2016年6月22日

なんでも相談【440号】

 2016.6.22

質問

私は地方都市にある中小建設企業で工事部門の担当役員をしています。社員は70名程度おり、社歴は地元では長いほうですが、15年以上新卒採用を抑えてきた影響で、人材年齢構成が高く5年後から退職者が増える予測です。数年前から中途採用を中心に採用をしようとしていますが、思うように人材が採用できません。最近外国人の技術者を採用する動きがありますが、配置技術者として認められるのでしょうか。

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回答

2004年度と2014年度の建設業の就業者数と年齢階層別構成(総務省 労働力調査)を比較すると2014年度には60歳以上の人が100%になるという推計が出ています。この上、 50~59歳の25%が仮に離職すると想定すると、10年後には全国で133万人もの人が建設業から離職するとも言われています。このような状況ですので、地元の建設業者においてもご相談の背景は同様であると推察しています。「1%の閃きと99%の努力」とはエジソンの言葉として有名ですが、アイデアは1%の部分です。過去の経験や自らの知識が一度バラバラにされた中で、ある目標へ向かう気持ちがアイデアに結びつくように再度まとまるものとも言われます。

さて、外国人について、主任技術者又は監理技術者として配置することができるか不安であるということだと存じます。

建設業法では、主任技術者又は監理技術者として認められる要件としては日本国内だけではなく外国での実務経験、学歴又は資格を加味して要件を満たす者として取り扱うことができるようになっています。

つまり、外国での学歴や実務経験も手続きを踏み国土交通大臣の認定を受けることで日本人と同様に主任技術者又は監理技術者として配置することができる道があります。詳しくは国土交通省「建設業に関する外国での経験等を有する者の認定について(大臣認定)」
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000115.htmlをご参考になさってください。

外国人材については、まだ短期での助っ人として主に「技能実習生」による現場労働者確保の流れが一般的ですので、建設工学系大学卒業生を新卒として採用する流れが確立されている状況ではありません。外国の建設工学人材の起用を進めようとすると研修なども企画する必要もあり、受け入れ側の教育も企業の負担であります。

そこで、負担を軽減するために、地域の複数社と組んで外国人採用を進めていくこともひとつかと思います。うまく優秀な人材が採用できて、企業に定着させることができれば、日本人同様に企業の戦力として世代交代に大きく交献できると思います。

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