MAPのご活用をおすすめいたします。
MAPの見方
【グループ特性】 | 【人事施策】 |
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Aグループ高いマネジメント行動が観察されるだけでなく、マネジメント適性から見ても高いレベルにある。自社のコア人材としての育成・処遇が期待されるグループである。 |
早くから将来を担うコア人材として経営意識を醸成していくことが重要となります。 |
BグループAグループに次いで良好なマネジメント行動と適性が観察されるグループである。A社の優良人材として二番手に位置づけられる。 |
業績と意欲を買って何人かをAグループに引き上げ、育成・処遇していくことが組織全体のモチベーションアップにつながるであろう。 |
Cグループ現在の役割遂行においては評価されるべき行動が観られるが、さらに高度なマネジメントを任せるには慎重でありたいグループである。現在職務においては十分健闘している人材グループということはできる。 |
平均的な人材であるが、時間をかけてレベルアップを図っていくことが必要である。 |
Dグループマネジメント適性は十分備えているが、現在の職務遂行において十分発揮されていないグループである。 |
成果行動が発現していないが、何かのきっかけで大きく変身する可能性を持っている。職場状況が能力の発揮を妨げているのか、インバスケットゲームでは十分観ることができなかった対人能力が影響しているのか、いずれにしても要因をつかみ対策を講ずべき対象である。 |
Eグループ現職の職務行動として期待水準に届いていないだけでなく、適性面からも物足りなさが残るグループである。 |
現実を直視させ、改善課題について本人と話し合いを持ち、一定期間を区切ってマネジメント行動に変化が見られるかどうかを評価して、降格を含む人事処遇を検討する対象である。 |
人材MAPの活用
人材MAPを作成する上で横軸にとった多面評価は「人事評価」あるいは「業績評価」と置き換えることは可能です。縦軸のインバスケット演習についても、より精緻なアセスメントデータを取ろうとすれば対人能力を測定する演習科目を追加する必要があります。
しかしながら、比較的短期間で異動を繰り返し、新しい環境の下で素早く状況を掴み、的確な判断、対策が求められるような業種・職種においては、外見からは観察しにくい思考と統制領域に焦点を当ててスキルを測定・評価をすることはコスト・パフォーマンスの点からも有意義です。
人事サイドにおいては、根拠を持った仮説・検証型の人事施策を支え、ノウハウ化と判断のレベルアップを図る観点からも、アセスメントデータの活用は極めて有効となると考えます。