なんでも相談【444号】
2016.8.24
質問
地方都市にある建設会社の、工事課長です。ここ数年、新卒社員を継続して採用していますが、若手が育っていないことを痛感します。指導を担当している上司からは、「とても現場は任せられない」という声が多いのです。
ただ、最近、気になる話を聞いています。3年目になる、ある若手社員が「なぜかいつもトンチンカンというか、行動が変だ」というのです。
若手社員には丁寧な指導が必要と考えていますので、「過去の工事資料を渡すだけのような事では指導できない。理解度は確認しているのか。」と念を押しています。
しかし、よくよく聞いてみると「施工計画書の内容は、質問してみると、それなりに理解しているらしい」というのです。むしろ知識は人よりあるようなのですが、ありえないような行動をとったり、まずいことが分かっていてもそのまま見過ごしたりということが目立つとも聞きます。このような場合、どのように指導すれば良いでしょうか。
回答
「若手社員が育っていない」という不満は、私どもにも多く寄せられています。
ただ、今回の若手社員は少し様子が違うようですが、頂いた文面から想像すると、下記の2つの可能性は考えられないでしょうか。
(1)「このように行動すべき」という知識に基づいて実行はしているが、それがうまくいかなかった時に調整する方法までは把握していない。そのために、工事を軌道修正してあるべき姿に近づけることができず、焦って突飛な行動をとってしまう。
(2)そもそも、自ら取った行動に対して、派生する問題の先読みや結果発生している問題の発見ができない。そのために、行動すべき時に問題解決のためのアクションが取れない。
まず、(1)の可能性について考えてみます。「若手を育てる」と言うと、技術的な知識を教えることをイメージすることが多いと思います。いうまでもなく、正しい答え(過去の事例など)を与え、その通りに行動するよう指示することは重要ですが、それだけで、現場が納められる訳ではありません。
現場では何かしらの問題が起こります。やり方が間違っている場合もあるでしょうし、やり方が正しくても全く別の原因がきっかけとなって問題が起こる場合もあります。
いずれにしても、正しいと思ってやってみた結果、実は問題があった場合、その原因を究明して改善策を打ち出し、いわゆる「PDCAサイクル」を回してゆく必要があります。このような柔軟な対応を苦手としている可能性はないでしょうか。
どんな小規模の作業でも良いので、上司が部下のPDCAの1サイクルに随行して、結果が出るまでPDCAサイクルを回す過程を経験させるような取り組みが効果的です。
(2)に関しては、次回お話したいと思います。
弊社でも、建設現場での経験を元に、PDCAサイクルとして見直して考えてみる演習を行う講習会を開催しておりますので、宜しければ受講をご検討下さい。
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